軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

834話 木の魔物の情報

「はじめまして、ドルイドです。そして、こっちが娘のアイビーです」

「はじめまして、アイビーです」

2人の男性に頭を下げると、彼等も笑って頭を下げてくれた。

「丁寧にありがとう。俺はフィロ。あそこでジナルと話をしている――」

「バカが!」

フィロさんの挨拶中、女性の大声が聞こえた。

見ると、ジナルさんをバッグで叩く女性の姿が見えた。

「えっと……ジナルと仲良く遊んでいる女性。ロティスの兄だ。ジナルとは義兄弟になるな。よろしく」

仲良く遊んでいるのではなく、あれはどう見ても攻撃では?

「気にしなくていいぞ。あの2人は、会えばいつもあんな感じだ。それと、ジナルが一方的に揶揄っているわけではないんだ。ロティスも出来る時は、周りを巻き込んでジナルを揶揄うからな」

そうなんだ。

「そうそう。周りを巻き込むのが上手い2人だから、振り回される俺達が大変なんだよ」

ロティスさんの兄フィロさんとは別の男性が、呆れた様子で2人を見て言う。

「あっ、俺はガガト。フィロとは昔からの友人で、今はロティスの護衛だ」

ロティスさんの護衛?

ガガトさんの説明に首を傾げると、ガガトさんも不思議そうな表情をした。

「どうした? 何かおかしかったかな?」

「ロティスさんは、護衛が必要なんですか?」

「あっ! えっとだな……」

フィロさんとガガトさんが顔を見合わせる。

その様子に、お父さんやセイゼルクさん達が少し険しい表情をする。

「彼女は、誰かに狙われているのか? 一緒に行動するなら教えておいて欲しい」

セイゼルクさんの言葉に、ガガトさんが頷く。

「分かった。炎の剣は『教会』については知っているんだよな。彼等はどうなんだ?」

ガガトさんが、私とお父さんを見る。

教会?

もしかしてロティスさんは、教会の関係者に狙われているの?

「ドルイドもアイビーも、教会についてはよく知っているから大丈夫だ」

「そうなのか?」

セイゼルクさんの言葉に、フィロさんが驚いた表情で私を見る。

そんなに驚く事なんだろうか?

「教会の事について聞いたという事は、彼女を狙っているのは逃げた教会関係者か?」

「そうだ。逃げている奴の中に、ちょっとやばい魔法を使う者がいるんだ。そしてそいつが、ロティスを狙っているという情報を掴んだから、俺が護衛をしている」

やばい魔法?

ガガトさんの言葉に、ラットルアさんが反応する。

「どんな魔法だ?」

「魔法というか、腕に魔法陣を刻んだ奴なんだが」

魔法陣?

「その魔法陣は、洗脳魔法を発動する事が出来るんだ」

洗脳か。

「洗脳か。その洗脳を解く事は可能なのか? それと、防ぐ方法は?」

ガガトさんの言葉に、神妙な表情を見せるセイゼルクさん。

「洗脳された子に会ったが、かなり深く洗脳されたのか助ける事は出来なかった」

フィロさんの言葉に、ガガトさんの表情が歪む。

「被害にあったのは、まだ8歳の子供だったんだ」

彼の言葉から怒りが窺える。

それは隣にいるフィロさんの雰囲気からも分かった。

「防ぐ方法だったな。魔法の発動には、奴が体の一部に触れている必要がある。だから奴から離れられれば洗脳はされない。もし腕に魔法陣を刻んだ者がいたら、どんな事でもしていいから離れろ」

ガガトさんの言葉に、フィロさんも頷く。

「ガガト、どうしたの?」

ジナルさんとの話しが終わったのか、ロティスさんが傍に来る。

その後を、げっそりした表情のジナルさんが続く。

「ソラ~」

ジナルさんがソラを見つけると、抱き上げてギュッと抱きしめる。

「ぷ~?」

抱きしめられたソラは不思議そうに鳴いている。

んっ?

ソラ?

「「あっ!」」

ソラ達を、隠すのを忘れていた。

お父さんも同じ事に気付いたのか、少し焦った様子を見せた。

「あらっ。珍しいスライムね」

ロティスさんの言葉に、ジナルさんがハッとした表情をする。

そして腕の中のソラを見て、私を見た。

「あはははっ」

ごめんなさい。

すっかり、気が緩んでいるようです。

「あ~、なるほど。内緒ね」

ロティスさんの言葉に頷くと、笑ってくれた。

「フィロもガガトも、見た魔物については内緒にね。まぁ、言っても誰も信じないでしょうしね」

ロティスさんが、私の横で大人しく座っているシエルを見る。

「にゃうん」

そうだった。

ソラだけでなく、シエルの事もすっかり忘れていたな。

木の魔物については悩んだのに。

「それにしても、奇跡のテイマーなのね。凄いわ」

ロティスさんが、サーペントさん、木の魔物、そしてシエルを見て呟く。

私もつられてサーペントさん、木の魔物、シエルを見る。

あっ、ロティスさんは誤解しているんだ。

「あのロティスさん」

「何?」

「サーペントさんと木の魔物は、テイムしてないですよ」

「…………えっ!」

しばらく考え込んだロティスさんは、驚いた表情で私を見た。

「テイム、していないの?」

「はい」

はっきりと応える私に、ロティスさんだけでなくフィロさんとガガトさんが戸惑った様子を見せる。

「それなのに、俺達を襲って来ないのか? 特に木の魔物は……人を見たら襲ってくるんだよな?」

フィロさんの言葉に、木の魔物を見る。

そういえば、そんな風に本には書かれていたな。

「マーチュ村の事があったのに、そんな事を言うのか」

ジナルさんの言葉に、ロティスさんが首を傾げる。

「木の魔物が、マーチュ村を襲った事は聞いたけど」

マーチュ村を襲った?

「どういう事だ? そんな事を誰が言っていたんだ?」

「えっ?」

ジナルさんの雰囲気に、ロティスさんが少し戸惑った様子を見せた。

フィロさんとガガトさんも、驚いた表情でジナルさんを見ている。

「誰って。私がいたところでは、皆がそう話していたけど」

木の魔物が、すごく悪者にされている。

それは、すっごく嫌だな。

「違います。木の魔物は、教会がおかしくした魔物から村と村の人達を助けてくれたんです」

魔法陣を解除した事は言っていいのかな?

言わない方がいいのかな?

「その通りだ。サーペントと木の魔物。彼等がいなければ、マーチュ村は無くなっていただろうし、おそらく王都もかなり被害にあったはずだ。教会が送り込んだ魔物は、王都に向かって移動していからな」

私とジナルさんの言葉に、ロティスさん達が顔を見合わせている。

信じられないのかな?

「どうやら、嘘の情報が流れていたみたいね」

良かった、信じてくれたみたい。

「あの屑どもが」

ロティスさんが、大きくため息を吐く。

「情報には気を付けろと、あれほど注意したのに! いや、もしかしたら……誰かがわざと流した物かもしれないわね。全く反対の情報が流れるのはおかしいもの。これは調べないと。そしてわざとだったら……」

苛立った様子で、ジナルさんを見るロティスさん。

「ジナル。ちょっと協力してくれない?」

「あぁ、いいぞ」

ジナルさんとロティスさんが笑い合っている姿に、どこか怖さを感じる。

笑っているのになぁ。

「あの2人が手を組むと、被害がデカくなるんだよな……」

フィロさんの諦めた姿に、なんとなく2人に振り回される彼の姿が見えた。