軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

818話 これだ!

シエルがお薦めしてくれた守護石を見比べる。

どれも同じくらい素晴らしい透明度。

「良さは同じくらいか」

それなら、初めて見た時から気になっていた赤と青の色が混ざりあった守護石にしようかな。

そっと石に触れると、ひんやりとした冷たさが指先から伝わってくる。

「それが気になるのか?」

「うん。色が綺麗だし。それに、この中では一番気になっていて」

「アイビーと相性がいいのかもな」

相性か。

でも私と相性が良くても、お父さんと相性が良くないと駄目だよね。

……でも、気になる。

いや、いや。

お父さんの守護石を選んでいるんだから!

「よしっ、他の守護石もしっかり見てから決めよう」

さっきも見たけど、もう一度。

ん~……やっぱりどれも素敵だな。

でも、この赤と青の守護石より気になる物は無い

「やっぱり、一番気になる守護石にする」

「アイビーが、一番気になる物を贈った方がドルイドも喜ぶだろうしな。どうぞ」

シファルさんが、守護石を掘るための道具を渡してくれる。

「ありがとう。あとは傷つけないように取り出すだけだね」

そっと、守護石を傷つけないように慎重に岩を掘っていく。

「採れた」

掌に転がる、赤と青の守護石。

綺麗な丸い形をしているので、加工はそれほど難しくないみたい。

「その形なら、守護石を固定するだけでも良さそうだな」

守護石によっては形を整えるために削る必要があるけど、手に入れた守護石は綺麗な丸なので、手を加えるのは最低限で大丈夫みたい。

「シエル、シファルさん、ありがとう」

「にゃうん」

「この洞窟に来て正解だったな」

「うん」

洞窟に案内してくれたシエルをゆっくりと撫でる。

「さて、そろそろ皆の所に戻ろう。ちょっと時間がかかり過ぎたな」

「あっ!」

シファルさんの言葉に、お父さん達の事を思い出す。

守護石に夢中で、忘れていた。

慌てて守護石のある空間から出ると、目の前に誰かが立っていてドキリとする。

「見つかったか?」

顔を上げるとセイゼルクさんだったので、ホッとする。

「あぁ、かなり良い守護石だ。ところでセイゼルクは、何をしているんだ?」

シファルさんの言葉に、セイゼルクさんが手に持っていたコップを見せる。

「俺は、ちょっと休憩中だ。それより、少し洞窟の奥を覗いたけど、あれは凄いな」

セイゼルクさんの視線が、守護石がある空間に向けられる。

「壁の中央にある守護石の事か?」

「そうだ」

やっぱりあれが一番気になるよね。

大きさが凄いから。

「あれは間近で見たら、もっと凄い物だと分かるぞ」

「そんなに?」

セイゼルクさんの言葉を無言で頷くシファルさん。

「そうか。あの守護石の報告はするのか?」

「もちろんだ。あれだけ大きい守護石だと、扱いを間違うと死者が出る。しっかり管理してもらった方がいいだろう」

守護石のある空間を振り返る。

一攫千金を狙う人たちは多い。

あの大きな守護石ともなれば、相当な値段になるはずだ。

そして争奪戦になったら、間違いなく誰かが死ぬだろうな。

「アイビーも良いか? 後で採りに来て売る事も出来るぞ。さすがにあの大きさだから目立つけどな」

「いらない、いらない」

シファルさんの言葉に首を振る。

あんな守護石を売ったら、あちこちから狙われそう。

「ははっ。まぁ、安全に過ごしたいならそうだろうな。あんなのちょっとおかしな冒険者か、金の亡者か頭のおかしい貴族ぐらいしか狙わないよ。まぁ、そんな奴等が多いから問題なんだけどな」

シファルさんの言葉に笑ってしまう。

「さて、飲み終わったし合流しようか」

そういえば、どうしてセイゼルクさんはここで休憩を取っていたんだろう?

「合流?」

シファルさんも不思議に思ったのか、セイゼルクさんを見る。

「少し先が二手に分かれていたから、ジナルとドルイド。俺とヌーガとラットルアで別れたんだよ。でも、すぐに俺達の方は行き止まりになって引き返してきたんだ。ラットルアとヌーガはジナル達の方に行ったんだけど、俺はここで休憩していたんだ」

「あぁ、悪い。俺達の姿が見えなかったからか」

セイゼルクさんは、道が二手に分かれているから、案内役をしてくれるために待ってくれていたのかもしれないな。

「気にするな。あっ、そうだ。アイビーの姿が見えないとドルイドが引き返そうとしてたから、シファルとシエルがいるから大丈夫。ゆっくり歩いてきているだけだって言っておいたから」

あっ、気付かれちゃったのか。

「セイゼルクさん、ありがとう」

引き返されたら、守護石を探しているのがバレていたよね。

「どういたしまして。さて、行こうか」

「うん」

セイゼルクさんを先頭に、ジナルさん達の後を追う。

途中、セイゼルクさんが話していた二手に分かれた右があった。

「明るい道と、薄暗い道なんだ」

「そう。アイビーならどっちを選ぶ?」

セイゼルクさんの言葉に、明るい道の方を指す。

薄暗い方は、少し不気味な雰囲気がある。

「正解は?」

「こっちだ」

シファルさんの言葉に、セイゼルクさんが薄暗い方の道を指す。

「そっちなんだ。でも……なんだかおかしな気配を感じるんだけど」

「そうだろう? だから俺も明るい方を選んだんだ。でも、10分ぐらい歩くと行き止まりだった」

薄暗い方の道を、セイゼルクさんの後に付いていく。

「おっ、いた!」

お父さんの声?

前を見ると、駆け足でこちらに来る姿が見えた。

「何かあったのか?」

少し緊張した声で聞くセイゼルクさんに、お父さんが首を横に振る。

「大丈夫だ。やっぱり俺は、アイビーが気になったから引き返してきたんだ。アイビー、問題ないか」

「うん。大丈夫」

良かった、あの空間から出た後で。

「シファル、ありがとう。シエルも」

「一緒にいただけですよ」

「にゃうん」

お父さんの言葉に応えるシファルさんとシエル。

シファルさんは私を見ると、笑みを見せた。

お父さんと一緒に、洞窟の奥に進む。

「この洞窟は本当に大きいな。前の洞窟より、大きくなっていないか?」

「セイゼルクも、そう思うか? 前の洞窟だったら。もう最奥についてもおかしくないよな?」

「あぁ」

お父さんとセイゼルクさんの会話を聞きながら、洞窟の壁を見る。

途中までは壁に守護石が埋まっていたのに、どんどん少なくなっている。

不思議だな。

「あっ、皆がいた。魔物と戦っている際中みたいだな」

ジナルさん達の戦闘を見ながら、お父さんが剣に手を伸ばす。

「参加するのか?」

「いや、もう満足したから良いかな」

セイゼルクさんがお父さんの返答に苦笑する。

「あれだけ暴れれば満足だろうな」

お父さんを見る。

あれだけ?

「どれだけ暴れたの?」

「いや。そんな暴れていないぞ。セイゼルク、嘘を言うなよ」

お父さんの言葉に、呆れた表情を見せるセイゼルクさん。

少し離れた間に、何をしたんだろう?

「当たりだ」

当たりのマジックアイテムだったみたい。

これで2個目かな?

もしくは3個目?

「お父さん、当たりのマジックアイテムは何個になったの?」

「今ので3個目だ。これは前の洞窟より、当たりが出やすくなっているな」

「そうだな。これは、洞窟としての価値が間違いなく上がるな」

セイゼルクさんが嬉しそうに話すと、シファルさんも嬉しそうに頷いた。

「通信のマジックアイテムがドロップするという情報に、当たりが出やすいとい情報。この洞窟の価値がいくらなのか楽しみだな」

情報料か。

確かにこの洞窟は良い値が尽きそう。

「お~い、そろそろ外に出ないか? 洞窟の調査に来ているわけでも、大きさを確認しているわけでもないから十分だろう?」

シファルさんの声に、洞窟の奥にいるジナルさん達が手を振る。

「そうだな。そろそろ引き上げるよ」

その言葉に、前方にいたラットルアさん達が武器などをマジックバッグに仕舞いだす。

洞窟の探索……いや、狩り放題? も終わりみたい。

なんだか、皆の凄さを再認識した洞窟探索になったな。