軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

747話 人生ゲーム

全ての用事を済ませて、食堂へ行く。

食堂に入ると、中央のテーブルにゲームが用意されているのが見えた。

そしてなぜか、その近くの席にクラさんが座っていた。

彼の前の席には、クラさんによく似た女性もいる。

「クラさん、こんばんは。今日はどうしたんですか?」

もう遅い時間だけど、何かあったのかな?

「こんばんは、一緒に遊ぼう」

クラさんは、人生ゲームをするためにいるの?

「ドルイドさん、アイビーさん、初めまして。クラの3歳上の姉でフララと言います。今日は急にお邪魔してごめんなさい。用事があって来たら、今からゲームをするって聞いたんです。もしよかったら参加させてもらえませんか? あっ、その前に。クラから『お二人には、お世話になっている』と聞いています。弟がいつもありがとうございます。これからもどうぞよろしくお願いしますね」

フララさんの勢いに戸惑っていると、クラさんが申し訳なさそうな表情をした。

「ゲーム、迷惑?」

「えっ。大丈夫だよ。これからするゲームは人生ゲームだけど、人数は問題ないのかな?」

クラさんの様子に慌てて言うと、フララさんが笑顔で頷く。

「大丈夫よ……あっ、です。人数が多くても問題ないです」

「そうですか。あの、普通に話してもらって大丈夫ですよ」

これから一緒に遊ぶのなら、気軽な方がいいよね。

「ありがとう」

フララさんが、肩を竦める。

「失礼」

んっ?

お父さんを見ると、フララさんを見て小さく頭を下げていた。

「俺はドルイドです。この村には冬の間、お世話になっています。短い間ですが、よろしくお願いしますね」

そうだ、挨拶をしてくれていたんだった。

急な事で、返すのを忘れていた。

「娘のアイビーです。フララさん、どうぞ宜しくお願いします。クラさんには私たちも、かなりお世話になっています」

森の中を案内してもらったり、ソラ達のポーションやマジックアイテムを移動してもらったり。

……私達の方がお世話になっているような気がするな。

「挨拶は終わったの? そろそろ、始めましょうか」

シャンシャさんが食堂に入ると、食堂の中央に置いてあるテーブルを指した。

食堂に入った時から、ずっと気になっていたんだよね。

ゲームが用意されているテーブルに近付く。

見ると、かなり大きな紙に色々と書き込まれている。

「ここから始め」という文字が書かれてある場所の隣には、「商人になる、店を持つためにギルドからお金を借りる」という文字が見えた。

ゲームを始めてすぐに借金。

いや、確かこの文字が書かれている場所に止まらなければ、借金を背負う事は無いんだったよね。

商人の隣は「冒険者になる。防具一式をそろえるためにギルドからお金を借りる」とあった。

どうしても、借金を抱えさせたいらしい。

「あれ? 昨日の物とは書いてある言葉が違う」

「ふふっ。同じだとつまらないでしょう? これは前の人生ゲームよりちょっと過酷な人生ゲームよ」

ちょっと過酷?

だから、初めから借金を背負わせる内容が続いているのかな?

「では、始めましょうか。まずは、自分の駒を決めるわよ。色で性別が分かるようになっているから、選んでね」

シャンシャさんが私の前に、赤と青の木でつくられた人型を置いてくれた。

どちらかを選ぶという事だよね。

赤が女性で、青が男性。

ここは女性の赤かな。

お父さんを見ると、青を選んでいる。

クラさんも青。

フララさんは赤?。

シャンシャさんは赤を選んでいた。

「次にサイコロを振って、出た目が大きい人からゲームを始めるわよ」

シャンシャさんがサイコロという物を振る。

サイコロは立方体で、それぞれの面に数字が書かれてあった。

サイコロの数字は、シャンシャさんが3、クラさんが5、フララさんが1だった。

次にお父さんが5で、私が1を出す。

お父さんとクラさんがもう一度サイコロを振って、クラさんからゲームが始まる事が決まった。

「この人生ゲームは、サイコロを振る人をカードで決めるのよ」

シャンシャさんが20枚ほどのカードをごちゃまぜにしてテーブルに置いた。

クラさんが一番上のカードを引く。

カードには「本人」と書かれてある。

これはクラさん本人がサイコロを振るという事だよね。

「では、楽しみましょう」

カードを引いて、サイコロを振って、駒を動かす。

人生ゲームは、誰でも出来ると言っただけあって簡単。

ただ、なぜか私の借金がどんどん増えていく。

最初のサイコロは、フララさんが振ってくれた。

出た目は1。

商人になって初めからかなりの借金を背負う事になった。

少し借金を返せたと思ったら、家が雨で流された。

なぜ?

「アイビー、お見舞金」

「ありがとう」

皆から、お見舞金という物を貰った。

借金が少し増えただけですんだ。

良かった。

ゲームが進むと、私がサイコロを振る回数が増えてきた。

その原因は、カードに「最下位の人がサイコロを振る」というカードがあるため。

だからサイコロを振るんだけど、何故だろう?

私がサイコロを振ると、みんなが不幸になっていく。

お父さんは大怪我を負い、クラさんは保証人になっていた友人が逃げたので借金を抱える事になった。

フララさんは詐欺にあってしまい、シャンシャさんはいきなり人生を見直すと言って旅に出てしまった。

「「「「……」」」」

「ごめんなさい」

さすがにこれは酷い。

「いや、ゲームだからいいんだけど、なんというか」

さすがのお父さんも言葉に困っている。

「ふふふっ。これも人生よ。さぁ、続きをしましょう」

シャンシャさんの言葉で、ゲームを再開する。

それからも、私がサイコロを振ると面白いぐらい不幸のマスに止まる。

これはもう、笑うしかないね。

「終わったぁ」

駒が「終了。この人生はどうだった?」と書かれてあるマスに止まる。

ゲームの勝敗は、終わった順番ではなく持っている資産で決まる。

まぁ、ずっと皆のサイコロを振っていたので、結果は聞かなくても分かるけど。

「ふふっ、凄い事になったわね」

シャンシャさんの言葉に苦笑が漏れる。

本当に凄い事になったよね。

「まさか、全員が借金を抱えて終わるなんて。初めてだわ」

フララさんの言葉に、小さく頭を下げる。

「ごめんなさい」

どうしてか最後は、皆を借金まみれにしてしまった。

「あはははっ、これはゲームよ。こういう事もあるわよ。もう一度、試さない?」

フララさんの言葉にクラさんとシャンシャさんが頷く。

お父さんも、既に次のゲームを始める用意をしていた。

「うん。お願いします」

次は、皆を不幸にしないようにしたい。

と思っても、サイコロの出る目を決められないから、どうしようも無いんだけど。

2回目の人生ゲームが始まる。

順番を決めるサイコロの目は6。

私から始まった。

2回目の人生は冒険者。

借金を抱えたけど、商人よりは少ない。

良かった。

ゲームが進むにつれ、首を傾げてしまう。

「ふふふっ、アイビーさん凄いわ」

シャンシャさんの言葉に、フララさんとクラさんが頷く。

「さっきとは真逆だな」

お父さんの言葉に、戸惑いながら頷く。

なぜか、今度はサイコロを振るたびに資産が増える。

しかも他の人のサイコロも同様で、幸せになれるマスに止まった。

2回目の人生ゲームは、勝った。

最初に抱えた借金はすぐに返済し、それからはずっと増え続けた。

その結果、凄い資産になった。

「人生ゲームって不思議だね」

まさか1回目と2回目でここまで結果が変わるなんて思わなかった。

1回目は借金が増え続ける人生に戸惑ったけど、2回目の良い事ばかり起こる人生も戸惑うもんなんだね。