軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

626話 皆で一緒に

お父さんと相談して、私が教会に狙われている事をガルスさん達に話す事にした。

黙っているのは卑怯な気がしたから。

もしかしたら、一緒にオカンコ村に行くのは駄目になるかもしれないけど、決めるのはガルスさん達だ。

「では、アイビーさんも教会に?」

ガルスさんが険しい表情で私とお父さんを見る。

それに頷くと、彼はなんとも言えない表情をした。

教会に狙われている2人が一緒にいるのは、1人の時より怖いと思うかもしれない。

やっぱり、オカンコ村に一緒に行くのは無理かな。

「エバス、アルス。2人はどうしたい? 俺は、ドルイドさん達と一緒にオカンコ村に行きたいと思っているけど」

えっ、いいの?

ガルスさんを見ると、私の視線に気付いたのか笑みを見せた。

「そんな事で、2人から距離を置こうとは思わない」

そんな事と、片付けられる事ではないと思うけど……。

ガルスさんは強い人だな。

「ありがとうございます」

「私も、一緒に旅をしたい。教会の奴らなんかに、邪魔されるのは嫌」

アルスさんの言葉にエバスさんが頷く。

「俺もアルスと同じ思いだ。今まで奴らのせいで、色々と我慢するしかなかった。俺達の事情を知っているドルイドさん達との関わりを、邪魔されたくない」

エバスさんとアルスさんを見たガルスさんがお父さんに視線を向ける。

「分かった。それなら、一緒にオカンコ村に行こうか」

お父さんの言葉に、嬉しそうに笑うガルスさん達を見てホッとする。

私の事で、関係が途切れるのは悲しい。

「アルス、聞きたい事があるんだが」

「鍵の事ですよね?」

お父さんの言葉に、神妙な表情のアルスさん。

「あぁ、何か知っているか? アルスを逃がした占い師から、何か聞いてないか?」

「占い師ヒーラからは、教会の奴らが捜している物がある事。それが世界に影響を与える事としか聞いてないです。でも、教会の奴らに捕まって真っ暗な部屋に閉じ込められた時、男女の話し声が聞こえてきたんです」

真っ暗な部屋だなんて。

怖かっただろうな。

「しゃがれた声の男性が『あの場所まであと少しだったのに、鍵の奴が逃げた』と言って、女性が『そうみたいね。でも、どうして逃げたのかしら?』で、男性が『分からない。だがすぐに見つかるだろう。王都にいる仲間が全員で探しているからな。時間の問題だ』と話してました。話はまだ続いていたんですが、2人が部屋から離れたので、それ以上は聞こえませんでした」

「逃げたとはっきり聞いたのか?」

お父さんの確認にアルスさんが頷く。

「はい」

逃げたその人と話す事が出来れば、鍵の意味が分かるのかな?

「その話を、誰かにした事はあるか?」

お父さんの言葉に首を横に振るアルスさん。

「そうか。今の話をウルかジナルにしても大丈夫か? 2人が属している組織は、教会を絶えず見張っているから、何か知っている可能性がある。まぁ、アルスが教会から逃げたのは見落としているから、何もかも知っているわけではないだろうが」

「大丈夫です。あの、もしも逃げた人がどうなったか知っていたら教えてくださいと、伝えてください」

「分かった。ただ……」

言葉を濁すお父さんに、アルスさんが頷く。

「どんな結果でもいいです。実は……その人を探すために、見張りの人達や他の人達が教会からいなくなったんです。そのお陰で、占い師ヒーラが私のところに来ることが出来て、私は真っ暗な部屋から逃げられたんです。だから、知りたいんです」

あっウルさんの言ったとおり、逃げ出せたのには理由があったんだ。

というか、逃げた人を探すために、教会の関係者全員が駆り出されたんだよね?

それって……それだけ鍵が重要という事になるよね?

「分かった。伝えておく」

「お願いします」

アルスさんの真剣な表情にお父さんが頷く。

逃げた人が、生きていたらいいな。

見張りを疎かにするほど、重要な鍵か。

お父さんが言ったように、魔法陣に関係しているのかな?

それに、あの場所ってどこだろう?

もしかして、占い師が「行って欲しい」と言った場所なのかな?

違っていて欲しいけど……教会と契約させられていたんだよね。

占い師は、どこまで知っていたんだろう?

私が、教会が探していた鍵だと知っていた可能性はあるよね。

「アイビー、アイビー?」

「えっ?」

名前を呼ばれて視線を向けると、お父さんやガルスさん達が私を見ていた。

あっ、話し合いをしている最中だったんだった。

「ごめん。話を聞いてなかった。えっと、何の話をしてたの?」

お父さんを見ると、微かに心配の色が見えた。

それに笑って大丈夫と伝える。

「明日から、森でガルス達の体力を増やそうという事になったんだけど。アイビーはそれでいいか?」

旅をするなら体力が重要だもんね。

「もちろん。でも、体力を増やすって何をするの?」

お父さんが、にこりと笑う。

何でだろう、笑顔なのに悪い事を考えているように見えたのは。

「基本は歩きだな」

お父さんの言葉に、ガルスさん達がホッとしたのが分かった。

きっと、もっと凄い事をやらされると思ったんだろう。

でも、歩きだって大変だから!

舐めたら痛い目に遭うからね。

「休憩2回の10時間なんてどうだ?」

あははっ、やっぱり。

歩くだけだけど、厳しい条件が付いた。

不思議そうに、お父さんを見るガルスさん達。

そして、徐々に驚いた表情に変化していく。

どうやら意味が伝わったようだ。

休憩2回の10時間は、10時間歩きっぱなしで2回だけ休憩を入れるんだろうな。

この2回の休憩、もしかしたら立ったままでの休憩になるかもしれないな。

「あの、本当に10時間も歩くんですか?」

エバスさんの表情が引きつっている。

さすがに10時間は衝撃だったみたい。

でも、嵐が来た時などは、10時間以上歩き続ける事もある。

だから、10時間ぐらい慣れておいた方が良い。

「そうだ。体力を付けたいんだろ?」

お父さんの言葉に頷くエバスさん。

「10時間が嫌なら。早歩き5時間、休憩なしでもいいぞ」

お父さんの提案に、ガルスさん達が真剣な表情で話し合いを始めた。

その光景に、ちょっと笑ってしまう。

たぶん、どちらを選んでも体力が無い3人にはつらいだろう。

「お父さん、どっちがよりつらいの?」

小さな声で、お父さんに聞いてみる。

「そうだな。3人だと10時間の方がきついかな」

そうなんだ。

「あの、5時間の早歩きで」

ガルスさんの言葉に、お父さんが頷く。

「分かった。お昼を早めにとってから体力作りを始めるか」

「分かりました」

ガルスさんが覚悟を決めたように頷くので、お父さんが苦笑している。

ちょっと不安だけど、明日は森で運動か。