軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

617話 皆で作るのは楽しい!

隠れ家に戻ってくると、すぐに料理に取り掛かる。

量が多いので、すぐに始めないと今日中に終われない。

こめを炊きながら、間に挟む肉作り。

塊肉を薄く切って、少し甘めで濃く作ったタレに漬け込み、味が染みたら焼いて少し冷ましておく。

こめが炊けたら、前世では何か白い粉を混ぜていた。

それが何か分からないが、たぶん形を崩れなくさせる物だと判断。

トコという根野菜から取れる粉を混ぜて形を整え、両面こんがり焼いていく。

焼けたら野菜と少し冷ました肉を挟んで完成。

出来たこめのサンドイッチ1つを3個に切って、皆で味見。

「うまいな」

「あぁ、肉の味付けもいいな」

お父さんとウルさんの感想を聞きながら、頷く。

よし、味の改良も大丈夫そうだし、これで作ろう。

でも全部が同じ味だと飽きるかな?

違う味も作っておこう。

あとはハンバーグを具にするのもいいかもしれないな。

こめにもパンにも合うはず。

そうと決まったら、お肉をミンチにしなくちゃ。

これは、ウルさんにお願いできないかな?

でもちょっと心配なんだよね。

「どうした?」

お父さんが考え込む私に気付いたのか、顔を覗き込んでくる。

「ハンバーグを作ろうと思って。ウルさん、お肉を細かく切ってもらっていいですか?」

「任せろ、問題ない」

自信満々に答えるウルさんに、不安を覚える。

包丁さばきを見たけど、正直怖かったんだよね。

「ウル、怪我をしても肉に血を垂らすなよ」

「ははっ、酷くないか?」

お父さんの注意をウルさんは笑うが、「本当に気を付けて欲しい」というと、神妙に頷かれた。

隣でお父さんが笑っていたけど、私は真剣だから。

こめのサンドイッチを作りながら、パン作りもしていく。

捏ねては発酵させて小分けしてちょっと休憩、成形して発酵させて焼くので時間と手間がかかる。

でも、この手間がパンを美味しくするので一切手は抜かない。

それに、パン作りで一番大変な捏ねる作業は何とお父さんが得意。

片手で器用に捏ねる姿は、本当にかっこいい。

お父さん達に手伝ってもらいながら、どんどん料理を完成させていく。

家中に甘辛い香りが充満してくると、さすがにお腹が空いた。

「ちょっと休憩を入れないか? そろそろ腹が限界だ」

ウルさんの言葉に、動かしていた手を止める。

「もうお昼過ぎだったんですね」

料理作りに没頭していて気付かなかったな。

「確かに腹が減ったな」

お父さんが、窯から焼けたパンを出すと次のパンを入れた。

「何か、食べたい物はありますか?」

こめはあるし、肉もある。

簡単な物ならすぐに作れそうだな。

「「これ」」

えっ?

こめの残りやお肉の残りを確認していると、お父さんとウルさんの言葉が聞こえた。

視線を向けると、ハンバーグを挟んだサンドイッチを持っている。

そういえば、作っている最中にかなり気にしていたな。

「それならそれで」

ただ、それだけだと足りないから、そうだ肉団子があった。

それと、野菜で簡単にサラダを作ろう。

「あとは、サラダと肉団子で」

調理室にあるマジックボックスから、木箱を取り出す。

中身は熱々の肉団子。

葉野菜を洗って拭いて、ちぎってお皿に敷いて肉団子を乗せて、この村の万能ソースで完成。

あとは、数種類の野菜を洗って包丁で切って、サラダ用ソースを掛ければ簡単サラダの完成。

「さすがだな」

ウルさんが出来上がった料理を見て、感心している。

肉団子は既に作ってあった物だしあとは洗って切っただけ、感心されるような事は無いんだけどね。

あれ?

お父さんはどこだろう?

ソラたちのポーションを用意してきたいんだけど。

「あっ、お父さん」

調理場に入ってきたお父さんに声を掛ける。

「ソラたちのご飯は用意してきたから」

それでいなかったのか。

「ありがとう」

ガルスさん達の事がはっきりするまで、ソラたちの事は内緒。

お互いに内緒にしないと駄目な事があるから、一緒に旅をする事になったら、また契約を結ぶんだろうな。

「食べようか」

食事を始めると、感じていなかった空腹を感じた。

集中し過ぎて、気付いてなかっただけだったのか。

「それでウル。トトムは何者なんだ?」

ん?

お父さんの言った言葉に首を傾げる。

トトムさんが何者?

「まぁ、ドルイドなら気付くとは思ったけど直球だな。彼は、本物の教会関係者だ」

そうだったんだ。

あぁ、だから子供達を守っていた人たちと知り合いだったのか。

「全く気付かなかったけど。店から出てきた2人の内の1人。彼を調べた時に、ちょっと分からない行動をとっていた事があって、それで覚えていたんだ。今日の行動と調べた事を照らし合わせて、彼らが隠れていた教会関係者かもしれないと思ったんだ」

それでトトムさんに確認したと。

「そうか」

肉団子を食べる。

思った通りさっぱりして食べやすい。

この村の万能ソースは私とお父さんの口に合う。

3本では少なかったかな。

「それだけか?」

ウルさんの言葉に、視線を上げる。

「何がだ?」

お父さんがハンバーグを挟んだパンのサンドイッチにかぶり付く。

食べているお父さんを見ると、隠しているけど嬉しそうなのが分かる。

かなり、好みの味のようだ。

旅に持って行く量を増やそうかな。

「いや、もっと聞きたい事は無いのかと思って」

「気になる事はある」

お父さんの言葉に頷く。

正直、気になる事ばかりだ。

でも、ウルさんの組織の事について聞いてもきっと答えてくれないし。

トトムさんが関わっている、本物の教会についてもきっと答えられない事が多いはず。

それなら、聞かない。

「でも、答えられない質問だろうし、それなら聞かないほうがお互いのためだ」

聞き出そうとすると、どうしてもおかしな雰囲気になるからね。

お父さんの言葉に、ウルさんが苦笑する。

「その通りなんだけど、あまりに潔く引かれると、それはそれで気になる」

「面倒な性格だな」

お父さんの言葉に、笑ってしまう。

ウルさんも分かっているのか、苦笑していた。

「ご馳走様でした。お茶を入れるね」

なんだか、楽しい時間だな。

皆で料理をするのにも、慣れたよね。

いまでは、この時間が好きだな。

「あれ? この気配はアルスか?」

離れにある建物から、この建物に入ってくる気配を感じた。

知っている気配なので、特に焦ることなくお茶を飲みながら待つ。

「すみません」

調理場に姿を見せるアルスさん。

朝みたいだな。

「体調は大丈夫か?」

お父さんの言葉に、頷くアルスさん。

ゆっくり寝られたかな?

「お昼食べましたか? まだなら、食べますか?」

「あっ、それは大丈夫です。食べました」

離れにも調理場はあるのか。

それなら、どうしたんだろう?

「あの、一緒に旅をするみたいなので、私の事をちゃんと話しておこうと思って」

えっ、一緒に旅?

ジナルさんは、教会の様子で決めると言っていた。

だからまだ決定はしていないはずなんだけど。

もしかしてとウルさんを見るが、首を横に振った。

まぁ、決定していない事を話すわけないよね。

「あの、夢でアイビーさんとガルス達が一緒に森の中を歩いているのを見て、それで一緒に旅をするのかなと思ったんです」

夢?

「夢で未来が見えるんですか?」

あれ?

でもアルスさんのスキルは星読みと占いじゃなかったっけ?

言っていないスキルがあるって事かな?

「未来だと思います。この夢で何度か助かったので。でも、スキルは前も言った星読みと占いなんです。ずっと自分のスキルを使わない様にしていたら、夢で少し先の未来を見るようになって」

アルスさんの言葉に、お父さんとウルさんが少し険しい表情を見せる。

「その事を知っているのは?」

「ガルスとエバスだけです。他には言っていません」

アルスさんの答えに、ウルさんが不審気に彼女を見る。

「協力を求めていたトルラフギルマスにも言っていない事を、なぜ今ここで話したんだ?」

「それは……」

チラリとアルスさんの視線が私に向く。

えっ、私?

「秘密を無断で見てしまったから。その……スライム達が一緒に旅を」

夢でソラたちの事を見たんだ。

で、秘密にしている事を知ったから、アルスさんも秘密を打ち明けたって事?