軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

536話 馴染んでます

捨て場でポーションを拾いながら、少し離れたところにいるサーペントさんを見る。

「不思議な光景のはずなのに、違和感を覚えないね」

サーペントさんが捨て場にいるのは初めてなのに、不思議と馴染んでる気がする。

「確かに、不思議だな」

お父さんも、サーペントさんと捨て場を見回して苦笑している。

捨て場に行くために村を出ると、1匹のサーペントさんが姿を現した。

ちょっと驚いたけど知っている魔力だったのでそのまま一緒に捨て場に来たが、違和感が無さすぎる。

じっと見ていると、サーペントさんが嬉しそうに近付いてきた。

「ごめんね。今日はソラたちのポーションを拾わないと駄目だから、遊べないんだ」

私の言葉に頷くサーペントさん。

そっと鼻のあたりを撫でるとふっと目を細める。

相変わらず可愛い反応に笑みが浮かぶ。

「さて、マジックバッグをいっぱいにするか」

「うん」

空になったマジックバッグにどんどんポーションと剣、マジックアイテムを入れていく。

しばらくは頑張るが、中腰は疲れる。

「ん~」

背伸びをして、腰を伸ばす。

周りを見ると、少し離れたところでお父さんも同じ事をしていた。

視線が合うと、2人で笑ってしまう。

ソラの場所を確認すると、少し離れたところで嬉しそうに剣を食べていた。

「フレムは?」

しゅわ~という音がする方へ視線を向ける。

ソルと並んでフレムはポーションを、ソルは大きなマジックアイテムを食べているのが見えた。

「今日も皆よく食べてるね」

私の言葉が聞こえたソルとフレムがぷるぷると体を震わせた。

ふと影が出来たので隣を見ると、マジックアイテムを銜えたサーペントさんがいた。

そしてそっと私の前にマジックアイテムを置く。

「もしかして拾って来てくれたの? ありがとう」

持って来てくれたマジックアイテムを、マジックバッグに入れる。

その様子を確認するとまたマジックアイテムを持ってくるサーペントさん。

何度か繰り返すと、マジックアイテムをサーペントさんにお願いして、私はポーションを拾う事にした。

「サーペントが手伝ってくれたから、いつもより早くマジックバッグをいっぱいに出来たな。ありがとうな」

お父さんの言葉に、サーペントさんが嬉しそうに体をゆする。

「さて、皆は満足したか?」

お父さんの言葉にソラとフレムがポーションを消化しながらぷるぷると揺れる。

「ぺふっ」

ソルは既に満足して休憩中だ。

皆で捨て場を出ると、傍の木の根元でシエルとトロンがゆっくりとくつろいでいた。

「待たせたな。大丈夫か?」

「にゃうん」

「ぎゃっ」

お父さんの言葉に反応するシエルとトロン。

「そろそろ移動しようか。もうすぐ昼だろうから、問題の奴らが動く可能性がある」

「そうだね。……トロン、大丈夫?」

最近のトロンは、くつろぐ時に寝っ転がるようになった。

それは可愛いからいいのだが、起き上がる時が大変そうだ。

器用に動く手が無いため、どうしてもバタバタしているように見える。

「にゃうん」

シエルが器用に鼻を使ってトロンを支えると、トロンがさっと立ち上がる。

さすがシエル。

「ありがとうシエル。よかったねトロン」

「ぎゃっ」

満足そうなトロンにお父さんが苦笑する。

「行こうか。サーペントはどうする?」

お父さんの質問にサーペントさんが、森の奥を見る。

つられて森の奥を見るが、ここからでは木々が見えるだけだ。

「どうしたの?」

私の質問に、また森の奥を見るサーペントさん。

何だろう。

何かを伝えたいのかな?

「森の奥に何かあるの?」

私の質問にプルプルと揺れるサーペントさん。

おそらく何かあるのだろう。

この村に来た時に、連れていこうとしていたところだろうか?

急いでないと言っていたけど、もしかしたらすぐに連れていきたいのかも。

でも、ジナルさんたちも行きたいと言っていたからな。

「サーペント、ジナルたちを明日連れてくるよ。それでは駄目か?」

お父さんの言葉に、何か考えるサーペントさん。

そして、お父さんを見ると頷いた。

「分かった。必ず来るから待っててくれ」

お父さんの言葉に満足したのか、すっと離れるサーペントさん。

その様子を見ていると、かなり離れているが気配を感じた。

知らない気配だ。

「お父さん、誰かこっちにくるみたい」

「分かった。シエル、スライムに、ってもうなっていたか」

さっきまでアダンダラだったシエルは既にスライムになって足元にいた。

「早いよな。最近は全く音もしないし」

「気付いたら、変化し終わっているんだよね」

感心しながらシエルを見ると、少し体を反らしている。

「『すごいだろ』と言う感じだな」

「にゃうん」

シエルの返事にお父さんが笑う。

「可愛いな。さて、皆バッグに入ってくれ。気配はこちらに来ているか?」

気配はどんどん近付いて来ている。

「うん、来てるみたい」

ソラたちのバッグに皆を入れていく。

お父さんはトロンをカゴに入れてから、中が見られないように薄い布のバッグに入れる。

「これでいいな。サーペント、また明日」

離れた場所からこちらを見ていたサーペントさんにお父さんが手を振る。

「また明日ね」

私も手を振ると、口を開けて舌を出すサーペントさん。

「また明日って事かな?」

「どうだろうな。でもあれは、仲が良くなかったら威嚇されているようにしか見えないな」

お父さんの言葉に苦笑する。

確かに大きなサーペントさんから出てくる舌は迫力があった。

サーペントさんと別れて村へ向かって歩く。

しばらく歩いて行くと、村から捨て場の方へ向かっている人たちが見えた。

人数は5人だ。

「森の中に避ける?」

「いや、別にこのままでいいだろう。下手に避けると不審がられるし、相手が問題のある奴らとは限らないから」

それはそうだね。

横を通る時に、軽く頭を下げて普通に通り過ぎる。

チラリと5人を確認する。

4人は冒険者の格好をしていて、1人は自警団の制服だと気付く。

通り過ぎ、ある程度離れてから後ろを見る。

「なんだか焦っていたな」

お父さんの言葉に頷く。

5人の表情に浮かんでいたのは、焦りとそして不安。

「自警団の制服を着た人はかなり不安そうだったね」

「そうだな」

冒険者の服を着た4人も不安そうだったが、自警団の制服を着た人は顔色も悪かった。

「とりあえず、ジナルたちと合流だな」

「うん」

お父さんと村へ戻ると、冒険者たちが随分と慌てている姿をあちこちで見られた。

それにお父さんと一緒に首を傾げる。

「どうしたんですか?」

お父さんが門番さんに訊くと、少し困惑した表情をされた。

その反応にお父さんが、眉間に皺を寄せる。

「いや、ちょっと。冒険者ギルドでボヤ騒ぎがありまして」

お父さんの反応を見た門番さんが慌てて答えるが、ボヤ騒ぎ?

ジナルさんはただ噂を流すだけだと言っていた。

と言う事は別の何かが起こったのだろうか?

「大丈夫なんですか?」

「えぇ、大丈夫です。1階の一部分が燃えましたけど、すぐに火は消されましたので」

門番さんの答えにホッとした。

「ではなぜ、冒険者たちが慌てているんですか?」

お父さんの質問に、門番さんが苦悶の表情をする。

「それが……ギルマスが殺されていたらしくて、それを放置した冒険者ギルドの関係者を冒険者たちが探しているんです」

なるほど。

自業自得だね。

お父さんも話を聞いて肩を竦めた。