軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

515話 一緒に行くの?

「本の内容を知るのは正当な持ち主だけなのに、なぜ本の内容を知っているんだ?」

言われてみれば、なぜ知っているんだろう?

確かにさっき、「アダンダラもドーリャも洞窟の守り神と書いてあった本」と言った。

……こっそり見たとか?

「最初に言っておくが、盗み読みなんてしてないからな」

ジナルさんがそう言うと、お父さんと私を見る。

それに首を傾げる。

なぜ、バレたんだろう?

「2人して同じ視線を向けやがって」

ジナルさんの言葉に、お父さんと苦笑してしまう。

「あはははっ。ごめんなさい」

「悪いな。それぐらいはしそうだったから」

お父さん、それは謝った事にならないような気がする。

「ドルイド……まぁ、何度か挑戦して駄目だったんだけどな」

挑戦してるじゃないですか。

お父さんが「やっぱり」というと、ジナルさんが肩を竦めた。

「でも、すぐにばれるんだよな。あの本屋は不思議なところだったよ。親父は元気かね?」

ジナルさんとフィーシェさんが懐かしそうな表情をする。

何だか私も会ってみたいな。

本を読めなくてもいいから、行ってみたいな。

カシメ町の本屋か。

「で、盗み読みしてないならどうして内容を知っているんだ?」

「何度か仲裁していると話をするようになって、気に入られたんだろうな。1冊なら読んでいいと言われて、読ませてもらったんだ。まぁ、読める本は選ばせてはくれなかったけどな」

ジナルさんの言葉にフィーシェさんも楽しそうに頷く。

「なるほど。しかしアダンダラとドーリャが洞窟の守り神か……」

お父さんの言葉に首を傾げる。

何か疑問に感じているような言い方だな。

「その本にサーペントの事は載っていなかったか?」

お父さんの言葉に、洞窟にいた大きなサーペントさんたちを思い出す。

私の中では、洞窟の守り神と言われて思い出すのはサーペントさんだな。

ジナルさんとフィーシェさんを見ると、首を横に振っていた。

「えっ、載ってなかったんですか?」

フィーシェさんが、驚いた私を不思議そうに見る。

「えっと……絶対に載っていると思ったので……」

「そうなんだ。サーペントか……俺たちが読めた部分には載っていなかったよ。だがあの本はなぁ」

フィーシェさんが、言葉を濁してジナルさんを見る。

もしかして内容を人に話しては駄目だったのだろうか?

さっき、「内容は正当な持ち主だけしか知る事が出来ない」と、言ってたし。

あっ、でもこの話を始めたのはジナルさんたちだ。

なら、大丈夫か。

「あの本なんだが……ほとんどが白紙だったんだよ」

白紙?

えっと、つまり何も書いていなかったという事?

……本、なんだよね?

「どういう事だ? 本を読ませてもらったんじゃないのか? 揶揄われたのか?」

「俺たちもすぐにそう思って、親父に文句を言ったんだよ」

ジナルさんたちが揶揄われる想像ができないな。

どちらかというと揶揄う方。

まぁ、まだ10代の頃だと言ったから、そんな事もあるのかな。

「俺たちが怒ると、親父が『なんだ。まだその程度しか読めなかったのか? まだまだ若造だな』と言って、大笑いされたな」

ジナルさんの言葉に、お父さんと私は首を傾げる。

本屋の店主さんが何を言っているのかよく分からない。

まだその程度しか読めない?

それって……もっと読める人もいるって事?

でも、本は白紙だったんでしょ?

「悪い、ジナルの言っている事がわからない」

お父さんの言葉にジナルさんとフィーシェさんが、苦笑する。

「俺たちも意味が分からなかったんだ。まぁ、すぐに親父に訊いたが……『読む資格がないから、内容が見えない』と言われたよ」

内容が見えない。

本にはしっかりと内容が書いてあるけど、ジナルさんたちでは読めなかったという事?

「その本はマジックアイテムなのか?」

確かに書いてあるのに読めないという事は、何らかの力が掛かっているという事だよね。

お父さんの言葉に、ジナルさんたちは首を横に振る。

「マジックアイテムだと何か魔力を感じるはずだが、あれには何も感じなかった」

魔力を感じないという事はマジックアイテムではないって事だよね?

なのに、書いてある内容が読めない人がいる。

……分からないな。

「親父にどういう仕組みなのか訊いても、答えてくれなかったから今でも謎のままだ。あの時は、読む前より本が気になって、読んだ事を後悔したな」

それはそうなるよね。

でも、占い師から貰った本とはちょっと違うみたいだな。

あの本は私がもっと小さい頃から読むことができた。

人を選んで読めないようにする力はないと思う。

お父さんも普通に読めていたしね。

「話していたら、あの本屋が気になってきた。そう言えばドルイドたちは王都を目指しているんだったよな?」

あれ?

王都を目指しているって言ったかな?

「王都の隣のカシメ町だ」

お父さんの言葉に、ジナルさんの表情がぱっと輝く。

何だろう?

「カシメ町なのか?」

「はい」

「今のところ、そのつもりだ」

私とお父さんが答えると、ジナルさんが何度か頷く。

もしかして、

「よし、一緒に行こう」

やっぱり。

「あの親父と最後に会ったのは……5年? いや6年前か?」

ジナルさんがフィーシェさんに視線を向けると、フィーシェさんが「たぶん」と頷く。

「今ならもっと読むことができるかもしれないから、親父と交渉するか」

「交渉ですか?」

いったい何を交渉するんだろうと不思議に思い、ジナルさんを見る。

「そう、交渉。読ませてくれたのは1回だけ。次に行ったら、『無駄だから駄目だ』と言われて、断られたんだよ」

ジナルさんの言葉にフィーシェさんが苦笑を浮かべる。

「何度か交渉したけど、『まだ、早い。きっと前と変わらない』と言われて相手にしてくれなかったんだよ。あれから6年ぐらい空いているのか……そろそろ読ませてくれるかもな」

「だろ? 行ってみないか?」

ジナルさんの言葉に、フィーシェさんが頷く。

「そうだな。いいかもしれない」

どうやら、2人とはカシメ町まで一緒に行く事になるみたい。

でも2人だけで決めてしまっていいのだろうか?

「ガリットはいいのか?」

お父さんが少し呆れた表情で訊く。

「大丈夫だろう。ガリットもあの本には興味津々だったしな」

ジナルさんの返答に、ため息を吐くお父さん。

きっと止めても無駄だと思っているんだろうな。

ジナルさんたちと旅か、きっと賑やかだろうな。

それにしてもどんな本なんだろう?

子供だけど、読めないかな?

個性的な店主さんとも話してみたいし。

「ん? アイビー、興味が湧いた?」

「はい。本も興味あるけど、店主さんにも会ってみたいです」

「確かに会ってみたいかな。ジナルたちが手こずる人に」

お父さんの言葉に不貞腐れた表情のジナルさん。

それに笑っていると、すっと影が差す。

「にゃうん」

「あっ、シエル。遊び終わったの?」

洞窟の中にいる事をすっかり忘れて話し込んでしまったな。

「にゃうん」

シエルは満足そうだしいいか。

あれ?

「ドーリャも来たんだね。初めまして」

シエルの後ろに2匹のドーリャの姿が見えた。

どうやら挨拶に来てくれたみたいだ。

あと2匹いたはずだけど、近くにはいなかった。

1匹のドーリャがすっと顔を近づけるので、頭を撫でてみる。

おぉ~、硬い!

前に会ったドーリャも撫でさせてくれたので知っていたが、ドーリャの頭は岩のように硬い。

お父さんが「頭で岩をどけるからだろう」と言っていたが、同じように頭で岩をどけていたサーペントさんの頭はここまで硬くない。

なので、撫でる度になんとも不思議な気持ちになる。

「……普通に触ってるな。ドーリャって魔物だよな?」

「あぁ。危険度が高い、洞窟の魔物だな」

ジナルさんたちが、私を見て何か話しているような気がしたので視線を向けると、なぜか苦笑していた。

それに首を傾げる。

「普通に撫でるからさ」

「えっ? 大人しくていい子ですよ。それに、可愛いでしょ?」

じっと見てたら愛嬌があるんだよね。

ジナルさんの言葉に返事をすると、ぽかんとした表情を返された。

あれ?