軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

499話 多すぎる!

「フィーシェさん、お疲れですね。大丈夫ですか?」

私の質問に苦笑を浮かべるフィーシェさん。

村で何があったんだろう?

「どうだった?」

お父さんがジナルさんに訊く。

「思ったより貴族の追っ手は多いみたいだ。昨日だけで確認できた数は18人」

18人!

そんなに?

お父さんもさすがに多いと思ったのか驚いた表情をしている。

「この18人以外に3人ほど怪しい奴がいる。もう少し調べる必要があるな」

「1日でそれだけ調べたのか? さすがだな」

お父さんの言葉に頷く。

ジナルさんたちは、やはり只者ではないね。

貴族の追っ手じゃなくて良かった。

「それで王都の貴族の動きだが」

「あぁ、何か分かったか?」

ジナルさんが声を少し抑える。

「知り合いがいたから、協力を頼んだ」

どうして声を潜めたんだろう?

「協力ね~。あれは脅しだろ?」

ガリットさんの言葉に驚いてジナルさんを見るが、いつもの表情でお茶を飲んでいる。

脅しなのかな?

協力なのかな?

どちらにしても、

「無理はしないで下さいね」

今回の事で、ジナルさんたちの立場が悪くなったりしたら申し訳ない。

「大丈夫だって。俺たちにとってはいつもと変わらないから」

ガリットさんが笑いながらいつもの事だと教えてくれる。

……えっと、脅しが?

それはどうなんだろう。

「おい。その言い方だと俺がいつも脅しているみたいじゃないか」

ジナルさんが不服そうにガリットさんに言う。

「似たようなモノだろう?」

「俺は協力をしてもらっているだけだ」

ジナルさんの言葉に、ガリットさんが 胡乱(うろん) な目を向ける。

「協力しなかったら、どうなると思う? みたいな雰囲気出して?」

「脅してはいない。ただ、ちょっと未来の話をしただけだろう?」

それは間違いなく脅しでは?

「だいたい、やばい事だと知っていながら手を出す馬鹿が悪い」

ジナルさんが、馬鹿にしたように言う。

「まぁ、確かにな。一度はちゃんと警告するもんな」

そうなんだ。

それは親切だよね。

「あぁ、それで引き返せばいいのに、やめないから協力することになるんだ」

ん~、協力しないと仕方無いのかな?

あれ?

感化されてる?

「まぁ、奴らがいてくれるから仕事がしやすいんだけどな」

ジナルさんの言葉にガリットさんが頷く。

……まぁ、ジナルさんたちの仕事がはかどるなら、いいか。

それよりも、今の会話を聞いててよかったのかな?

「ガリットのせいで、話が脱線しただろ。何だっけ……王都の貴族たちの事だったな。おそらく2日か3日はかかるだろう。それまでハタハ村の近くで待機だな」

ジナルさんの言葉に、お父さんが頷く。

「これからどうするんだ?」

ジナルさんがお姉ちゃんを見る。

「マリャが村に入るのは無理だな。それと、旅を続けるのも危険かもしれないな」

お父さんの言葉に首を傾げる。

村に入れないのは分かるけど、旅が危険?

どういう事だろう?

「あれだけの数がいると、誤魔化すにも限界があるからな」

ガリットさんの言葉にジナルさんがため息を吐く。

18人に3人。

確かにこれだけの人を誤魔化すのは大変だろうな。

「時間が経てば追っ手同士で情報を交換しだすから、厄介だしな」

フィーシェさんが、面倒くさそうに言うと、ジナルさんとガリットさんが嫌そうに頷く。

「逃げていると見せかけて、どこかの村で他人に成りすまして生活するか」

「他人に?」

フィーシェさんを見ると頷いた。

「そう。まったくの赤の他人に」

私は保証人になってくれたオグト隊長さんがいたから簡単になれたけど、お姉ちゃんも出来るのかな?

「大人は簡単ではないだろう? 子供の場合は保証人で有耶無耶にして他人になれるが」

お父さんの言葉に、つい頷いてしまいそうになった。

有耶無耶で他人になった経験をしているからね。

「アイビー? どうした?」

「なんでもないよ。大人の場合は大変なの?」

「かなりな」

お父さんが頷く。

大変なのか。

これからのお姉ちゃんの事を思うと、いい方法だと思うんだけど。

「大丈夫だ。知り合いに頼んでみるわ」

ジナルさんの言葉に彼を見る。

そんな事まで出来る知り合いがいるってすごいな。

「すごい人脈だな。まぁ、出来るにしてもマリャの希望も聞きたいから」

お父さんの言葉にジナルさんたちが頷く。

良かった。

お姉ちゃんの意見もちゃんと聞いてくれるみたい。

「マリャ、話は聞いてたよな?」

「うん。ごめんなさい、私のせいで」

お姉ちゃんがお父さんやジナルさんたちに頭を下げる。

ガリットさんがポンとお姉ちゃんの頭に優しく手を置く。

「気にしなくていいぞ。こんな事は俺たちにとって特に珍しい事じゃないから」

それはそれで、ちょっとどうなんだろうと思うけどね。

「そうそう。今回はマリャのためだからな、嫌々するわけじゃないし」

フィーシェさんもお姉ちゃんの肩を優しくポンと叩く。

「……ありがとう」

お姉ちゃんにやさしく声を掛けるジナルさんたち。

内容はともかく、頼もしい。

「今はまだ決めなくてもいいけど、この村を離れる時には決めてほしい。旅を続けるのか、どこかに潜んで暮らすか。まぁ、他人になるのは抵抗があるかもしれないが、落ち着いた生活のためにはいい方法だと思うから。これも考えて欲しい。あっ、他人になって旅を続ける事も出来るからな」

ジナルさんの言葉に、戸惑いながら頷くお姉ちゃん。

他人になるのは、確かにいい方法だと思う。

お姉ちゃんの名前はきっと貴族たちに知れ渡っているだろうし。

「さて、洞窟内を少し見てみるか」

ジナルさんの言葉に、ガリットさんたちは嫌そうな顔をする。

「見てどうするんだ? まさか魔石を拾うのか?」

「手ぶらで帰るのは、目立つだろう?」

ガリットさんの嫌そうな表情に、ジナルさんが肩を竦める。

「いや、俺たちがこの洞窟の魔石を持っていく方が目立つだろう。なんで低レベルの魔石しかない洞窟に入ったのかと」

確かに、そう不思議がられそう。

「そう言えばそうだな。サーペントに貰った魔石でもちらつかせるか」

「それこそ目立つだろうが!」

ジナルさんの言葉にフィーシェさんが呆れた表情をする。

「いや、いい手かもしれない」

ガリットさんが、にやりと何かを含んだ笑みを見せる。

守ってもらっているけど、悪人にしか見えないな。

「ぷっぷぷ~」

不意にソラが少し大きな声で鳴く。

声の聞こえた方向を見ると、少し離れたところでソラたちが飛び跳ねている。

「呼んでるな」

お父さんの言葉に頷いて、ソラたちの所へ行く。

ジナルさんたちも興味があるのか、後ろをついて来た。

「どうしたの?」

私の言葉に、ソラとフレムとソルがぴょんぴょんと飛び跳ねる。

……ごめん、分からない。

何とか意味を読み解こうとするが、分からない。

「ぷ~」

じっと見つめていると、ソラたちが移動を始める。

「ついて来いって事かな?」

「おそらく」

ソラを先頭にぞろぞろ付いて行く。

途中でソラたちが後ろを窺うように見ているのが分かる。

まるで付いて来ているか、確かめているようだ。

「ここ?」

しばらく歩くと止まったが、周りを見ても何もない。

木々があって大きな岩がある。

ハタハ村の周辺で見られる風景だ。

どうしてここに呼ばれたんだろう?

「あれ? シエルだ」

お父さんの言葉に、視線を向けるとシエルが岩の上にいた。

その岩に近付くと、ソラが慌てたように前へ来る。

「どうしたの?」

「ぷ~!」

なぜか怒っている。

どうしようかと、ソラから視線を逸らす。

あれ?

ソラの後ろにある岩の、土に面している部分を見る。

何かおかしい。

岩は私たちが寝泊まりした岩穴のように蔦が絡まっている。

「お父さん、岩の下に……」

あれは空洞?

何だろう?

お父さんとジナルさんたちが岩の下の地面を調べだした。

「すごいな」

調べだして2分ぐらいで、ジナルさんが感心した様子でソラたちを見る。

「どうしたの?」

「この岩の下に地下洞窟があるみたいだ」

地下洞窟?