軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

487話 ここで待て?

お父さんの妹という設定になったので、私から言えば叔母さん。

最初は叔母さんと呼ぼうと思ったが、どうにも違和感がありお父さんと相談をしてお姉ちゃんと呼ぶことになった。

最初はお姉さんと呼んだんだけど、冒険者や旅をしている人はそんなに丁寧に呼ばないと言われたのでお姉ちゃんに変更。

お母さんと呼ぶとなぜかむずむずしたけれど、お姉ちゃんと呼ぶとしっくりくるから不思議だ。

「お姉ちゃん、それ砂糖だよ!」

「あれ? あっ、こっちが塩?」

「そうそう」

お姉ちゃんの様子を見て、少し首を傾げる。

砂糖と塩の入っている入れ物を見る。

同じ形で同じ大きさ。

違いは蓋の色が違うぐらい。

でも、赤とオレンジだから間違うはずがないんだけど……。

「どうした?」

お父さんが周辺の見回りから帰ってくる。

「なんでもない。お父さん、どうだった?」

「周辺に異常はなかったから大丈夫だ。朝ごはんを食べたら移動しようか」

「うん。シエルは帰って来ないね」

「そうだな。まぁ、シエルだから大丈夫だろう」

「うん」

昨日の夕方に走ってどこかに行ってから、まだ帰って来ないシエル。

いつ頃、帰ってくるのかな?

シエルが強いとは知っているけど、不安になってくる。

早く帰ってきて欲しい。

今日の朝は、作り置きしたおにぎりと昨日の残りのスープに葉野菜を足したもの。

野菜の旨味が足されて美味しいはず。

「お兄ちゃん、どうぞ」

お姉ちゃんがお父さんにお茶を渡す。

夫婦設定の時より自然な感じのお姉ちゃん。

元々お兄ちゃんが欲しかったらしく、兄妹設定になってこっそり喜んでいるようだ。

「さて、片付けて……あっ、やばい!」

お父さんが慌てて私を見る。

「どうしたの?」

「この場所がどこか分かってないよな。俺たち」

ん?

……あっ、そうだ。

森の中はシエルに道案内してもらっているから、おおよその場所しか把握していない。

しかも今回は、お姉ちゃんの事があって、いつもより予定外の方向へ歩いてしまっている。

「うん。私達迷子だね、お父さん」

「そうだな」

「さすがにちょっと駄目だね」

私の言葉にお父さんが、気まずい表情をした。

「俺の責任だな」

「それは違うよ。絶対に」

お父さんだけの責任ではなく、二人の責任。

それにしても、どうしたらいいかな?

お父さんが、マジックバッグから地図を取り出して広げる。

「片付けるね」

「悪い。おおよその場所がどこか、頑張って見つけるよ」

「うん。頑張って」

私とお父さんのやり取りに、困惑しているお姉ちゃん。

「お姉ちゃん、片付けるから手伝ってほしい」

「は……うん。何をすればいいの?」

近くの木から葉っぱをちぎって、お皿に付いた汚れをこすり取る。

「こうやって、汚れを取ってくれる?」

お姉ちゃんが汚れを取ったお皿を、石鹸を混ぜた水で洗う。

最後に綺麗な水でお皿を濯いで、カゴに入れて水切りしたら完了。

出発する直前まで、水切りしておこう。

「終わったよ。どこにいるか分かった?」

「二ヶ所まで絞ったんだが……どっちだと思う?」

お父さんが指差している場所を見る。

「どっちだろうね」

地図から見た二ヶ所の周りは、ほぼ同じに見える。

「分かりづらいよな。どっちにも右に大きな石があって、その石から少し歩いたら川があって……。配置がほぼ同じだから、この場所がどっちなのか区別が出来ないんだ」

石の大きさが違うような気もするけど、大きさまでは書いていない。

まぁ、書かれていても目の前にある大きな石の大きさが分からない限り、意味はないけど。

「そう言えば、次の村の名前を聞いてなかった」

「ん? ハタハ村だ。ここ」

お父さんが指す場所を見る。

地図が正確ならあまり大きな村ではないようだ。

「これ。間違えたらつらいね」

お父さんが見つけた二ヶ所からハタハ村の場所は、一ヶ所は右側にあり、もう一ヶ所は左側にある。

間違った方の場所を選んだ場合、ハタハ村から遠ざかってしまう。

お父さんと私だけなら遠回りしても、一日で何とか引き返せるだろう。

つらいが何とかなる。

でも、お姉ちゃんの体力を考えると、間違えられない。

「大丈夫?」

お姉ちゃんが心配そうに、地図を見る。

「地図を初めて見た」

お姉ちゃんの言葉に驚いて、地図から顔を上げる。

「そうなの?」

「うん。……何を表しているのか、さっぱり分からないけど、細かいんだね」

「この地図は、結構詳しく書かれている方かな。時間が空いたら地図の見方を教えるよ」

お父さんの言葉に嬉しそうに地図を眺めるお姉ちゃん。

「ありがとう」

「てっりゅりゅ~」

3人で地図を見ていると、フレムがいつもより大きな声で鳴いた。

慌ててフレムを探すと、ぴょんと地図の上に飛び乗ってくる。

「フレム? どうしたの?」

珍しいな。話し合いなどをしている時は邪魔することがないのに。

「ぺふっ?」

「ソル?」

「ぷっぷぷ~」

「ソラもいるの? どうしたんだろう」

足元を見ると、ソラとソルが私を見つめている。

2匹を抱きあげる。

「あれ? 地図は?」

「片付けたよ」

お父さんの言葉に、なぜか嬉しそうにするソラ。

地図の上にいたフレムは、お姉ちゃんに抱き上げられていた。

が、ちょっとその持ち方が怖い。

お姉ちゃんの腕の中にいるフレムも、目を見開いて不安そうに私を見てくる。

「大丈夫だよ。多分」

「りゅ~」

フレムの情けない声に、少し口元が緩む。

可愛いけど、ちょっと可哀そうかな。

机の上にソラとソルを置くと、お姉ちゃんがそっとフレムを机の上に置いた。

「てりゅ~」

フレムの鳴き声に首を傾げるお姉ちゃん。

「お姉ちゃん」

「なんで……何?」

話し方、まだ慣れないみたいだな。

「もう少し、しっかりフレムを掴んであげた方が安心するから」

お姉ちゃんが自分の手を見て、ギュッと握る。

「大丈夫なの? なんだか、ぷよぷよしててギュッと握ったら駄目かなって」

「結構強く握っても大丈夫だぞ」

お父さんの言葉に頷くと、机の上でフレムも力強く頷いていた。

そうとうお姉ちゃんの持ち方が怖かったのかな?

「分かった。次は気を付けるね」

「てっりゅりゅ~」

フレムがホッとした声で鳴くと、ソラとソルも嬉しそうに鳴いた。

「ところで、何か用事でもあったのか?」

お父さんの言葉に机の上でプルプル揺れる三匹。

本当に何がしたいんだろう?

「珍しいよな?」

「うん。いつもなら話が終わってから遊びに来るのに」

地図を見るのを邪魔したのかな?

でも、どうして?

「もしかして、この場所を動かないほうがいい?」

「えっ?」

「ぷっぷぷ~」

「てっりゅりゅ~」

「ぺふっ」

どうやら正解のようだけど、どうして?

ここにいないといけない理由でもあるのかな?

「もしかして、シエルを待ってるの?」

私の言葉にプルプルが激しくなる。

「ぷっぷぷ~」

「てっりゅりゅ~」

「ぺふっ」

頷きながら揺れてる。

器用だな。

「どうする?」

「皆が、こう言うなら待ってた方がいいんだろうね」

「そうだな」

前にもシエルがいない時があった。

あの時は、シエルが食事に行ったため居なかったんだけど、その時は移動してもソラ達は止めなかった。

今日止めたのは、きっと理由があるんだろう。