軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

473話 魔石の力

「まだ確証はないが、おそらく魔石だ」

魔石?

「ドルイドの持つ剣には魔石がついているんだろう?」

「あぁ、確かについているな」

「あれがフォルガンを倒す何らかの力を与えていると考えてる。ところでドルイド、お前どんな魔石を剣に組み込んでいるんだ? 見た奴らが口を揃えて『すごい』と興奮して言っていたんだが……」

フレムが作った魔石だよね。

あれは確かにすごい。

お父さんもあまり周りに見られないように注意しているもんね。

「あ~、最高レベルに近い魔石だな。運よく手に入れる事が出来たんだ」

「運か。羨ましいな。どこで手に入れたんだ?」

「旅の途中で迷子になった事があるんだ、その時にたまたま見つけた洞窟だ。森を数日間彷徨って何とか村道に出たが、見つけた洞窟の場所は分からなくなってた」

顔が引きつりそうになるのを、何とか止める。

お父さんを見るも、いつも通り。

嘘だとばれないか心配しているのは、私だけのようだ。

さすがだな。

「大まかな場所は、分かるんじゃないか?」

ポリオン団長さんが少し前のめりになる。

「森の中をどう歩いたのか、途中からさっぱり分からないから無理だな」

「それでも少しぐらいは」

「俺も探したが、無理だった」

「そうか……残念だ」

ポリオン団長がちょっと拗ねたような表情を見せる。

この団長さん、表情が豊かだな。

「あっ、話が逸れた……まぁ、いいか。後で剣を見せてくれ」

いいの?

「相変わらずだな。後で見せるから話を戻せ。他に何かあるんだろう?」

お父さんの呆れた表情にポリオン団長さんが肩を竦める。

「仕方ない、諦めるか。フォルガンの攻撃を防ぐには、レベルの高い魔石が必要だと確認が取れているんだ」

ん?

あぁ、話がフォルガンの事に戻ったのか。

「……それを俺が聞く必要はあるのか?」

「無いな。ただ、何か魔石について知っていないかと思ってな」

ポリオン団長さんの言葉に、お父さんが首を傾げる。

「昨日の討伐に上位冒険者が参加していたのを知っているか?」

「あぁ。ちらっと姿を見たが」

「その中の1人がドルイドの戦っている姿を見て魔石に気付いたんだ。で、自分が持つ剣で試したそうだ。だが、ドルイドのようにうまくいかない。それで何が違うのかと思ったら、魔石。そうとう綺麗な魔石らしいな。それでレベルが違うと気付いて、持っていた魔石の中で一番いい魔石を使って攻撃したら、見事に結界を破壊出来たそうだ。ちなみに魔石はレベル4を使用したと報告が届いている」

かなりレベルの高い魔石が必要って事か。

「でだ、その上位冒険者が魔石を使った攻撃を何度か繰り返して気付いた事が1つ。魔石を使うと攻撃力を下げても結界には効いたそうだ」

ん?

どういう事?

攻撃力を下げても結界に効く?

つまり……魔石さえあれば、力はそれほどいらないって事になるのかな?

「本当か?」

「本当だ。試しに下位冒険者に剣を貸して攻撃させたらしい。1発では無理だったが2発で結界は壊れ、フォルガン本体への攻撃が出来たそうだ」

それってすごい事だよね。

「魔石は攻撃力や防御力を上げるのに使うのが一般的だと思っていたんだが、それ以外にも何か力があるのかもしれない。ドルイドは何か聞いたりしてないか? 例えば攻撃に使うと特別な力を与えるとか」

ポリオン団長さんの言葉にお父さんが首を横に振る。

「聞いたことは無いな。魔石は力を上昇させるものという認識だ」

「普通はそうだよな。まぁ、そんなわけでフォルガンの討伐が下位冒険者でも可能かもしれないとわかったからさ、顔を見てお礼を言いたかったんだよ。ドルイドという名前も気になっていたし」

「討伐方法が見つかって良かったよ。それにしても面倒くさい魔物だな」

「本当にな。なんでこんな魔物を作ったんだか」

えっ?

あれ? 今……。

「あ~でもようやく1つの問題が解決できそうだよ。攻撃がことごとく効かないとわかった時の俺の絶望が分かるか? あの時は、この村を捨ててやろうかと本気で思ったぐらいだ。でもドルイドのお陰で、魔石があれば下位冒険者が1人でも倒せる事が分かった。障害だったフォルガンが水魔法で作る球。フォルガン本体を攻撃したくても、あれが邪魔でなかなか攻撃が届かなかったからな。でも、これからは違う。昨日のように大群で来られても、対処できるだろう。本当に感謝してるんだ」

「あぁ、それは良いんだが。……ポリオン、ちょっと確認したいことがあるんだが」

「ん?」

お父さんが口を開くが途中で止まる。

それを見てポリオン団長さんが首を傾げる。

「いや、なんでもない」

あれ?

訊かないのかな?

あっ、そう言えば無防備に食堂で話してたな。

「どうし……あっ」

ポリオン団長さんが途中で言葉を切って、目が泳ぐ。

どうやら失言に気付いたようだ。

ポリオン団長さんはお父さんを見て、私を見てすっと視線を逸らした。

「相変わらずだな」

お父さんの言葉に、顔をうっすら赤くしたポリオン団長さん。

「抜けてる」

「煩い。ドルイドだったから気が抜けたんだよ!」

お父さんとポリオン団長さんの会話にリア副隊長さんが不思議そうな表情で見る。

その視線に気付いたポリオン団長さんが、慌てて席を立つ。

「今日は無理だな。明後日の夜に話がある」

「ふっ。分かった」

ふふっ、逃げた。

「ビースも恐らく一緒だ。あいつも名前を気にしていたからな」

「分かった」

ポリオン団長さんがリア副隊長さんを連れて食堂を出ていく。

2人を見送ると部屋に戻り一息つく。

何というか、不思議な人だな。

団長さんの地位に就く人は、どこか不思議な人が多いけどポリオン団長さんも同じかな。

「アイビー、悪いな。出発が少し遅くなるかもしれない」

「うん。それは良いけど。仲がいいんだね」

「……それなりに」

なんでちょっと嫌そうなんだろう。

そう言えば、「昔みたいに追い掛け回す」と言っていたな。

これは訊いても大丈夫なのかな?

「ん? どうした?」

「えっと……」

「ポリオンやビースとの事だったら気にせずなんでも聞いていいぞ。隠すことも無いしな」

良かった。

なら訊いておこう。

「追い掛け回すって、どういう事?」

「あぁ、それか。師匠の元では俺たちの方が早く弟子になっていたんだ」

「俺たち?」

「ん? ゴトスも一緒だったから」

「ゴトスさんか」

お父さんにゴトスさん。

ポリオン団長さんとまだ会っていないビースさん。

今とは違うんだろうけど、賑やかだったんだろうな。

「早く弟子になっていたんだから、あいつらより強いのは当たり前なのに、俺たちの方が強い事が気に入らなかったみたいで、事あるごとに戦え、戦えって。面倒くさくて逃げたら、追ってきて。それでも逃げたら、1日中追い掛け回された。仕方ないから戦ったら、あいつらが満足するまで付き合わされて。それも面倒くさいから逃げたらまた追ってきて。あの時期は大変だったな。師匠は無駄な応援だけで止めないし」

あの師匠さんなら、止めないだろうな。

「それにしてもポリオンの奴、フォルガンを作ったと言ったよな」

「うん」

間違いなく言っていた。

「ったく。面倒くさい事に首を突っ込んでないといいが」

お父さんを見ると、心配そうにしている。

2日後に話か……何もないといいけどな。

「あれ? お父さん剣は?」

ポリオン団長さんが自分で後で見せてと言っていたのに、見ずに帰ってしまった。

「はぁ、相変わらずだな。仕方ない、話をする時に持っていくよ」