軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

448話 ぐしゃ、しゅわ~

「ここだね」

ギルマスさんが指定した時間に仮置き場に来たが、想像以上のゴミが積みあがっていたので驚いた。

いったい、いつからこの場所が仮置き場になっていたんだろう。

シャーミが村の近くで暴れだしたのは、私たちが村に来てからだと思ったんだけど違ったのかな?

「あっ、来た来た」

声がした方に視線を向けると、アーリーさんが手を振っていた。

「今日は、ありがとうございます」

「悪いな」

私とお父さんが軽く頭を下げると、慌てて首を振るアーリーさん。

何だか、前に会った時より私たちを見る目がキラキラしてるような気がするけど、見間違いかな?

「こちらこそ、ありがとうございます」

アーリーさんの言葉に首を傾げる。

お礼を言われるような事をした覚えはないのだけど。

口を開こうとすると、バッグがもぞもぞと動いている事に気付く。

どうやらソラたちの我慢が限界にきたらしい。

「ソラたちを、バッグから出してもいいですか?」

「もちろんです。あっ、ちょっとだけ待ってください。用意するので」

アーリーさんは出入り口から外の様子を窺うと、扉を閉め鍵をかけた。

そして、何かのマジックアイテムを起動させた。

「それは何ですか?」

「この建物を外から覗けないようにするアイテムです。まだ、奴を捕まえていないので」

まだ捕まっていないのか。

それにしても、厳重に守られているような気がするんだけど、気のせいではないよね。

私に話す事が出来ない事で、何か分かったのかな?

「ありがとうございます」

でも、それは気にしても仕方ないよね。

バッグの蓋を開けると、勢いよく飛び出してくるソラとソル。

それに続いてフレムも飛び出し、最後にシエルが出てきた。

「ぷ~」

「りゅ~」

ソラとフレムが嬉しそうに鳴くと、ゴミの山に突進していく。

ソルは無言で、さっさとゴミの山を登っていた。

「すごい勢いですね」

「昨日のお昼から我慢をさせてしまったので」

ギルマスさんたちに必要の無いポーションを貰ったが、それほど数は集まらなかった。

ポーションを拾いに行こうとしたが、村全体がバタバタしていて危険と言われたため断念。

手が空いている人もおらず、ソラたちには半日我慢をさせてしまった。

「俺たちも必要な物を拾っていこうか」

お父さんがマジックバッグの1つを私に渡してくれる。

「うん」

よしっ!

旅の途中に違法な捨て場があるとは限らない。

というか、あったら駄目なんだけど……。

無かった場合を考えて、バッグの限界まで拾おう。

それにしてもソラとフレムはすごい勢いで食べていくな。

ゴミが大量にあってよかった。

「手伝います。えっと、青のポーションと赤のポーションを拾っていけばいいんですよね?」

「そうです」

「かなり変色が進んだ物は止めた方がいいですか?」

アーリーさんが、変色した青のポーションを私に見せてくれる。

持っていたポーションは、元は青のポーションだったことがかろうじて分かるぐらいに濁り青色も薄くなっている。

「大丈夫ですよ。問題なく食べるので」

「分かりました。それにしても本当に瓶ごと消化するんですね」

あれ?

初めてソラたちの食事する光景を見るのかな?

「不思議というか、違和感があります」

アーリーさんの言葉に、ポーションを拾いながら苦笑する。

最初から瓶ごとだったので、本に載っている事と違う事には驚いたが、すぐに違和感は消えてしまった。

普通のスライムに慣れている人には、ソラたちの食事する光景に違和感があるんだろうな。

ぐしゃ、ぐしゃ、しゅわ~、しゅわ~。

「ん? 何の音だろ?」

ぐしゃ、ぐしゃ、しゅわ~、しゅわ~。

いつもと違う音が聞こえたので、周りを見渡す。

「アイビー、ソルだ」

お父さんの声に、視線を向けるとゴミの山を指していた。

そちらに視線を向けると、ソルがマジックアイテムをそのまま口の中に入れていた。

「ん? あれ? はっ?」

予想外の光景に、言葉にならない音が口からこぼれる。

というか、あれ?

ソルは、魔力だけを食べるスライムだよね?

でも、視線の先にいるソルは触手を器用に使い、マジックアイテムをソルの体より少し大きいぐらいに分解しては口に入れている。

ぐしゃ、ぐしゃ、しゅわ~、しゅわ~。

音からして、しっかり消化しているのが分かる。

「すごいっ」

後ろからアーリーさんの驚く声が聞こえる。

うん、確かにすごい。

私もそう思う。

お父さんがソルの傍によると、近くにあったマジックアイテムを渡す。

ソルは迷う事なく、分解しては口の中に入れていった。

「これってアイビーがテイムしたからか? それとも進化したとか?」

お父さんの言葉に首を傾げる。

テイムした影響で、食べる物が変わるなんて本で読んだ事は無い。

それにスライムの進化?

「進化するんですか?」

ソルの傍によって、食べているところを間近で見る。

ぐしゃ、ぐしゃ、しゅわ~、しゅわ~。

豪快な食べ方だな。

「聞いた事は無いな。アーリーは何か知ってるか?」

急に話を振られたアーリーさんが、首を思いっきり横に振っている。

「そうか」

ぐしゃ、ぐしゃ、しゅわ~、しゅわ~。

それにしても、ソラの剣と同じように消化が速い。

ソラとフレムを探すと、2匹はソルを気にすることなく食事を続けている。

シエルも、ゴミから少し離れた場所で寝っ転がって、尻尾をふわふわと揺らして休憩している。

というか、いつの間に元の姿に戻ったんだろう?

気付かなかった。

「問題は無いみたいだね」

お父さんも、ソル以外の3匹の様子を見て頷く。

「ソル、マジックアイテムは美味しいの?」

「ぺふっ」

満足そうなソルの鳴き声に問題は無いと判断して、ポーション拾いを再開する。

「そっちはどうだ?」

お父さんの言葉に、バッグに入れたポーションを思い出す。

「青と赤を半分ずつで、もうそろそろバッグの限界。お父さんは?」

「こっちも似たようなものだな。アーリーはどうだ?」

お父さんが、ポーションを拾いながらちらりとアーリーさんを見る。

アーリーさんは、バッグの中を覗き込むとちょっと情けない表情を見せた。

「すみません。青のポーションが7割ぐらいです」

「分かった。アイビー、次は赤のポーションを多めに拾ってくれ。俺はマジックアイテムを拾っていくから。アーリーも申し訳ないが、マジックアイテムを拾うのを手伝ってもらえるか?」

「分かった」

「もちろん手伝います」

しばらく無言でポーションを拾っていると、アーリーさんがゴミの山を降りてくる。

限界まで詰め込まれたマジックバッグをシエルの傍に置くと、次のマジックバッグを持って今度はマジックアイテムを拾い出す。

「そうだ、ソルはマジックアイテムに拘りとか無いのかな?」

ソラとフレムが特定のポーションしか食べないように、拘りがあったりしないのかな?

私の言葉に、アーリーさんの動きが止まる。

「そう言えば、そうだな」

ゴミの山から下りていくお父さんを見ると、マジックバッグをシエルの傍に置いていた。

次のマジックバッグを持つと、ゴミの山をソルに向かって登って行く。

「ソル、マジックアイテムならどんなものでもいいのか?」

ソルはお父さんをちらりと見ると、傍にあったマジックアイテムを触手を使って遠ざけ、それより遠くにあったマジックアイテムを傍に寄せて食べ始めた。

「拘りがあるみたいだな」

お父さんが、遠ざけられたマジックアイテムを手に持ち確認している。

マジックボックスのようで、特に問題があるようには見えない。

それでも、ソルがそれを遠ざけた以上は食べる気がしないマジックアイテムなんだろう。

「よっと。これで最後」

限界までポーションを入れたバッグを担いでゴミの山を降りて、シエルの傍にバッグを置く。

シエルがちらりと目を開けて私を見る。

「ソラたちのご飯の番をよろしくね」

「にゃうん」

手が汚れているため、シエルを撫でられないのが残念。

「もう少し待っててね」

次のバッグを持って、もう一度ゴミの山を登ると赤いポーションに手を伸ばした。

「ソル、これは? こっちは?」

お父さんの声に視線を向けると、ソルの前に色々な種類のマジックアイテムを差し出しているお父さん。

どうも、拘りがいまいちわからない様子でアーリーさんも困っている。

「分からないの?」

お父さんたちに近寄り並んでいるマジックアイテムを見る。

「そうなんだよ。困ったな」

「どれがいらないマジックアイテム?」

私の言葉にお父さんが、近くに置いてあった3個を指す。

「これがそうだよ」

手に取ってマジックアイテムを見る。

新しいのか、傷も少なく中から感じる魔力も強い。

「あれ? これはまだ使えるマジックアイテムじゃないのかな?」

私の言葉にお父さんとアーリーさんが順番に確認する。

「そうだな、これはまだ利用できそうだな」

「捨てるにしては勿体ないですよ」

お父さんの言葉に、アーリーさんも同意する。

「もしかしてこっちもか?」

お父さんが残りの2個を確認する。

「まだ十分使えそうだな。さっきは使えるかどうかは気にしてなかったから、気付かなかった」

ソルが食べているマジックアイテムを見る。

古ぼけていて、かなり年季が入っているのが分かる。

「使えるマジックアイテムは食べないみたいですね」

なんともすごい拘りだな。

そう言えば、ソラとフレムも正規品のポーションや正規品に近いポーションは食べないか。