軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

384話 管理された捨て場

商業ギルドを出て広場に向かう。

そう言えば、この村の捨て場は放置されている感じだったよね。

ゴミが山積みだったし。

あれでも管理されているうちに入るのかな?

「お父さん、この村の捨て場は放置されている感じだったけど、あれも管理されているうちに入るの?」

「村や町が指定した捨て場には、魔力を分解するマジックアイテムが地面に埋め込まれているんだ。だからそれがある以上、管理されていると言えるだろうな。あんな状態でも」

そうか。

あれでも管理されている捨て場なんだ。

ん?

「魔力を分解? でも、ソルが食べてるのは魔力だよね?」

どういうこと?

分解されていたら魔力が残っているはずないし。

「処理しきれなかったゴミの中にある魔力を、魔物に食べられないようにするため、魔力を分解するマジックアイテムが捨て場の地面に埋められているんだ。まぁ、残った魔力を全て処理出来ていたのは昔の話だな。今はゴミの量が多すぎて、マジックアイテムだけでは処理しきれていない。だからソルが食べているのは魔力で間違いないぞ」

「そっか」

「処理しきれていないとはいえ、今のところ、管理された捨て場で魔物が凶暴化したという噂は流れないから、ある意味すごいマジックアイテムなんだろうな」

全ては処理出来ないけど、ある程度は出来ているって事か。

「それに管理されている捨て場に魔物が近づかないのは、そのマジックアイテムのお陰だとも言われているんだ。まぁ、それに関しては真偽は分からないが。そういう噂が昔、流れたことがあるよ」

それが本当ならすごいアイテムだな。

「と言っても、このままゴミが増え続けたら、どうなるかは不明だけどな」

「マジックアイテムは増やせないの? 増えたら魔力の処理が増えるのに」

「マジックアイテムをドロップする魔物がいた洞窟が、何かの事故で崩壊したと小さいころ噂で聞いたよ。そのあと国中の洞窟が調査されていたらしいが、新たに見つかったという話は聞かないな」

残念。

マジックアイテムは増えないのか。

ゴミの処理の問題って色々な事に影響があるんだな。

「早く、ゴミの処理問題が解決するといいね」

「テイマーたちの意識の問題だろうな」

テイマーの私はこのまま旅を続けていいのかな?

「体はしんどくないか? 寝不足だろう?」

お父さんの手がポンと頭を撫でる。

その優しい手にふっと笑みが浮かぶ。

「大丈夫。話してたら頭が痛いのも落ち着いたから」

「無理は禁物だからな」

「うん、分かった」

大通りを歩きながら周りを見渡す。

朝早いためか、お店は開店準備に追われている。

屋台もまだ準備中の店が多い。

「まだ、普通の生活が続けられているね」

森の異変は村の人たちに少し不安を与えているようだが、まだ生活に影響が出ていない。

これは少し珍しい事かもしれない。

他の村や町では些細な森の変化に敏感だった。

この村でも、そろそろ不安が表面化してきてもいいはずなのに。

「そういえば、随分と落ち着いているな」

「うん」

なんだか少し不気味だな。

それとも自警団の団長さんや冒険者ギルドのギルマスさんがすごい人なんだろうか?

でも、この2人仲が悪いんだよね?

「この村のギルマスさんや団長さんってすごい人なんですか?」

「ギルマスに団長? ん~、いや、聞いたことないな」

という事は、ハタカ村以外で噂に上がってくることが無いって事だよね。

でも、この村の落ち着きよう。

きっと2人がどうにかしてくれるって、信頼しているからだよね?

「あっ」

「また」

お父さんの反応につい笑ってしまう。

私たちの視線の先、広場の出入り口にジナルさんたち風のメンバーの姿がある。

フィーシェさんが私たちに気付いているようで、手を振ってきた。

それに残りの2人の視線もこちらに向く。

「おはようございます。どうしたんですか? こんなに朝早くから」

「モンズ師匠に『ふぁっくす』を送るって言っていたから気になって」

ガリットさんが少し恥ずかしそうに話す。

本当に師匠さんの事が気になっているんだな。

ファックスでガリットさんの事を知らせてみればよかったかも。

「送ってきましたから2、3日中に返事が来るでしょう。ただ、向こうで何かあった場合は無理でしょうが」

「そうか」

お父さんの返答に、少し気落ちしたようなガリットさん。

もしかして参加したかったのかな?

それなら昨日のうちに言ってほしかったな。

「馬鹿だな、昨日のうちにお願いしてればよかったのに」

フィーシェさんがガリットさんの肩を叩く。

それを手で払うガリットさんは、フィーシェさんをじろりと睨む。

が、あまり効果が無いのか、フィーシェさんはガリットさんの様子に声を出して笑っている。

その2人のやり取りを見ているジナルさんは、呆れた顔してため息をついた。

もしかして、いつもこんな感じなのかな。

「仲がいいんですね」

「そう、仲良しなんです」

「いえ、けして仲がいいわけでは無いので」

フィーシェさんとガリットさんから同時に返答を貰うが、言っていることは全く逆。

見ていると面白い。

「悪くないですよ。フィーシェが俺たちを振り回して遊ぶ事は問題ですが」

ジナルさんが口喧嘩のような事を始めた2人を見る。

「大変ですね」

お父さんの言葉に大きくうなずくジナルさん。

「経験でも?」

「俺も師匠に振り回され続けたので分かります」

お父さんの言葉に労わる視線を向けるジナルさん。

「いつ何を起こすか分からないから、目が離せないんですよね」

お父さんが頷く。

「そうなんですよ。大人しくしていると思ったら、いきなり突拍子もない事をしだすし」

「そうそう。気付いた時には巻き込まれた後で、しかも巻き込むだけ巻き込んで解決はしないで逃げてしまったり」

ジナルさんもかなり苦労しているようだ。

主に風の仲間2人に。

「俺の場合は、最初から全て押し付けるつもりで問題を起こされてましたけどね」

2人が大きなため息をつく。

なんだか、気が合ってよかった。

少し前まで、ギスギスした雰囲気だったのに。

これは、師匠さんとフィーシェさんとガリットさんのお陰と言えるのかな?

「あの、師匠さんにファックスを送る以外の用事でもあるのですか?」

私の言葉に首を縦に振るジナルさん。

少し真剣な表情をして私とお父さんに向き合う。

「ドルイドさんに確かめたいことと、ドルイドさんとアイビーさんに意見を聞きたい事があって」

何だろう?

これまでと少し違う真剣さがある。

「分かりました。広場でいいですか?」

「よければ、俺たちの宿泊している宿に来て欲しいのだが」

ジナルさんが話し出すと、フィーシェさんとガリットさんが静かにこちらを見ている。

お父さんがフィーシェさんたちをちらりと見る。

「アイビー、大丈夫か?」

お父さんが私を見る。

寝不足で頭が痛いと言っていたからな。

「大丈夫だから心配しないで」

私の返答に頷いて、ジナルさんを見据える。

「大丈夫です。今からですか?」

「出来れば」

お父さんの返答にジナルさんが微かにほっとした表情を見せた。

いったい、どんな話があるのか不安だな。

そう言えば、この風のメンバーはこの村が拠点ではなかったよね。

だったら、お父さんとさっき話した事を相談できるかな?

他から来た人なら違う観点から違う答えを導きだしてくれるかもしれないし。