軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

38話 門番さんとテントを探す?

「おい、引っ張ると痛いだろう!」

「えっ?」

連れの男性が慌てて歩き出した門番さんの腕を掴む。

彼は慌てて、掴んでいた手を離してくれた。

「悪い!大丈夫か?痛くないか?ぅわ~赤くなっちまった」

「はぁ~、ごめんな。悪い奴ではないんだが……思い込んだら周りが見えなくなると言うか」

大人の男性2人に頭を下げられるという初めての経験。

確かに手首はうっすらと赤くなっているが、頭を下げられた事に困惑してしまう。

「だ、大丈夫です!」

「本当に?俺、結構遠慮せずに掴んじまっただろう?」

「本当に大丈夫です」

「そうか?よし、お詫びに良いテントを見つけるからな!」

テント探しは諦めていないようだ。

むしろ今、決定してしまったような気がする。

返事を聞かずに歩き出した門番さんを、放置する事も出来ずに後を追う。

その後ろをもう1人の男性がついて来るけど……これって、大丈夫かな?

少し歩くと、何だか外から見た感じでは入るのに勇気がいるような店の前で足が止まった。

「ここだ。中古でもしっかりと修理して売っているから長く使えると評判なんだ。まぁ、少し親父に癖があるけどな」

中を覗くと、ずいぶんとごちゃごちゃした印象で、私には商品がどれなのか見分けがつかない。

整理という言葉とは無縁の場所という印象だ。

積み上がった物の隙間から、奥に1人の男性の姿が確認できた。

私は迷っていたのだが、門番さんが勢いよく店の中に入ってしまった。

「親父、邪魔するぞ」

「あ?なんだ、お前はこの店に用なんてねぇだろうが」

「客だ」

「客?」

入口に2人の視線が向くので頭を1つ下げる。

「こりゃまた小さい客だな。親はどうした」

「おい。ラトミ村の子供だ」

「ラトミ……口減らししたって言うのは本当って事か。ったく」

どうしよう、口減らしではないですって言うべきか。

でも、だったらどうして未成年が1人で旅をしているのかっていう事になるし。

困ったな。

「どんな物が欲しいんだ?」

「1人用の中古のテントらしい」

「テントか」

店の親父さんが溢れかえるモノの間を行き来して、数点テントを見繕ってくれる。

門番さんが1つ1つ性能や生地のチェックをしてくれている。

……あれ?

既に購入が決定しているような雰囲気なんだけど。

いや、買おうとは思ったけど値段によるし……。

どうしよう、選んでもらったのに値段で買えないとかになったら……。

「あの……」

「お?どうした?要望があるなら言えよ」

「あっ違います。性能は良く知らないので。あの、値段っていくらぐらいしますか?」

「値段か?モノによっては違うが、予算はいくらだ?」

予算……5ギダルでいいかな?

金貨には手を付けたくないし、5ギダルで無理ならあきらめよう。

「5ギダルです」

「え!?5ギダル?」

門番さんがかなり驚いた顔をする。

やばい、間違った?

「ラトミ村から5ギダルが支給されたのか?」

門番さんと一緒にいた男性から声がかかる。

「いいえ。魔物の情報料でラトム村でいただきました」

「魔物の情報料か……5ギダルって事は結構危ない魔物だったんだな」

「はい。擬態できる木の魔物でした」

「あれか~、怪我はしなかったか?あれは危ないからな」

「はい。運が良くて」

「なるほど。それの情報料か」

ところで5ギダルだと少ないのか多いのかどっちなんだろう?

聞いて大丈夫かな?

「5ギダルだと結構いいテントを買えるぞ。それに坊主だったら軽い方がいいだろう」

店の親父さんの声に視線を向けると、見繕ってきたテントの中から1つを選び出してくれた。

門番さんがさっと取り上げると、広げて布の状態を見ている。

「おぉ~。確かにいい品だな」

「当たり前だ。最近で一番いい商品だ。少し手直しもしてある」

門番さんと親父さんが話しているのを聞きながら、触ってテントの重さなどを確かめる。

持ち上げて驚いた。確かに軽い。

ラトミ村から出る時にテントも持って出たかったのだが、体力的に荷物が多くなりすぎて駄目だった。

あの時は追われる可能性を考えて、なるべく荷物を軽くしたかったのだ。

それに1人旅の場合、テントはあまり使わない。

森の中では、見張りがいない状態でテントを使うのは危険なのだ。

特に雨が降ると、魔物の気配を消してしまうので、洞窟や木の穴に身を隠して雨が止むのを待つ。

でもこれから大きな村や町で広場を使うなら、テントは必要になるだろう。

少し迷っていると門番さんがテントを持って店の外に向かう。

「坊主が1人で出来るか確認して来い」

親父さんの言葉に、慌てて門番さんを追って外に出るとテントを渡された。

門番さんの説明を聞きながら、テントを1人で張れるかを確認する。

簡単に張ることが出来るタイプのようで、私でも1人で出来た。

中に入ってみると、地面に接地する面が少し厚みがあって暖かい。

入口を閉じると少し思っていたより大きめの空間が出来上がる。

良いなこれ。