軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

368話 疲れを癒そう

お父さんの予想通り、隣は子供2人連れのご夫婦と女性3人のグループだった。

女性のグループは最初お父さんだけを見て戸惑った表情を見せたけど、私を見て安心したみたい。

やはり女性だけのグループは色々と注意が必要なようだ。

「アイビーは、煮込み料理の腕を上げたよな」

「チッカルさんにコツを聞いてきたから」

「すごいな」

お父さんの言葉に笑みが浮かぶ。

美味しいと言って誰かと食べるご飯は美味しい。

「明日はどうするの?」

「とりあえず町の様子をもう少し見てみよう。森の違和感も気になるしな」

「そうだね。捨て場は行ってもいい?」

「もちろん」

良かった。

ソラたちのポーションの補充もしたいけど、何よりソルに魔力を食べさせたい。

この村の周辺には、違法な捨て場がなかったためソルの食料確保が出来なかった。

いい事なんだけど、絶対にあると思っていたから驚いた。

明日は必ず捨て場へ行って、ソルに思う存分魔力を食べさせてあげたい。

食事が切れてから明日で5日目。

体の様子を見る限り、弱った様子は無い。

間に合って良かった。

「明日は午前中に捨て場に行って、午後から村を色々見て回ろう。そう言えば調査隊が組まれると言っていたな。森での狩りはその報告を待ってからの方がいいかもしれないな」

「そっか」

「あっ、明日はついでに商業ギルドで森で収穫してきた物を売ろう。で、そのあとは『ふぁっくす』用紙を貰わないとな」

「そっか、前にファックスを送ったのは20日前ぐらい?」

「あぁ、そろそろ心配しだすだろう」

お父さんの言葉につい笑ってしまう。

確かに心配してくれているだろうな。

「そうだね。無事旅を楽しんでいるって送っておかないと」

ハタヒ村を出る数日前に送ったからちょっと間が空いたな。

そう言えば、近くに中位魔物が現れたから討伐隊が組まれるかもしれないって書いてあったな。

あれはどうなったんだろう?

皆無事なのか確認しないとな。

「明日の予定はこれくらいだな」

「うん」

夕食の後片付けをし、近くの風呂屋に行く。

宿で風呂の気持ちよさを知ってしまったので、行きたくなってしまう。

お父さんには「仕方ない、あの気持ちよさからは逃れられないからな」と頷かれた。

「あそこだな」

視線の先には風呂屋の看板と店の名前「ふ~」。

「面白い名前だな」

お父さんの言葉に頷く。

「あれって、風呂に入った時につい言ってしまう言葉っぽいね」

「確かに、そうだな」

風呂屋に入るとお父さんと別れる。

いつもお父さんの方が早いから、今日はいつもより少し早めに上がろう。

お父さんが湯冷めしてしまう。

と、思っていたのにゆっくりしてしまった。

久々のお風呂が気持ちよすぎた。

「ごめん、お父さん」

風呂屋から出ると、お父さんが店の前の椅子に座って、待っていてくれた。

謝ると、お父さんは首を横に振った。

先に帰ってもらっていた方が良かったかな。

「体冷えてない?」

「大丈夫、俺も2、3分前に出たばかりだ。久しぶりだったからいつもより長湯していたから」

「そうなの? 良かった」

だったら、大丈夫かな?

「さて、明日も色々動き回るから、帰って寝るか」

「うん。久々にゆっくり寝られそう」

「ここ数日は、睡眠時間が短かったからな」

「うん。明日の予定はあるけど、ゆっくり寝ようね」

ゆっくり話をしながら広場に戻る。

広場から歩いて1分ほどで風呂屋があるのは嬉しい。

そう言えば、旅で初めて風呂屋を使ったな。

旅の疲れも取れるし、想像以上だったな。

テントに戻り、温かいお茶を飲んでから布団に入る。

久々の布団はやっぱり気持ちいい。

足元に視線を向けると、シエルやソラたちは既に熟睡中。

「ふぁ~。お父さん、お休み」

「お休み、いい夢を」

…………

「ん? ん~……よく寝た」

布団の中で足と腕を伸ばす。

気持ちいい。

旅の疲れがすっかり癒されて、久々にすっきり目を覚ますことが出来た。

周りを見る。

テントに異常はなく、お父さんはまだ寝ている。

足元でごそごそ動いている気配がするので見ると、ソラが起きて縦運動をしている。

何となくその運動を久々に見たような気がしてじっと見る。

しばらく見ていると、不意に視線が合う。

一瞬固まったソラは、プルプルと揺れると私に向かって大きくジャンプした。

「おはよう。ソラ」

プルプルと揺れて挨拶を返してくれるソラ。

「可愛いね」

「ぷ~?」

私の言葉に顔を横に傾けるソラ。

やっぱり可愛い。

朝からソラと戯れていると、隣から声が微かに聞こえた。

「お父さん?」

「……うん?」

「ふふっ。お父さんおはよう」

「あ~、おはよう。久々にすっきりだな」

お父さんの表情を見ると、疲れが取れたのか晴れやかな表情で体を上に伸ばしている。

ここ数日は、森の違和感に緊張していたお父さん。

ゆっくり寝て疲れが取れたようなのでホッと安心した。

「朝食作って来るね」

「手伝うよ」

「大丈夫。スープを温めるだけだから」

温めたスープに葉野菜を入れて完成。

少し暖かくなったとは言え、朝晩はまだ少し冷える。

温かいスープがありがたい。

「「いただきます」」

スープに黒パンを浸けながら食べる。

うん、美味しい。

あらかた朝食が終わると、森の中で収穫した果物を1つ取り出して皮をむく。

「アイビーはリスコが好きだな」

「だって、シャリシャリしているのに濃厚な甘さで美味しいんだもん!」

シャリっとした食感の後に、口に広がる濃厚な甘さ。

なのに食べた後はさっぱりとした後味。

もう、最高!

しかも、森の奥で収穫できる果物は完熟している物が多く、村や町で食べるものより数倍美味しいとお父さんが言っていた。

美味しい物を一番美味しい時に食べられるのって幸せだ。

食後の果物も十分楽しんでから、後片付けをしてテントに戻る。

「お待たせ! 捨て場に行こうか」

私の言葉に4匹がとっても嬉しそうに揺れる。

商業ギルドで売る予定の果物や木の実、魔石をマジックバッグに入れる。

「リスコは高級果物だから、半分ぐらいにしておこう」

えっ、高級果物?

そう言えば、収穫している時に聞いたような……。

美味しくて気分が高揚しちゃって……忘れてたな。

「どうした?」

「なんでもない」

急いで首を横に振る。

その様子を見たお父さんが、ニヤッと笑う。

「リスコが高級果物なの、忘れてたな」

すぐばれるし。

「美味しかったから、話は聞いていたけど……忘れてました」

「あはははっ。まぁ、問題ないからいいけどな。おそらく高値で取引できると思うぞ」

「……もう少し、残しておくね」

マジックバッグからリスコを出して、違うマジックバッグへ入れる。

その分木の実を入れようとして、お父さんに確認。

木の実の種類を見て、大丈夫だろうという事になった。

ただ、2種類はお父さんも知らない木の実だったので、それは半分だけにしておいた。

ソラたちをバッグへ入れるとテントを出る。

「まずは商業ギルドだな」

「うん。あっ、おはようございます」

広場から出ようとすると、パフィーさんが出入り口で許可証を確認していた。

「おはようございます。お出かけですか?」

「はい」

「パフィー団員」

お父さんが声を掛けると、なぜか少し背筋を伸ばすパフィーさん。

それに首を傾げる。

「何か制限されているような情報はありますか?」

「制限ですか? いえ、何もないです」

「そうですか、ありがとう」

「……いえ、お気をつけて」

お父さんの質問に、森の違和感の事だと気付く。

やはり、相当気になるみたい。

私は感じられなかったからな。

ちょっと不安だな。