軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

320話 魔力だけ!

「とりあえずソルが食べ終わるまで待つか」

「うん」

警戒をしながら、ソラたちの食事用のポーションを集めていく。

それにしてもゴミが多い。

「ドルイドさん、この近くに何か冒険者が集まってくる理由でもあるの?」

「ちょっと待ってくれ」

ドルイドさんが地図を広げて周りを確認している。

「あれ? あの岩山ってたしか……。おそらく、近くに洞窟があるはずだ。有名な洞窟が」

「えっ? この場所を知ってたの?」

「あぁ、たぶんな。俺が知っている岩山とあそこに見える岩山が似ているから間違いないと思う」

ドルイドさんが指す方角には大きな岩山。

どれだけ大きな岩山なのか、木々の上から飛び出している。

「有名な洞窟か。どんな洞窟?」

「レアなアイテムをドロップしてくれる魔物が沢山いる洞窟だよ。簡単に倒せる魔物もいれば、かなり強い魔物もいる」

レアなアイテムか。

それは冒険者が、かなり集まるだろうな。

あれ?

でも、この周辺に人の気配はしないけどな。

「今も人気の洞窟なのかな? この周辺に人はいないみたいだけど」

「夏から冬にかけて動き回る魔物なんだ。この時期はまだ眠っているから、冒険者もいないんだろう」

季節限定の魔物なのか。

その時期だけ、洞窟が冒険者で溢れかえりそうだな。

「それにしても、俺が前に来たのは確か4年前ぐらいだと思うが、その時はこんな捨て場はなかったけどな」

「そうなんだ」

捨て場を見渡す。

このままにしておくと、色々と問題を起こしそうだよね。

でも、私には何もできないし。

出来る事と言ったら、次の村でこの捨て場を報告するぐらいか。

どさっ。

「えっ?」

「なんだ?」

何かが落ちた音がした。

音がした方へ視線を向けると、見たことのない魔物が捨て場に転がっている。

その近くにはソル?

「えっと、ソルだよね?」

「ぺふっ」

元の大きさになったソル。

それはよかった。

ただ、なぜか体全体に模様が浮かびあがっている。

「ドルイドさん、あの模様を見たことある?」

「いや、そもそも黒のスライム自体ソルが初めてだからな」

だったら分からないか。

それよりも、ソルの近くに転がっている魔物は何なんだろう。

動かない所を見ると、死んでいるみたいだけど。

どこから来たの?

空を見上げるが、綺麗な青空が広がっている。

空を飛ぶ魔物っていたかな?

聞いたこと無いな。

ソルを見ると、転がった魔物に乗って飛び跳ねている。

「ソル、その魔物の事を知ってるの?」

「ぺふっ」

知っているらしい。

「もしかして」

ドルイドさんが何か気付いたのか、魔物に近づいて行く。

「やっぱり。前に捨て場を無断で作るのは駄目だと話したことを覚えているか?」

確か、ハタウ村へ行く途中で捨て場を見つけた時に教えてくれた事だよね。

「うん。魔力を吸収する魔物がいるからだったよね。魔力の影響で凶暴化したりして危ないって」

「あぁ、正解。これが、魔力を吸収できる魔物だ」

その魔物が?

「あれ?」

魔力を吸収する魔物?

……ソルも捨て場で魔力を食べているよね?

これって吸収と同じだよね?

ということは、ソルも凶暴化したりするの?

ソラたちが大丈夫だと判断していたから、魔力を吸収する魔物とソルが結びつかなかった。

「ドルイドさん、今気が付いたのだけど」

「何?」

「ソルも凶暴化したりするの?」

「えっ、今?」

ドルイドさんが驚いた表情をする。

そうだよね。

もっと早く気付く問題だよね。

「うん、今。これまで全く考えもしなかった」

「そうなのか。あ~、正直に言えば、少し不安はあった」

だよね。

私は全く思いつきもしなかったけど。

森の中を旅しているのに、危険に疎すぎるな。

気を付けないと。

「ソルがこのまま魔力を食べ続けたら、いつか凶暴化するのではないかとかもしくは突然変異」

「やっぱり」

「あぁ、ただ食べている姿を見たら力が抜けた。何というか……」

あ~、うん。

分かるな。

ソルが魔力を食べた時に見せる、にま~っとした力の抜ける笑み。

あれを見ると、力が抜けるんだよね。

「それにソラたちの反応も普通だったしな。あと、魔力を吸収できる魔物にスライムは入っていなかった」

もしかしてソルを仲間にしてから調べてくれたのかな?

だったら、面倒な事をさせてしまったな。

もっと慎重に仲間を増やしていかないと駄目だね。

うん、次はドルイドさんに確認を取ってから仲間にしよう。

「それに、本当に捨て場のゴミから魔力を吸収しているのかは憶測だからな」

「そうなの?」

「あぁ、かなり時間を掛けて研究されているらしいが、まだまだ不明な事が多いんだ。確実に分かっている事は、捨て場で魔力を増やす魔物がいる事。魔力の影響で凶暴化したり、突然変異を起こす事がある。これだけだ」

それだけ分かれば十分では?

「一番重要な魔力を集める方法が分かっていない」

「えっ? 集める方法は吸収でしょ?」

「いや、まだ方法は分かっていないんだ。ただ多くの研究者が『吸収説』を唱えるから、捨て場の危険性について話をする時に用いられるだけだ」

そうだったのか。

でも吸収以外で魔力を増やせる方法なんてないよね?

それが正解じゃないのかな?

「ぺふっ」

ん?

鳴き声に視線を向けると、転がっている魔物が目に入る。

「で、この魔物ってどこから来たの?」

その答えをまだ貰っていないのだけど。

「ソルが食べてた魔物だと思う」

「えっ? 本当に? 私を襲ったあの魔物?」

「ぺふっ」

ソルが鳴くということは、本当にあの魔物?

ドルイドさんに近づいて魔物の顔を見る。

……違うよ?

「全然姿が違うけど、それに小さくなった気がする」

「溢れた魔力で姿が変わって暴走していたんだろう」

目の前で転がっている魔物はどちらかと言えば弱そう。

あの時襲いかかった魔物は、牙を剥いて敵意剥き出しで恐ろしかった。

あれとこの魔物が同じとは、魔力による変化って恐ろしいんだな。

「ん? 体内の魔力が無くなったから、元の姿に戻ったって事でいいのかな?」

そういう事だよね?

体内に溜め込んでいた魔力で姿が変わっていたが、それが無くなったために本来の姿を取り戻した。

死んでいるけど。

「あぁ、おそらくそうだろう。どうしてだ?」

「つまり、ソルは魔力だけを食べたって事だよね?」

ソルがこの魔物を包み込んでいる時は体も食べたように見えたけど、どこにも欠損はない。

となれば、あれは見間違いだったって事だよね。

おそらく魔力が抜けて体が元の大きさに戻ったから、そのように見えたのだろう。

「……魔力だけだな」

ドルイドさんが残念そうに答える。

「ですよね」

ソルが魔力以外にも食べられると思ったのは、ぬか喜びだったか。

残念。

「ぺふっ」

私とドルイドさんの反応に不思議そうなソル。

そのソルに違和感を覚えたのでじっと見つめる。

「ドルイドさん」

「なんだ?」

「ソルにあった模様が消えてる」

「えっ?」

ドルイドさんが、ソルを掌に乗せて確認する。

「ぺふ~、ぺふ~」

ソルは、模様が消えても元気そうだけど。

「ソル、体に異変はない?」

凶暴化するとか止めてね!

「ぺふっ」

「大丈夫そうだな」

ドルイドさんの言葉にホッと胸をなでおろす。