軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

258話 レア度アップ

「ざぶい~」

寒さで言葉がおかしい。

まさかここまで森の中が冷え込んでいるなんて思わなかった。

確かに木々が邪魔して太陽の光が全く届かないから、村より寒いとは思ったけど。

ここまで寒くなる必要は無いと思う。

シエルがお腹を満たすため狩りをしている間、捨て場でポーションを拾いに来たのだが、寒すぎる。

拾うポーションも冷気にさらされていつもより冷たい気がするし。

「ぷっぷぷ~」

「てっりゅりゅ~」

なんで2匹はいつもと変わらないのだろう?

「ドルイドさん、スライムって寒さに強いんですか?」

「いや、聞いたことはないが。ソラたちを見ていたら、強いんだろうな」

「うん……羨ましい」

「アイビーは、暑さより寒さに弱いみたいだな」

「そうみたいです。私も初めて知りました」

手がかじかんで、さっきから何度も拾ったポーションを落として時間を無駄にしている。

あっ、また。

何度も手を擦りあわせているが、芯まで冷え切っているのか温まらない。

そんな私の様子を見て、ドルイドさんが私の指をぎゅっと握った。

「冷たいな」

「うん」

ドルイドさんの手がいつもより温かい。

これって私の手がいつもより冷えているからかな?

「そう言えば、冬の手袋があるらしい」

「冬の手袋?」

「あぁ。俺のように剣を持つ者は、自分の手を守るためにつける手袋があるんだ」

確かにドルイドさんの手には手袋がある。

剣の持ち手の摩擦から掌を守る意味があるらしいが、剣を持たないので良く分からない。

「こういう形の手袋で冬用のものがあるらしい」

「冬用のもの」

あっ、なんだか記憶の奥にドルイドさんがしている手袋とは全く違う手袋が浮かんできた。

これはおそらく前の私の記憶だ。

前の私の世界にも冬用の手袋があったということなのかな。

暖かそうだな。

「手袋はどっちだろうな?」

「どっちとは?」

「ん? アイテム屋か服屋か」

前の私の知識から言えば、服屋みたいだ。

そう言えばアイテム屋に代わる知識は浮かんでこない。

もしかしたら代わるお店がないのかも。

「ローズさんに聞いて、なかったら服屋の『シャル』にお邪魔するか」

「いいのですか?」

嬉しくて敬語になってしまった。

「あぁ、手が 悴(かじか) んでポーションも掴めないみたいだし」

私が落としたポーションを、バッグに入れながら言われてしまった。

「ありがとう」

ドルイドさんに温めてもらったのに、手は既にジンジンと痛みを訴えている。

「そうと決まれば、シエルが戻って来るまでにバッグの中身をいっぱいにしようか」

「うん」

落とさないように頑張ろう。

「あのドルイドさん、ずっと耳に入ってくる音って気にしなくていいでしょうかね?」

ポーションを拾っている時も、今話をしている時も、ポンポンと聞こえてくる音。

確かにフレムに魔石を復活させることを止めはしなかったけど……。

逆にお勧めしちゃったけど。

「まぁ、ほら。この村では必要な物だし。あとはタブロー団長さんに丸投げ……お願いしてあるし」

今ドルイドさん丸投げって言った?

いいのかな、迷っている団長さんに迷惑かけないかな?

「大丈夫、大丈夫」

ドルイドさんが言うなら大丈夫なのかな?

「フレムの頑張りを褒めないとな」

「うん。あの音から、相当頑張ってくれているみたいだし」

「ハハハ」

ちょっと頑張りすぎなような気もするが。

頑張れと言ったのが駄目だったかな。

「こんなモノかな」

2つのマジックバッグにポーションと剣。

宿に置いてある数と今日の物を足すと、ぎりぎり冬に拾いに来なくても大丈夫なぐらいだ。

「結構な数を集めることが出来たな」

「うん。これで冷え込みが酷くて森へ出られなくてもソラたちは大丈夫」

「あとはシエルの狩りだな」

そう、シエルはお腹が空いたら森へ狩りへ出かける。

森への出入りが寒さのため封鎖されたらどうしたらいいか。

「協力者が必要だな。もしもの時のために」

確かに。

それにしても協力者か。

「ドルイドさんは誰が協力者に向いていると思いますか?」

「プリアギルマスだな」

「プリアギルマスさんですか?」

想像していなかった人の名前が挙がったな。

私はてっきりタブロー団長の名前が挙がるかと思ったけど。

「封鎖されている門を堂々と出るには森の変化について知っておく必要がある。

そう言う情報は冒険者ギルドに集まるからな」

なるほど、森に変化があったから私たちが見に行くとかそんな感じなのかな。

「まぁ、後でゆっくりと相談しようか」

「うん」

ソラとフレムのもとへ向かう。

少し前からポンという音は止まっている。

おそらく疲れて寝てしまったんだろう。

「まぁ、想像以上だな」

寝ているフレムの周りに転がる魔石。

もう頑張れと応援するのは止めておこう。

「ぷっぷぷ~」

ソラも満足出来たのか、体を伸ばして食後の運動中。

それを横目に、復活させた魔石を1つ1つ小袋に集めていく。

「そう言えばローズさんが、フレムが復活させた魔石に感心していたよ」

「感心?」

「あぁ、俺もローズさんに指摘されるまで気が付かなかったんだけど」

何だろう?

「ローズさんから貰った使用済みの魔石って、レベルが7もしくは8だったらしい」

えっ?

あれ、でもフレムが復活させた魔石って。

「それなのにフレムが復活させた魔石は、おそらくレベル5以上。本来の魔石のレベルを軽く超えているんだ」

「そうですよね?」

「フレムは魔石のレベルを上げることが出来るようだ」

レベル7ぐらいの魔石がフレムの力でレベル5……このたった数分でフレムのレア度が上がった。

聞かなかった事にしたいな。

転がっている魔石を全て拾い、フレムを抱き上げてから捨て場から出る。

「ぷっぷぷ~」

ソラは大満足だったようで、かなりご機嫌だ。

好きなだけ食べられる場所は、捨て場だけだからな。

「そろそろシエルも戻ってくる頃かな?」

「そうですね~」

ドルイドさんの言葉に、シエルの気配を探す。

微かにそれらしい気配を感じたが、まだ遠い場所だ。

マジックバッグから、暖かいタオルを取り出してソラとフレムの体を膝の上にのせてから拭く。

ソラは気持ちよさそうだ。

フレムは寝ているのを邪魔されたと思ったのか、体を揺らして抗議してくる。

「フレム、体を拭くだけだから」

なんとか拭き終わり、まだぬくもりがあるタオルで手を拭く。

バッグの中のタオルを確認してから、フレムを膝からバッグへ。

「あれ?」

フレムの体は赤一色。

透明感もあるためとても綺麗な色だ。

そのフレムの胸元に何かシミ? のようなものがある。

そっと触れてもフレムには痛みが無いのか特に反応を返さない。

もう一度、冷えてしまったタオルで拭うが取れない。

近くで飛び跳ねて遊んでいるソラを見る。

確かソラの時も色が急に混ざりだした。

ただ、こんなシミに見えることはなかった。

仕方ない、もう少し様子を見よう。