軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

245話 睡眠不足

「ねむい……」

昨日の夜はずっと風が鳴り響いていて、窓もガタガタとうるさくて正直怖くて寝れなかった。

ひゅ~っという音はどこか不安を掻き立てる。

「おはよう。大丈夫か? 昨日あまり寝れてなかったみたいだけど」

「大丈夫です。朝方には寝られたので」

「今日はギルドにスノーの報告だけして、ゆっくりしようか」

「うん」

少しだるく感じる体を軽く運動することで誤魔化し、朝食を貰いに1階に行く。

食堂に入ると、宿に泊まっている人たちが集まって話をしている姿が目に入る。

「「おはようございます」」

隣を通る時に挨拶すると、それぞれが挨拶を返してくれた。

私はそのまま席に向かうが、ドルイドさんは集まっている輪に参加する。

宿に泊まっている冒険者たちは、朝の挨拶時にそれぞれ持っている情報を交換する。

私はまだ子供という事で参加が出来ない。

なので、朝の情報交換はドルイドさんの朝のお仕事になってしまった。

「おはようございます」

朝食を配っているドラさんに挨拶をして椅子に座る。

数日もすれば客の座る位置も決まってくるのか、みんないつも同じ場所だ。

「おはよう、昨日の夜は凄かったけど寝られたかい? ん? 無理だったみたいだね」

ドラさんが私の顔を見て、苦笑いした。

そんなにひどい顔をしているのかな?

朝、鏡を見た時はうっすらと隈が出来ていたぐらいだったけど。

「そんなにひどい顔をしてますか?」

ちょっと心配になって訊いてみる。

「目の下の隈に、それに顔色がいつもより悪い。大丈夫か? 喉の痛みとか寒気がするとかあるか?」

少し考えるが、特に問題ないので首を横に振る。

「少しでも体調が悪かったら言ってくれ」

「はい。ありがとうございます」

フレムのポーションを飲んでおいた方がいいかな?

ドルイドさんに相談してみよう。

「どうした?」

「顔色が悪いらしくて、風邪を引いてないか心配されちゃいました」

「確かに、少しいつもより暗いな。後で……後で話そう」

なんとなくドルイドさんもフレムのポーションを思い出したのかなっと思ったが、ここで話せる内容ではないと気が付いたのか、ドルイドさんが肩をすくめた。

朝食を食べながら、何か情報があったのか訊く。

「この村では1月に4回、他の村や町にお肉を届ける冒険者がいるらしい。2日前に戻ってくる予定だった冒険者からの連絡が途絶えているそうだ。寒さ対策はある程度はしていたそうなんだが、ここまでの寒さは考えられていなかったみたいでな。捜索隊が出るそうだ」

「そうですか」

昨日の冷え込みを思い出す。

部屋の中は赤の魔石を使った暖炉があって暖かいはずなのに、いつもより寒かった。

「今日は、お昼からギルドへ行こうか。朝方は忙しいだろうし」

「うん」

そういえば、帰って来ていなかった人たちは戻って来たのだろうか?

食堂を見渡すと、一番離れた場所にその家族を見つけた。

子供たちはかなり疲れた表情をしている。

でも、無事だったようだ。

部屋に戻ると、ソラとフレムも食事は終わっていた。

「お昼からギルドに行くけど、一緒に行ってくれる?」

私の言葉に3匹がプルプルと反応を返してくれる。

可愛いな~。

「お茶を飲もうか」

ドルイドさんがいないと思っていたら、お茶の準備をしてくれていたらしい。

「ありがとう」

「あっ、さっきの話だけど」

「ん?」

「もしかしたら風邪の引き始めかも知れないから、フレムのポーションを飲んでおこう」

倒れたりしたら心配かけるし、予定も変わってしまう。

ここは予防のためにも、貰っておこう。

「うん。フレム、ポーション貰うね」

ベッドの上でうつらうつらしていたフレムがふっと目を開ける。

相変わらず目つきが悪いのに可愛く見える不思議。

「てりゅ~」

……寝ぼけた感じで鳴かれたんだけど、これは『いいよ』という事かな?

じっとフレムを見ると、一生懸命開けていた目がどんどん閉じていく。

「はい」

フレムを見ている間にドルイドさんが、ポーションをボックスから取ってきてくれた。

それを小さいコップに一口分入れてグッと飲み込む。

体にスーッと染み込むような感覚がする。

やはり、風邪のひきはじめだったのかな?

「大丈夫か?」

「うん。フレムのポーションは優秀だから大丈夫」

「なら、お昼までゆっくりするか。アイビーは寝るんだったら寝ておけ。寝不足は体に悪いぞ」

「ありがとう」

お腹がいっぱいになったため、睡魔が押し寄せてきている。

ここで頑張っても意味はない。

「少し寝るね」

「あぁ、お休み」

ベッドに入って寝る体勢になると、ドルイドさんが頭を軽く撫でてくれる。

その気持ちよさに目を閉じる。

意識がふっと浮上する。

寝ていた体を起こし、腕を伸ばしながら部屋を見渡す。

ドルイドさんはいない。

ドルイドさんのベッドの上を見ると、ソラたち3匹がかたまって寝ていた。

窓から外を見ると、暖かな光が部屋に入り込んでいる。

寒さは落ち着いたのかな?

ガチャリッ。

「おはよう」

「おはよう」

ドルイドさんが入って来るとパンの香ばしいかおりが部屋に広がる。

やっぱりこの匂いはお腹が空くな。

「体の調子はどうだ? 顔色は良くなったけど」

「もう大丈夫」

感じていた重さはないし、寝不足も解消されている。

「よかった。お昼、昨日のパンが残っていたからそれでいいか?」

「うん、頂きます」

ベッドから降りて皺がついてしまった服をパンパンと軽く叩く。

ん~、皺ってとれない物なんだな。

着替えてから寝ればよかったかも。

「「いただきます」」

お昼を食べながら、これからの予定を話し合う。

といってもギルドに行くだけなんだけど。

「疲れているなら宿に残っていてもいいぞ?」

「大丈夫。もう元気だよ」

かなり心配されたが、何とか説得して一緒に行けることになった。

ソラたちを見ると、ボーっと目を開けてこちらを見ているシエルと目が合った。

寝ぼけているのかな?

「眠いの? 宿に残っていてもいいよ?」

一緒に行くことにはしていたが、かなり眠そうだ。

少し心配だが、この子たちは頭がいいので誰かが来たらちゃんと隠れてくれるだろう。

「にゃっ!」

ちょっと不機嫌な声を出すシエル。

「一緒に行く? 大丈夫?」

「にゃうん」

「ぷっぷぷ~」

なんとも眠そうなソラの声。

でも一緒に行くようだ。

フレムは……爆睡中。

なんだかいつもより、眠りが深い気がする。

「昨日は3匹とも、あまり寝られてなかったみたいだから」

「そうなの?」

「あぁ、アイビーが起きるのと同じぐらいに3匹も一緒に起きていたな。風の音が気になったみたいだ」

それで、今日は何処か眠そうで元気がなかったのか。

「フレムも連れて行った方がいいだろう。今日のフレムは、誰かが部屋に入ってきても対応できない可能性がある」

確かに、かなり眠りが深い。

この状態では見つかってしまうかもしれない。

「じゃぁ、皆一緒にギルドに行こうね」

「ぷっぷぷ~」

「にゃうん」