軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

232話 宝探し

大通りから横道に入って2本目の角を右に曲がって、すぐのお店。

見回りをしていた自警団の人に聞いた、マジックアイテム等を販売しているお薦めのお店。

「ここだな」

「大きいですね。楽しみ!」

「服を選ぶ時より楽しそうだな」

「うん」

「……ん~、それはどうなんだ?」

ドルイドさんが、項垂れているのに気づくことなくワクワクしながらお店に入る。

テントを買ったお店でも思ったが、本当に多種多様なアイテムがある。

しかもごちゃごちゃとしていて、気分は宝探しだ。

お店の奥を見ると、珍しい事に女性の姿。

こちらを向いたので1度頭を下げる。

「お邪魔します。見て回って良いでしょうか?」

「あぁ、いいよ。気になるモノがあったら声をかけてくれ」

「はい。ありがとうございます!」

良かった、ちょっと冷たい印象があったから怖かったけど、普通だ。

「アイビー?」

「お店の人には許可をもらえたので、自由に宝を探しましょう!」

私の様子を見てドルイドさんが笑った。

「宝探しか、確かにそうだな」

お店の棚にはこれでもかとアイテムが押し込まれている。

棚と棚の通路にもアイテムが積み上がっていて、何が置いてあるのかまったくもって不明だ。

この中から必要な物を探すのだが、これが結構面白い。

しかも知らないアイテムなど、手に取って見ることが出来るので本当に楽しい。

「よし、探すのはアイテムボックスと機能付きマジックバッグな」

「頑張って探すね!」

2人で別々の通路に入ってそれぞれアイテムを確認して行く。

「マジックボックスって箱型だよね? 箱を探せばいいのかな?」

棚から箱型のアイテムを1つ1つ取り出して確認して行く。

こういうお店には、棚にアイテムの機能を読み取るマジックアイテムが置いてある。

この店にもちゃんと用意されているので、それを使って手に取ったアイテムが何かを調べていく。

「無いな」

手に持っているアイテムを読み取ると『ゴミ箱 無臭』と表示される。

捨てたゴミが臭わなくなるのかな?

良く分からないな。

それにしても無いな~。

「困った」

「アイビー、あったか?」

「いえ、ドルイドさんは?」

「2個見つけたよ」

見せてもらったのは30㎝ぐらいの箱と、それより1回り大きい箱。

機能を読み取るマジックアイテムを小さい箱に近付けると『マジックボックス30L 時間停止、鍵付 登録2』。

もう1つの大きい箱は『マジックボックス30L 鍵付 登録3』。

「この登録ってなんですか?」

「開けられる人を、ボックスに覚えさせておくことが出来るんだ」

凄い、そんな機能があるんだ。

「このボックスの鍵はどれですか?」

「このタイプは登録した人の掌が鍵になるんだ。だから鍵を落として大変な目に遭う事もない」

経験があるのか、ちょっと遠い目をするドルイドさん。

「経験ありですか?」

「あぁ、師匠が鍵を落としてな。あの時は本当に大変だったよ」

さすが師匠さんだな、いろいろやっている。

そう言えば、鍵を無くしたマジックボックスってどうなるんだろう?

「鍵を無くしてしまったら、どうなるのですか?」

「諦めるしかないな」

「それは悲しいですね」

「あぁ。そうだ、もしもの時を考えてギルドに登録する予定だから」

「もしも?」

「この掌が鍵のボックスを盗む奴はほとんどいない。開けられないからな。でもたまに馬鹿がいるんだよ。挑戦しようとする奴が。でも実際は開けられないから最後には捨てられる。そういう持ち主不明のボックスになった時にギルドに登録しておけば、返ってくるから」

なるほど、確かにもしものために登録は必要だな。

「で、どっちがいいと思う?」

「そうですね。どっちがいいんだろう?」

大きさは違うけど、入る容量は30Lと同じみたいだな。

違いは登録数と時間停止。

ポーションを入れるなら時間停止は必要かな?

「小さい方でしょうか?」

「容量が一緒だから、やはり小さい方でいいよな」

「時間停止が大きい方には無いので」

「ん? あっそうかアレがあるから時間停止は必要か」

ドルイドさんは、どうやらポーションの事を忘れていたようだ。

劣化版ポーションほど早くはないが、正規品ポーションでも時間とともに劣化していく。

その為ポーションを長期間持ち歩く場合は、時間停止のバッグなどにポーションを入れておくのが常識だ。

これで正規品のポーションは劣化しない。

ただし、時間停止に入れても速度は遅くなるが劣化版は劣化し続ける。

「ならこの小さい方だな。30Lもあれば重要な物は全て入るよな?」

「大丈夫だと思う」

バッグの中にあるのはソラのポーションとフレムの魔石。

それに黒の宝珠に黒石が12個。

「あとは、機能付きのマジックバッグか」

マジックバッグならこちらの棚に積み上がっていたな。

「ドルイドさん、あそこの棚に詰め込まれてますよ」

私が指した棚には、くるくると巻かれて棚に突っ込まれているマジックバッグ多数。

「よし、1つ1つ確かめていくか」

「うん」

「何を探しているんだい?」

棚に近づこうとすると、後ろから声が掛かる。

それが思いのほか近かったので驚いて振り返る。

少し離れた後ろに佇む女性。

「マジックバッグです。機能が付いた物が無いかと思いまして」

不意に現れた女性にドルイドさんも驚いたようで、少し声が上ずっている。

「機能付きのマジックバッグか?」

「はい。ありますか?」

「あぁ、そこにあるのはそこそこの物だ」

そこそこ?

「どんな機能が欲しいんだい?」

「そうですね。偽装機能の付いたバッグってありますか?」

偽装機能?

「確かあったはずだが、何に使うんだい?」

「貴重品を宿に置いておくのに使いたいんですよ。宿の人はいい人なんですが、人の出入りがありますからね」

「なるほどな。ちょっと待っとけ」

女性はそう言うと、店の奥へと戻って行く。

「持ち歩かないんですか?」

「冬は犯罪が増える時期だから、持ち歩くのは危ないと思ってな」

聞いたことがある。

冬は、冬を越すために犯罪を犯す人が増えるって。

この村でもそうなのかな?

「といっても、貴重品の入ったバッグをそのまま部屋に置いておくのは怖いからな」

それは怖すぎる。

「だから対策として、マジックボックスに入れて開けられる人間を制限して、偽装機能の付いたマジックバッグで特定の人以外の目に見えないようにしようと思ってな」

「偽装機能の付いたマジックバッグなんてあるんですね。驚きました」

「知らなかった?」

「うん」

「そうか。マジックバッグについている機能は面白いぞ。使い道が良く分からない機能もあったりするから」

どんな機能なんだろう?

「あったよ。ベル機能がついている物もあるが、どうする?」

「ベル機能?」

「あぁ、マジックアイテムの機能を止める前に動かそうとすれば、ベルが鳴るんだよ。お兄さんたちの求める物はベル付きの方がいいかと思ってな」

ん?

マジックバッグの機能って動かしたり停止することが出来るの?

後でドルイドさんにしっかりと確認しておこう。

「こっちはベルの代わりに、毒針が仕込めるタイプの物だ」

毒針?

それはちょっと、部屋に入ったら人が死んでいるとか駄目でしょう。

「毒針は必要ないな。ただベルは欲しいな」

「あとこれ」

女性の手には木箱。

綺麗な彫り物がしてあって、とても綺麗だ。

「今持っているボックスと容量や機能は同じなんだが、これには追跡機能がついている」

追跡機能?

「それは何ですか?」

ドルイドさんも知らないんだ。

「ボックスが盗まれたら……これ」

女性がボックスの中から取り出したのは透明のプレート。

そのプレートに『追跡』と言葉をかけると光が点滅し始める。

「この光がボックスの場所。少し離れると、ボックスがある方向へ矢印を向けるんだ」

女性がボックスから少し離れるので付いて行くと、プレートにはボックスがある方向へ向かって矢印が表示される。

「盗まれた時の対策機能って事ですね」

「あぁ、どうだい?」

「幾らですか? ちょっと高そうですが」

ドルイドさんの言葉に女性は満足げに頷く。

「2つで1ラダルだよ」

「えっ、安いですね」

ドルイドさんの反応に『安いのか?』と首を傾げる。

1ラダルは高いと思うのだけど。

「あぁ、これは表に出てなかった物だからね。安くしておくよ」