軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

196話 想像以上

ドルイドさんの家はやはり広かった。

全部で部屋数が8部屋もあるらしい。

「どうしてこんな広い家を?」

「ん~、なんとなくかな」

なんとなくで広い家を購入できるのだから、やはりドルイドさんはすごい。

「いつも使っている部屋は2部屋だけなんだ」

「えっ? 2部屋だけですか?」

「1人暮らしだから2部屋で十分だった」

そうか。

1人だとそんなに部屋は要らないか。

毎日違う部屋で寝るなんて人いないもんね。

……いないのかな?

「残りの3部屋は物置として3部屋は空いているはずだ。最初に謝っておく、汚いから」

ドルイドさんの言葉に首を傾げる。

今私は、おそらく食事などをする部屋にいるが綺麗だ。

掃除もある程度行き届いている。

なのに汚い?

「口に布を当てて行こう」

えっ!

そこまで?

不思議に思いながら、布を口と鼻を覆うように当てて頭の後ろで結ぶ。

埃対策だが、必要なのかな?

「さてと、こっちだ」

ドルイドさんの後に続いて廊下を歩き、最初に見えた部屋を通り過ぎる。

「その部屋は使っている部屋で寝室なんだ。で、ここから後の部屋は物置みたいなモノだから」

8部屋中3部屋が物置か、考えたら贅沢な使い方だな。

ドルイドさんと一緒に、奥へ進んでいく。

あれ?

なんだか空気が澱んだ?

ドルイドさんが最初に見えた部屋の扉を開ける。

「あっ」

その瞬間、埃が舞い上がったのが光の加減で見えた。

ドルイドさんも眉間に皺を刻んでいる。

そして、扉の中に……入ろうとしない。

不思議に思って部屋の中を覗くと……入り口付近にまで積み上がった荷物。

入らないのではなく、入れなかった。

しかも、ものすごい埃だ。

いったい何センチあるのか調べたくなるほど荷物の上に埃が積もっている。

「……この部屋は後にしよう」

そう言ってドルイドさんが扉を閉める。

そして次の扉へ、開けて何も言わずに閉めた。

それを繰り返すこと5回。

最初に開けた扉の前に戻る。

「ここから始めましょう」

「そうだな、まさか全部屋似たようなことになっているとは」

「しかも物置は6部屋でしたね」

「……おかしいな、俺の記憶では3部屋だったはずなんだけど」

ドルイドさんが首を傾げている。

まさかここまで荷物があるとは知らなかったようだ。

あれ?

荷物を積んだのはドルイドさんではないのかな?

「あの荷物を積んだのは誰なんですか?」

「……俺だな」

「そうですよね?」

「……積むときは何も考えずに空いてる場所、空いてる場所に置いていくから。知らない間に溜まっていくんだよ」

そういうモノなのかな?

「そうですか。とりあえず、埃をどうにかしないと駄目ですね。えっと要らない紙を水にぬらして、ふき取って行きましょうか」

「それがいいかな。紙は後で集めて燃やせばいいよな」

「はい」

ドルイドさんと目があう。

そして2人で苦笑い、これは長くかかりそうだ。

「悪いな、ここまでとは……」

「いえ、頑張ります」

「ありがとう」

まぁ、2人で片付けるのだから今日中には何とかなるかな。

…………

「疲れた」

「はい。まさかここまで手こずるとは思いませんでした」

今日、片付いた部屋は3部屋。

1日で終われると考えたが、甘かった。

埃を掃除するだけでも大変だったが、荷物が多すぎた。

中身を確認するのに時間がかかったのだ。

「すごいですね。こんなに色々なマジックアイテムがでてくるなんて」

「さすがの俺も驚いたよ」

「……ドルイドさんが確保してきた物ですよね?」

「まぁ、そうなんだけど。興味がなかったから。中身を確認していないモノもあるな」

ドルイドさんは、もっとしっかりしている印象だったのだけど。

けっこういい加減な面もあるんだな。

それとも物に興味がなかったら、こんな感じになるのかな?

「さて、今日はこの辺りにして夕飯にでもしようか」

「はい。あっ、ソラとフレムは大丈夫だったでしょうか?」

掃除しているあいだ、食事をしている部屋にソラとフレムを自由にさせておいた。

急いで部屋に行こうとすると、ドルイドさんに止められた。

「行く前に埃を払っていかないと」

そうだった。

掃除したときのままの状態だから、全身埃まみれだ。

体をぽんぽんと叩くと舞い上がる埃。

……すごい。

「さっき見つけたマジックアイテムとか使えそうだな。ちょっと待っててくれ」

そう言えば先ほど面白いモノがあったな。

前の私の知識で言えば、小さい掃除機。

空気の力で埃を吸い取ってくれるマジックアイテムだった。

テントの中の掃除に使えるなと話したばかりだ。

「これだったよな」

「はい」

マジックアイテムを受け取り、スイッチを入れるとコーっと軽い音がする。

吸い込み口部分を服に充てると、埃が吸い取られていく。

「お~、凄いです。面白いですよ」

「本当だ。結構使えるマジックアイテムだったんだな。あっ、背中の埃を取るよ」

マジックアイテムをドルイドさんに渡して背中を向ける。

背中を小さな掃除機が上から下に移動する。

威力はそれほど強くないようで、丁度いい感じだ。

私が終わると、次はドルイドさんの番。

背中の埃を私が吸い取って完了。

「使えるけど、背中の部分を人に頼まないと駄目なのはちょっと使えないな」

「ドルイドさん、これは服の埃を取るマジックアイテムではないと思いますよ」

「あっ。そうだったな」

とりあえず、埃っぽさを何とかしたのでソラとフレムのもとへ行く。

いたずらなんてしていないとは思うが、大丈夫だったかな?

「ソラ、フレム。お待たせ」

部屋に入ると、すぐに2匹の姿が目に入る。

「おっ、分かりやすいな」

何故か机の上で2匹が寝ている。

周りを確認するが、特にいたずらをしていた形跡はない。

まぁ、テントの中でもいい子たちなのでそれほど不安ではなかったが。

「ぷ~?」

「りゅ~」

私たちの気配を感じたのか、2匹が目を覚ます。

おっ、フレムも目を覚ました。

何か心境の変化でもあったのかな?

「おはようソラ、フレム。フレム、今日は起きれたんだね」

私の言葉にじっと私を見るフレム。

何だろう?

疑問を感じていると、2匹の視線が玄関の方へ向く。

すると玄関の扉が叩かれる音が。

「あれは、きっと師匠だ。なんでかチャイムを使わないんだよな」

ドルイドさんが玄関へ向かう。

もしかすると、師匠さんではない可能性もあるので、2匹の専用バッグを持つ。

「お前な~、俺が被害にあっている時に涼しい顔をしやがって、しかもとっとと帰っていくしよ」

師匠さんで正解だったようだ。

バッグを元の場所に置いて、急いで玄関へ向かう。

「師匠さん、お疲れ様です」

「アイビーも一緒だったのか。あれ? アイビーちょっと埃っぽくないか? そう言えばドルイドも」

どうやら、まだまだ埃っぽかったようだ。

一番ひどい状態ではないため、大丈夫だと思い込んでいた。

「物置の掃除を」

「とうとうやる気になったのか?」

どうやら師匠さんは、あの物置としている部屋の惨状を知っているようだ。

「旅に出る前に整理をしようかと思いまして。旅にも使えるものがある筈なので」

「まぁ、有るだろうな。しかしあの部屋から発掘するのは大変だろう」

発掘って言われた。

確かに大量にあるマジックアイテムから未だに寝床マットは出て来ていないからな。

ちなみにテントもまだだ。

ドルイドさんが頑張って探していたが、見つからなかったのでどうやら部屋が違うらしい。

まぁ、まだ今日と同じだけのマジックアイテムがあるのだ。

ドルイドさんが探しているテントも出てくるだろう。

「それより師匠。どうしたんですか?」

「あぁ、広場にアイビーを探しに行ったんだが見つけられなかったから、ドルイドに居場所を聞こうと思ってきたんだ。まさかこの家にいるとは思わなかったからな。入っていいか? 夕飯になりそうな物を買ってきた」

私に用事?

「何かありましたか?」

「んっ? シエルのことが聞きたいかと思ったんだが」

あっ、そうだ。

確かに時間が出来たら、師匠さんにシエルのことを聞きに行こうと考えていたのだった。

「聞きたいです! シエルかっこよかったですか?」

シエルの戦う姿はかっこよかったからな。

「あぁ、かっこよかったぞ。最初はかなり驚いたと言うより全員で震えあがったけどな」

震えあがった?

「俺達がグルバルの大群に襲われている時に来てくれたんだが、何が起こっているのか確認できなくてな。グルバルより、もっと強い魔物が俺達に襲いかかってきたと勘違いして、さすがにあの時は最期を覚悟したな」

そんなに危ない状況だったのか。

「だが、何故かグルバルが逃げ出して、ようやく何が起こっているのか確認出来たらアダンダラがグルバルを蹴散らしてくれていてな。話に聞いていたアイビーのアダンダラだと分かった瞬間、力が抜けたわ。あっ、シエルは本当に強くて、戦う姿は圧巻だったぞ」

「師匠さんもシエルも怪我がなくてよかった」

ドルイドさんが仲間と腕を失った時も、グルバルの大群だったと聞いている。

師匠さんだったら対処できたかもしれないけど、怪我はしたかもしれない。

本当によかった。