軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

111話 目標は野兎3匹以上

副団長さんは、特に話があったわけではなかったらしい。

夕飯を食べて少しだけ話すと帰って行った。

帰る時に「俺は煮込みより焼いたお肉の方が好みだな、次は焼きでよろしく!」と笑顔で言われたが。

これはまた夕飯を食べに来るという事なんだろうか?

特に問題はないが、来るなら事前に連絡が欲しいところだ。

副団長さんには伝えられなかったので、シファルさんに伝言を頼んでおいた。

朝ごはんの片づけをしながら、疲れた表情を見せる皆を見送る。

その中でもシファルさんとヌーガさんは元気だ。

何気にヌーガさんも要領がいいと思う。

さすがシファルさんを抑え……支えてるだけはあるな。

昨日作った夕飯は、朝方には綺麗になくなっていた。

かなりの量を作ったつもりだったので驚いた。

セイゼルクさんが気に入ったようで、もう一度作って欲しいと初めて要望された。

作った料理をもう1回とお願いされるのはとてもうれしい。

ラットルアさんはサラダに乗せて食べたチーズが気に入ったのか、朝からチーズを大量に細かくして生野菜と一緒に食べていた。

彼はチーズ味が好きだったのか。

今度チーズで何か作ってみようかな。

全員を見送ってから、テントに戻る。

ソラがテントの中を楽しそうにピョンピョンと跳ね回っている。

今日は作った罠を森の中に仕掛けに行く。

その後は、シエルとゆっくりと過ごそうと考えている。

そうだ、森へ行く前に何か買って行こうかな。

小型のマジックバッグを取り出して、中のお金を確かめる。

3000ダル近く入っているので、問題はなさそうだ。

ボロルダさん達と会ってから、食事関係は全て彼らが出してくれたので余裕がある。

「私は助かるけど、いいのかな?」

ご飯を作る材料も、気が付いたらいつの間にか買い足されている。

それも多種多様な食材が。

高級食材が交じっていた時には驚いた。

それに、薬草の種類もすごい事になっている。

初めて見る薬草もあって楽しいのだが、使い切れない。

「ソラ、行こうか」

ソラをバッグに入れて、罠が入っているバッグも肩から提げる。

お金の入ったマジックバッグは腰に巻き付けているバッグへ入れて、準備完了。

テントから出て、入口をしっかり締める。

周りを見て何か異常がないか確かめて、問題が無いようなので森へ向かう。

町を歩いていると、少し町の様子が昨日と違う事に気が付いた。

町の人達が集まって、戸惑った表情で話をしているのだ。

少し会話が漏れ聞こえてくる。

ゆっくりと歩きながら耳を澄ます。

「えっ、あの人たちも?」

「そうらしい。どれだけの者達が新たに捕まるか分からないな」

どうやら、また組織の関係者として捕まる者がいるようだ。

本当に多いな。

早く落ち着くといいけれど。

屋台が集まっている場所へ行く。

以前はお昼を食べる事はなかったのだが、この頃は少し食べるようにしている。

理由は、まぁ成長のためだ。

さすがに6、7歳に見られるのは駄目だろう。

余計に狙われやすいような気がする。

と言っても、ずっと食べていなかったので多くは食べられない。

お肉は夜食べる分で十分なので、昼は軽くつまめる物がいい。

小さいパンみたいな物を見つける。

2口ぐらいで食べられるサイズだ。

でも、それが何という食べ物なのか分からない。

「すみません。これは何ですか?」

「いらっしゃい。これはドナックと言うちょっと甘めのお菓子だよ」

お菓子だった。

でも、美味しそう。

「これください。えっと、100ダル分でお願いできますか?」

「大丈夫だよ。100ダルだと5個になるけどいいかな?」

「はい」

銅板1枚をマジックバッグから取り出して渡す。

袋に入ったドナックを受け取りお礼を言って、屋台から離れた。

食べ切るのにちょうどいいサイズだ。

いい物が見つかってよかった。

門を抜けて森の奥へ向かう。

周りを確認してからソラをバッグから出す。

プルプルと震えてぐ~っと上に伸びて柔軟体操? をするソラ。

ソラの準備が終わるのを待ってから、再び奥へ向かう。

しばらくするとシエルの気配を感じる。

周りに人の気配が無いか確かめると、ほんの少し離れた所に数人いるのが分かった。

その気配から離れるように移動して様子を窺う。

どうやら彼らは、私達のいる場所の反対方向へ向かっているようだ。

反対方面は確か、いくつかの洞窟があったはずだ。

仕事かな。

「もう、大丈夫だよ」

私の言葉に、シエルが上から降りてくる。

木の上で待機していてくれていたのだ。

本当に頭が良いな。

「おはようシエル。今日はよろしくね」

罠を張る場所を、シエルに教えてもらうようにお願いしたのだ。

シエルは狩りが上手い。

それは、獲物の習性などを知っているからだと思ったのだ。

習性を利用すれば、狩りの成功率は上がる……はず。

なのでシエルは良い師となるはずだ。

人の気配に注意を払いながら、森の中を小動物の痕跡を探しながら歩く。

しばらく歩いていると、私から見て良い場所だと思える所を探し当てることが出来た。

「シエル、この辺りはどうかな?」

周りを見て、大型の魔獣や動物の足跡が無い事を確認する。

あれらの通り道に罠を作ってしまったら、潰されるだけだ。

小さい足跡を見つけて、それが野兎である事をしっかり確認。

それから罠を仕掛けるのだ。

その前に、シエルに確認してもらっている。

シエルが周りを見渡し、木の周辺を見て回る。

グルルル

……どっちだろう?

そう言えば、答える方法を決めていなかった。

表情からは分からない。

「ごめん、シエル。えっと、問題がなかったら鳴いてもらっていいかな?」

「にゃうん」

問題なかったら鳴くだから、問題なし。

良し!

「えっと、この辺りに罠を張るのは問題ない?」

「にゃうん」

よかった。

シエルから見てもいい場所のようだ。

というか、私にとってこの場所はかなり優秀な所だったのでこれ以上の場所を探せる気がしなかった。

持ってきた10個の罠を周辺に散らばせて全て仕掛けていく。

目標は野兎3匹以上だ。

この町は、近くに洞窟が数ヶ所ある為冒険者の数が多い。

それで干し肉の需要が高めだと、調べるために入ったお肉屋の亭主に教えてもらった。

ただ冒険者は多いが、そのほとんどが洞窟狙い。

わざわざ安い野兎や野ネズミを狩って、小銭を稼ぐ冒険者はいないらしい。

なので、狩れたら持って来てほしいとお願いされてしまった。

少し色を付けて買い取ってくれるそうなので、頑張りたい。

10個の罠を仕掛け終わると、背伸びをして体を伸ばす。

周りでピョンピョン跳ねていたソラも一緒に伸び~っとしている。

その様子を見ていると、また少しソラの色の入り方に異変を見つけた。

ソラの色は半透明の青と半透明の赤。

以前まではその2つの色は、ソラが伸びをした時もくっ付いていた。

ただ、今は2つの色の間に一目見て分かるほどの空白が出来ている。

微々たる変化だが、この変化が何に繋がるのか分からない為、少し不安だ。

ソラが元気なので、大丈夫だと考えたいが少し気を付けておこう。

グルルル

シエルが喉を鳴らしながら、すりすりと顔を擦りつけてくる。

なんとなく喉の周辺を、少しだけ力を込めて撫でてあげる。

気持ちがいいのか目を細めてうっとりしている。

可愛いな、大きな猫みたい。

と言うか、見た目はヒョウっぽいのだけど。

「ん? 大きな猫? ヒョウ? って何だっけ……」

無意識に考えたけどおかしな言葉がある。

あっ、前の私の知識かな?

そこにもシエルみたいな可愛いアダンダラがいたって事?

そう言えばわざわざ大きなって言葉を付けたって事は小さい猫? もいたのかな?

シエルの小型版……ものすごく見たいかも。