軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

999話 狙われた理由

戴冠式まであと2日。

昨日も、外に虫が出たという事で外出が出来なかった。

王都に来たのに、まだ王都を満喫出来ていない。

ちょっとだけイラっとした。

でも、「虫がきましたね」と楽しそうに向かったフォリーさんとアマリさんの姿に、侵入者に少しだけ同情した。

「「おはようございます」」

お父さんと一緒に食堂へ入ると、フォロンダ領主がいた。

「おはよう、ドルイド、アイビー。今日から王都観光に行っても大丈夫だよ」

「本当ですか? 解決したんですか?」

微笑んで頷くフォロンダ領主に、笑顔になる。

「良かったな」

「うん」

フォロンダ領主の前の席に座ると、アマリさんが朝ご飯を持って来てくれた。

「おはようございます。よく眠れましたか?」

「おはようございます。はい、よく眠れました」

今日の朝ご飯は、混ぜご飯だ。

フォロンダ領主は大丈夫なのかな?

「おはよう。あっ、フォロンダ様?」

セイゼルクさん達が食堂に入って来ると、フォロンダ領主を見て驚いた表情をした。

「おはよう。冒険者ギルドから『炎の剣』チームに伝言を預かって来た」

フォロンダ領主の言葉に、セイゼルクさん達が嫌そうな表情をした。

それに首を傾げるフォロンダ領主。

「どうしたんだ?」

「元仲間が王都の冒険者ギルドにいるんですが、彼女からの依頼が大量なんですよ」

「あぁ、犯罪がかなり増えているからな。王都の冒険者ギルドに所属している冒険者達も、かなり大変みたいだ」

「それが分かっているので協力はしますが、本当に数が多いんですよ」

昨日、仕事から帰って来たセイゼルクさん達は本当に疲れていた。

その前の日のように、王都中を走り回っていたらしい。

あっちで喧嘩。

こっちで窃盗。

また他の場所で置き引きなど、大変だと言っていた。

「あと2日の辛抱か。いや、すぐに人が減るわけではないからあと1週間ぐらいか?」

フォロンダ領主を見て、セイゼルクさんが肩を竦める。

「それで落ち着けばいいですけどね」

「おはようございます。今日を無事に過ごす為にも、しっかり食べて下さいね」

アマリさんが、セイゼルクさん達の前に朝ご飯を並べる。

「「「「「いただきます」」」」」

フォリーさんが作るこめ料理は初めてだ。

ご飯の炊き方も上手だし、味も優しくておいしい。

あっ、フォロンダ領主も普通に食べている。

食べ慣れているのかな?

「「「「「ごちそうさまでした」」」」」

混ぜご飯をお替りしてしまった。

ちょっと食べ過ぎて、お腹が重いかも。

「アイビー、少し休憩したら王都観光に行こうか。どこか行きたい所はあるか?」

お父さんの質問に首を傾げる。

王都で見てみたいもの。

なんだろう。

おいしい甘味を知りたいな。

「あっ、アイビーに渡し忘れてた!」

ラットルアさんが、慌てた様子で食堂から出ていく。

それに首を傾げる。

「私に?」

何か約束をしていたかな?

「お土産だ」

ヌーガさんを見ると、何故か申し訳なさそうな表情で私を見た。

「お土産?」

「『王都で話題になっているお菓子を買って来る』とラットルアがアイビーと約束しただろう?」

あっ、そうだった。

私も、すっかり忘れてた。

「ごめん。買っておいたのに、渡すのを忘れていた」

食堂に戻って来たラットルアさんから、5個のカゴを受け取る。

「こっちの4個がおいしいと話題のお菓子だ。残りの1個が『えっ、何これ』と言って話題になっているお菓子だ」

「ふふっ、ありがとう。休憩の時に食べるね」

おいしいお菓子と、面白いお菓子か。

楽しみ。

「フォロンダ様。アイビーが外出出来るという事は、侵入者の問題は解決したんですか?」

シファルさんが真剣な表情でフォロンダ領主を見る。

「あぁ、解決した。名前は言えないが、犯罪者達を支援したのは伯爵家当主だった。しかも各地から犯罪者が王都に集まるように、金をばらまいていた」

王都に犯罪者を集めた?

「犯罪者を王都に集めた理由は何ですか?」

ヌーガさんの質問に、フォロンダ領主の眉間に皺が寄る。

「俺を追い詰める為だな」

「「「「「追い詰める?」」」」」

セイゼルクさん達やお父さんが不思議そうに呟く。

「そう。今の俺は、王の次に権力がある。王になる者からの信頼もある。だから、潰す事は不可能。でも、自分から地位を奪った俺は憎い。だから俺と関わった子供を狙ったんだ。俺が関わったせいで殺されたと分かれば、俺が自責の念に駆られるだろうと思ってな。ただ、何故かアイビーを俺の娘だと誤解していた。それについては、尋問しても分からなかった」

子供だから、私を狙ったのか。

私の周りにいた人達が見えなかったのかな?

特にお父さん。

体の作りや動きで、警戒すると思うけど。

まさか、片腕だから何とかなると思ったの?

「しかも、1人や2人で無理なら沢山送り込めば成功すると思ったらしい」

あっ、それで各地から犯罪者が王都に集まるようにしたんだ。

「だが彼の思惑通りに、集まった犯罪者は動かなかった。成功報酬に釣られたのは、数人だけ」

「まさか、その集まった犯罪者のせいで王都の犯罪率が上がっているんですか?」

呆れた表情のセイゼルクさんに、笑って頷くフォロンダ領主。

「ふっ、屑が」

シファルさんの静かな声が、怖いよ。

「ガリットは、少しの間だけ俺の護衛をしていた。そしてその時に、問題を起こした者と関わった。奴はガリットを選んだのではなく、ガリットしか知らなかった。だから、彼が関わった者の中で一番弱そうなアイビーを狙ったんだ」

ガリットさんしか知らなかった?

それに私の傍にいるお父さんを見ても大丈夫と思えたの?

「伯爵家の当主ですが、頭が悪過ぎませんか?」

お父さんの言葉に、フォロンダ領主が肩を竦める。

「貴族を処理し過ぎて、これ以上減ると色々と問題が出る。だから『とりあえず』と置いた当主だったんだ。頭がちょっとでもいいと、誤解して色々やらかすから安全な者を選んだ筈だったんだけどな」

つまり、わざと頭の悪い者を選んだ?

「王都に来た犯罪者を減らす事は出来ないが、奴が王都に持ち込んだマジックアイテムは全て回収した。だから、もう大丈夫だと思う。でも警戒は必要だから、王都を回る時は護衛としてアマリを一緒に連れて行ってくれないか?」

アマリさんを見ると、笑って頷いた。

「分かりました。アマリさんも、よろしくお願いします」

お父さんがアマリさんを見る。

「はい、アイビーさんをしっかり守りますね」

「俺達に用事がなければ、一緒に行けたのにな」

ラットルアさんが残念そうにいると、シファルさんも頷く。

「本当だな。そうだ、伯爵家当主に会えますか?」

シファルさんに視線を向けると、笑顔が怖い。

「残念だが、既に処理済みだ」

「そうですか」

もの凄く残念そうな表情のシファルさん。

会ったら……いや、考えるのは止めよう。

「そろそろ行こうか。集まった犯罪者を捕まえに」

セイゼルクさんの言葉に、溜め息を吐くラットルアさん。

シファルさんとヌーガさんは、何故かやる気になっている。

「憂さ晴らしの時間だ」

「やり過ぎるなよ」

シファルさんを注意するセイゼルクさん。

いや、注意なのかな?

「大丈夫。劣化版のポーションでも、骨ぐらいならくっつくから」

「まぁ、そうだな」

なんとも言えない会話をしながら用意をするセイゼルクさん達。

「行ってらっしゃい。怪我をしないようにね」

絶対に大丈夫だと思うけど、もしもという事がある。

「大丈夫。行ってきます」

ラットルアさんが私に手を振ると、他の3人も手を振って食堂を出て行った。

今日、問題を起こす人は……まぁ、自業自得か。