作品タイトル不明
番外編 言わずとも
世話になったローレンスのもとへやってきた。
天与の原石、職員寮にて。
転生勇者ローレンスこと、現ローレンは、俺の土産である酒蒸しまんじゅうをバクバクと食べていた。
「しかし今回の敵はなかなかだったぞ!」
「そうか」
俺のそんな他人事みたいな言い方が気になったのか、ローレンスが聞いてくる。
「アクトさんは、気にならないのか? おれたちが今回、何と戦っていたのか?」
「別に」
「なぜ?」
……なぜ、か。
「既に事件は貴様らが解決したのだろう? なら、別に聞くこともない。時間の無駄だ」
突き放したような言い方をする俺。
だがローレンスは、嬉しそうに笑う。
「ありがとう!」
「……急にどうした」
「おれたちを信頼してるのだな! だから、何も聞かない。おれたち、原石のメンバーなら、完璧に問題を解決できる。そう信じてるからこそ、経緯も結果も聞かない、のだろうっ?」
……やれやれ。
付き合いが長いと、面倒だ。
言わなくてもいいことまで、言いやがる。
「曲解しすぎだ」
「わはは! アクトさんはいつになってもツンデレだなぁ!」
「やかましい」
それに聞かずとも、ローレンス、そして娘の笑顔を見ていればわかる。
事件は何事もなく、解決したなんてな。
ほら、聞くまでもないじゃないか。