軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

147.悪徳ギルドマスター、暗躍す

俺は勇者ローレンス達を送り出し、部下のフレデリカに指示を出した。

深夜。

ギルド会館の前にて。

「そろそろだな」

俺は懐から捕りだした懐中時計をしまう。

と、そのときだ。

フォン……! という音とともに、俺の視界に、魔族の女が現れる。

「は……? え、ここどこっすか!?」

紫色の髪をした女……。

魔族ヴィーヴルだ。

「おい」

「んなっ!? あ、アクトさんぅうううううううううう!?」

仰天するヴィーヴルのケツを蹴る。

「あうんっ」

「近所迷惑だ」

「はいぃ……」

「ついてこい」

俺はヴィーヴルを連れて街の外へ向かう。

「あ、あのぉ~……アクトさん?」

「なんだ?」

「どうして自分がここに……? ついさっきまで、ローレンスさんと一緒に、魔王退治にいってたようなぁ……」

やれやれ、説明せねばいけないか。

「貴様にはもう一つやってもらうことがある」

「は、はぁ……」

「ローレンス達を送り届けて暇を持て余してただろう?」

「うぇ!? そ、そんなこと……ないっすけどぉ~……?」

「俺の眼の前で、そんな嘘が通じると思うのか?」

俺の黄金の瞳は、【時王の眼】という。

過去から未来、すべてを見通すことが出来、さらに時空間を操作する力を持つ……S級鑑定眼だ。

「ま、そ、そーっすね……」

「こちらの用事が済んだらすぐに向こうへ送り届けてやる」

「て、転移魔法っすか……?」

「違う。【時空間召喚】だ」

「じくーかん、しょーかん?」

はて、とヴィーヴルが首をかしげる。

「時王の眼の奥義のひとつだ。俺の視界に入った人物を、特定の時間、視界の前に召喚する」

「はえ~……すっげえすなぁ相変わらず……って、あれ?」

「なんだ?」

「時王の眼って……奥義が2つしかないのでは?」

視界に入れた相手の時間を止め即死させる【 固有時間完全停止(イヴィル・アイ) 】。

そして世界の時間を巻き戻す、【 時空間超転移(ワールド・ディストラクション) 】。

「いつの話をしているのだ貴様」

するとヴィーヴルが納得したようにうなずく。

「ああ、なるほど。ローレンスさん達のために、自分も強くなろうと鍛えたんすね。彼らが失敗したときのための保険として」

「ふん……勘違いするな。俺は部下達が調子に乗らないために自己鍛錬したまでだ。弱いままでは部下が着いてこないからな」

「そーすか、そーゆーことにしとくっす」

ヴィーヴルのやつが優しい声音で言う。

ローレンスを含め、こいつもフレデリカに似てきたな。

妙にわかった感を出してくる。

やれやれだ。

「んじゃアクトさんは独自に鍛えて、新たなる奥義を身につけたってことっすね」

「そうなるな。もっとも、【時空間召喚】はマーキングした相手を時間と空間の垣根を越えてこちらに飛ばすから、失敗したら死ぬし、呼び出せるものは空間移動に耐えられず死ぬ可能性もあったが」

「ちょっと待てやぁあああああああ!」

ヴィーヴルが俺の前で通せんぼする。

「え、なに!? こんな危ない技だったの!?」

「ああ。だから奥義なんだ」

「使うならそう言って! 心の準備いるでしょ!?」

「案ずるな。俺は未来を見通せる。失敗する可能性は低い」

「ゼロじゃないんでしょ!? 何回も使わないでくださいねこの奥義!」

「善処してやろう」

「くぬぅ……! えらそうに……」

ほどなくして、俺たちは森の中へとやってきた。

「で、自分を呼んだのはなんでっすか……って言いたいけど、なんかあるんすよね」

ヴィーヴルが赤いまなざしを俺に向けてくる。

「あなたが無駄を嫌う。ローレンスさん達を任せてるあなたが動いてるってことは、アクトさんが出張らないといけないくらい、やばい事態が同時進行してると」

やれやれ、こいつもフレデリカやローレンス同様に、勝手にものを言うようになったな。

「ふん……わかってるなら、黙って従え。変身しろ」

「うっす」

ヴィーヴルのからだが光り輝く。

邪神竜ヴィーヴルへと変化。

俺はやつの上に乗る。

『どこいくんすか? 地上? 地下?』

「いや……上だ」

俺は天を指さす。

そこには1つの満月が浮かんでいる。

「宇宙へゆくのだ」

『了解っす! って、えええええええ!? 宇宙ぅうううううううううう!?』

俺はヴィーヴルの頭を踏んづける。

「とっと行け」

『いやでも……自分宇宙空間なんて……』

「俺が行けと行ったらいけ。問題ない」

『わ、わかったよぉ~……』

ヴィーヴルが翼を広げて宙へと飛びたつ。

……俺がこれから行うのは、師を殺すこと。

今回の黒幕は、俺にこの目の使い方を教えててくれた超越者、 天羽(あもう) 。

やつはもう地上には居ない。

月にて、ローレンスの邪魔をしてくる。

だから……俺はやつの元へ行って、潰す。