軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

後日談155話、新武器に必要なもの

「……で、どうじゃった? わしの自作コレクションは?」

ロッシュヴァーグが言うので、ソウヤは皮肉った。

「自分が作ったもの以外のコレクションなんてあるのかよ?」

「あるぞ。まあ、コレクションというほど充実しとらんがな」

「あるのかよ!」

意外だった。若い頃は旅をして方々見て回ったとロッシュヴァーグは言っていたから、他人の作品に関心を持って集めてもおかしくはないかもしれない。

それはそれとして。

「あんたには悪いがなロッシュ。あんたの自作コレクション、人間には早すぎるぜ」

「そりゃあ使い手のことを気にせず作れば、そうもなる」

当たり前のことを言うな、という顔をするロッシュヴァーグである。

「だが、一点に対する限界の挑戦。新しい技術の開拓……。意義はあったぞ。武器としては駄作であろうとな」

「傑作か駄作かは使い手にも影響されるから、一概には言えないなぁ」

ソウヤは正直だった。ロッシュヴァーグも頷く。

「使い手の好みの問題もあるからのぅ。お主の場合、ぶっ叩ける武器に高評価をつけやすい。突き武器に対してはいまいち。切れる武器に対してもあまりいい評価はつけない」

「壊れにくさが、まず第一にきているからな」

ソウヤは腕を組む。

「槍はともかく、レイピアとかすぐ折れちまって、あれはオレのスタイルじゃない」

「お主の剛力を活かすのなら、打撃武器なんじゃろうな」

ロッシュヴァーグは自身の髭を撫でる。

「聖剣を持っておるくせに、わしに斬鉄を作らせたのもそれじゃな。切れ味のよい剣だろと、お主的には物足りないんじゃろう。……その聖剣はどうした?」

「あるよ。アイテムボックスの中に」

ソウヤはしれっと言う。

「まあよく斬れるサブウェポンだな」

「聖剣を予備武器にしとる勇者なんぞ、初めてみたわい」

「そうかなぁ。いや聖剣に関してはそうかもしれないけど、武器の視点で見れば剣ってサブじゃん」

戦場でのメイン武器といえば槍が多く、相手より長いリーチを活用して突いたり、ぶっ叩いたりするものだ。

ただ長物ゆえ、それが壊されたりした場合にようやく剣の出番だ。

「聖剣だろうがその他の剣だろうが、その辺りは変わらない」

「……ソウヤよ、一つ聞くが」

「何だ改まって」

「お主は、斬鉄を何と思っておる? あれは剣ではないのか?」

ロッシュヴァーグの問いに、ソウヤは首をかしげる。

「作ったあんたがそれを聞くのか? あれは剣のつもりで作ったんだろ?」

「そのつもりじゃった。だが、剣は予備武器なんじゃろ?」

「よく斬れる剣は、って話だろ。斬鉄は斬鉄だよ」

ぶっ叩けるハンマーであり、剣である。――そう考えると、ソウヤの中でも斬鉄が剣であるか否かは割とふわっとしていた。

「斬鉄は斬鉄だよ」

ソウヤは繰り返した。剣やハンマーなどではなく、「斬鉄」というカテゴリーの武器ということである。

「まあええわい。じゃあ、新武器について話そう」

ロッシュヴァーグは言った。

大きさは斬鉄と同程度。これがソウヤが一番使い慣れたサイズである。

「重量は? 重くしていいのか。それとも軽いほうがいいのか?」

「あまり軽いと叩いている感覚がなぁ……」

本当に力が伝わっているのか不安になる。もっともこれはソウヤの感覚の問題であるが。

「肝心なのは、お主の力で自壊しない強度」

ロッシュヴァーグは、素材の入った箱を取り出す。

「アダマンタイトの武器も壊したと言ったか?」

「まあ、つい調整を誤って壊しちまった」

強度的に最高とされるアダマンタイト製まで壊してしまったソウヤである。ジンからのもらいものを壊したことで、それ以上のものの手掛かりを求めてロッシュヴァーグを訪ねたのだ。

「お主の場合は、武器以前に素材の方をどうにかせんといかんようじゃのう」

ロッシュヴァーグは腕を組んだ。

「アダマンタイトでも駄目なら、オリハルコンも駄目じゃろう。ミスリルは論外……そうなると」

「……」

「バァ金属かな」

「……ごめん、なんだって?」

ちょっと聞き取れなかったソウヤ。バ、バァー?

「大昔の文明が作り出した魔法金属でな。魔力を注げば注ぐほど強度を増すという伝説がある……。お主、ドラゴンになって魔力制御を覚えたんじゃろ? その力でぶっ叩けて壊れないとするなら、わしは、もうその素材しかないと思う」

「そのバー金属とやらがあれば、新しい斬鉄ができると?」

「お主が何の制限もかけずに使える武器として、じゃったらな」

「でもお高いんでしょう?」

アダマンタイトですら希少で、武器になるレベルの量ならば、聖剣や魔剣レベルの超高額品となる。それよりも強いバァ金属ならばさらに高値となるだろう。

「案外そうでもない。これはオリハルコンやアダマンタイト以上に市場に出ないからの」

そもそも、その金属の存在すら世間に知れ渡っていない。ソウヤだって初めて聞いたのだ。ロッシュヴァーグは小石ほどの黒い塊をつまんだ。

「こいつが、その幻と言われたバァ金属じゃ。これっぽっちじゃ何もできんがの。こいつを自力で採集できれば、金はさほどかからん」

「久々にダンジョン探索しろってんじゃないだろうな?」

「わしは何も言っとらんが、真理に辿り着くとはさすが勇者じゃわい」

ソウヤは閉口する。

武器を作ってもらう。そのために材料を集めてこいということだ。

ただ材料をとってきて、という流れは商人をやっていた頃を思い出して、少し懐かしくなった。それも悪くない、と思えるくらいに。

「それで、そのバァ金属とやらは、どこにあるんだ?」