軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

後日談132話、揺れる地底城

地底城。それは、現在の魔王軍の本拠地。

元は古代文明時代と呼ばれる頃の魔王城だった。

魔王と一口に言っても、様々な魔族が、その座についた。とある魔王が命を落とすと、その一族に継承されることもあれば、その一族が全滅した結果、『強き者』と認められた者が新たな魔王になったり、あるいは魔王を自称したりと様々であった。

この地底城は、アマドーン公と呼ばれた魔族の居城だった。その時代の魔王没後に、魔王を自称することになるアマドーンは、自らの城を魔王城とし、魔族勢力の四割を従えた。

魔族戦争。

新たな魔王の座を巡って争いが起き、その結果、敵対している人類がまったく関わっていないにも関わらず、魔族総人口の七割が死んだという恐ろしい戦いとなった。

……なお、この頃の人類は人類で、魔族と表面上戦っていなかったことで、人類同士の戦争をしていたのは、皮肉なことである。

アマドーンは、魔族戦争を制したが、それには地底を比較的に自由に動ける地底城があればこそでもあった。

自称魔王たちが潰し合った結果、時に地底に逃れ、潜伏していたアマドーンは漁夫の利を得ることができたわけだ。

アマドーン朝と呼ばれる期間は、魔王が存在する歴史において、比較的長かった。だが、どんなものにも終わりは来る。しかしそれが終わりを告げた後も、歴代魔王は、しばらくこの地底城を本拠地として利用してきた。

城は代がかわるたびに改築、増築されていき、巨大化。居住区は快適さと豪華さが増し、一方、城壁はより強固になっていった。

やがて、とある魔王が、地下でこそこそするのは魔王の城にふさわしくない、と言い、地上に魔王城が作られると、地底城は移動要塞の一つとして、一拠点に成り下がった。

言うなれば、城というより、より兵器として改良が加えられたというべきか。機械化が進められ、地底を移動できる拠点として利用され続けたが、それでも時代と共に利用される機会も減っていった。

勇者ソウヤと魔王の戦いで、かつての魔王城は破壊され、魔王の息子であったドゥラークは、この地底城を本拠地と定めた。

ただ朽ちていくだけだった地底城が息を吹き返した瞬間だった。そして時は流れ、魔王となったドゥラークだったが、またも勇者ソウヤによって討ち滅ぼされた後、地底城は、魔王軍残党の拠点として残り続けた。

ドラゴンを怒らせたことで、魔王軍の秘密拠点が次々に失われたが、この地底城だけは生き残った。

だがそれも、間もなく終わりを告げるだろう。

魔王軍に復讐を果たすべく乗り込んだガルたちカリュプスの暗殺者たちと、ドラゴン族が、この城を見つけたのだから。

・ ・ ・

『急げ! ドラゴンが攻めてきたぞ!』

魔族兵たちは慌てて、城内を走る。強固であるはずの外壁が、ドラゴンのブレスによって損傷し、そこに空いた穴を埋めるべく、兵が移動しているのだ。

城壁では魔法砲台が、襲来したドラゴンを返り討ちにすべく反撃を試みるが、まるで役に立たない。

クラウドドラゴン、アクアドラゴンは、魔弾をヒラリと躱し、それぞれブレスを放つ。サンダーブレスは歩廊の弓兵や魔法兵を電撃で貫き、石材の床ごと破壊する。アクアブレスは、尖塔や砲台をその高圧水流で吹き飛ばし、切断した。

人間の軍勢がいくら攻めてこようとも撃退できる自慢の防衛設備も、四大竜を相手にしては砂の城の如く、粉砕されていく。

まさに圧倒的な力。

圧倒的な暴力に、魔族兵は為す術なくやられていく。

本来、揺れることがない地底城が、攻撃を受けるたびに揺さぶられる。

「……いったい、どうなってるんだ?」

城内に侵入していたガルたちは、思いもよらない状況に困惑する。場が混乱するのは望むところであるのだが、物には限度がある。

「ドラゴンがどうのって、聞こえた気もするが」

グリードがそんなことを言った。オダシューが眉をひそめる。

「何だってこのタイミングで、ドラゴンなんか――」

人が近づく気配がして、カリュプスの仲間たちは身構える。現れたのは魔族兵ではなかった。

「なんだ、スナーブか……」

様子を見に行った仲間が戻ってきたのだ。アズマとトゥリパが安堵する中、スナーブが無感動な調子で報告する。

「クラウドドラゴンとアクアドラゴンがいた」

「何で!?」

アズマがあからさまに驚いた。他の面々も多かれ少なかれ、同様である。

「どうして、あの人らが……」

アズマの中では、クラウドドラゴンとアクアドラゴンは人なのか――ガルは一瞬、どうでもいい突っ込みを内心で入れてしまう。

しかし、おかしいことには変わりない。何故、自分たちが仇であるブルハを狙って地底城に乗り込んだ時に、伝説の四大竜が攻めてきているのか。。

「いくら何でもタイミングがよすぎないか?」

オダシューの言葉に、グリードはガルを見た。

「ガル、お前は何か心当たりはあるか?」

「いや。……だがもしかしたら」

レーラをカマルたちに預けた際、そこから影竜の娘であるヴィテスに話が伝わり、魔族報復魔と化しているドラゴンたちに伝わったのでは、と思った。もしヴィテス経由であるなら、城内にガルたちが乗り込んでいると知っていそうではある。

そこまで考えて、ガルはフッと口に笑みを浮かべた。

「どうした?」

「いや、俺たちは、目的を果たそう」

あの城塞破壊大好きのアクアドラゴンが来ている中、攻撃が地味過ぎる。あれが本気を出していたら、今頃、この城は壊滅的ダメージを受けて、中にいるガルたちもおそらく被害を受けていただろう。

「陽動をしてくれるそうだ。どういう経緯で話が伝わったかは知らないが」

ガルがそうぼかせば、オダシューら仲間たちも察した。

「持つべき者は仲間ってか。まったく……」

思いもよらない援軍の到着――そう解釈しつつ、ガルたちは城の中枢、魔王の玉座のある 天守閣(キープ) を目指した。

憎きブルハへの報復の時は、すぐそこまで迫っている。

『あ、人間!?』

角で出くわした魔族兵を、瞬殺し、暗殺者たちは往く。