軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

第599話、猛爆、人類連合艦隊!

「全艦戦闘配置ーっ!」

ニーウ帝国艦隊の旗艦『グローム』で、グニェーヴ将軍は叫んだ。

「今こそ、我らが祖国を支配せんとした魔族に正義の鉄槌をくださん! 全艦、全速ーっ! 突撃ぃー!」

レッドグループ12隻。うち5隻が戦艦級の大型飛空艇。7隻が大小クルーザー級で構成される。

それらは多少質に差があるものの、すべて電撃砲を主兵装としていた。

魔王軍による侵略を受け、民に負担と犠牲を強いられたニーウ帝国。グニェーヴ将軍以下、帝国兵たちは復仇に燃えていた。

「地上施設は、すでに打撃を受けている模様!」

見張り員の報告に、グニェーヴ将軍は声を張り上げた。

「魔族どもは?」

「います! たくさん!」

「ならばよし! 全砲門、一斉じゃーっ! 撃てぇーい!」

ニーウ帝国艦隊から、地上目掛けて電撃砲が放たれた。雷のような攻撃は地上に突き刺さり、岩を砕き、魔族兵を焼き殺した。

レッドグループが攻撃を開始する頃、右翼に展開するブルーグループ、エンネア王国艦隊も砲門を開いた。

「こちらも地上攻撃を開始。敵飛空艇関連の施設を集中的に叩け」

ハングマン提督は、冷静に指示を飛ばした。

エンネア王国艦隊は、戦艦級4隻、クルーザー6隻の計10隻だ。こちらもメイン武装である電撃砲を発射し、地上施設の攻撃を開始した。

中央を行くソウヤたちゴールドグループの飛空艇もまた、攻撃態勢に入る。

「ブルーグループがやっているように、こっちも施設を撃つ!」

ソウヤは指示を出した。

ゴールドグループは、サフィロ号が単独で行動しているが、ソウヤのプラタナム号ほか、タライヤ船の『ゴールデン・ハウンド号』、トルドア船『ゴールデン・チャレンジャー号』、リッチー島傭兵同盟のトルドア船3隻となっている。

ゴールデンウィング二世号ほか軽クルーザーやフリゲートは、シルバーグループとしてグレースランド王国艦と後方である。

銀の翼商会とリッチー島傭兵同盟の攻撃力の高い船を揃えられたゴールドグループは、地上砲撃を始めた。

3つのグループの強力な戦闘艦艇から、電撃が次々に降り注ぐ。大嵐とその後の大波によって地上施設が洗い流された結果、ジーガル島の魔王軍は混沌に突き落とされた。

本来なら、敵襲とあらば迎え撃つべく、戦闘配置に就く。だが浸水と大波で、多数の行方不明者と迷子が発生。建物の倒壊や瓦礫の山などで、至る所で通行止めとなっていた。

その混乱の最中に、空から数十隻もの飛空艇からの猛攻。救出に救援、復旧で大忙しの状況に、さらに攻撃まで加えられ、もはや収拾がつかない。

「ミスト、あのデカい塔をやるか?」

ソウヤは、いまだ軍港にあってそびえ立っている巨大塔――ホラーン・タワーを指し示した。これにはミストもニヤリとした。

「いい? ワタシが倒して?」

「いいぞ。早くやらないと、他の連中にやられるかも」

そう言ったら、ミストは慌ててブリッジから飛び出していった。

とりあえず魔王軍を攻撃したいニーウ帝国や、暴れたいドラゴンたちも間合いに入れば、さっさと攻撃してしまうだろう。

甲板まで降りるミスト。その間、ソウヤはプラタナム号の船首を、ホラーン・タワーへと向けさせた。

『いいのですか? 勇者ソウヤ』

プラタナムが聞いてきた。ソウヤは微笑した。

「ま、ストレスの発散というやつだ。……ストレスってわかるか?」

『外部からの圧力によって生じた歪みのことですか?』

「なんだって……?」

思っていなかった返しに、ソウヤは目を剥いた。

『冗談ですよ。プレッシャーとか、感覚の話ですよね?』

「冗談かよ」

プラタナムのただの制御システムらしからぬ返しに苦笑を禁じえない。

――これがAIってやつかね。

そうこうしているうちに、プラタナム号の甲板から青い光が迸った。ミストのドラゴンブレスだ。

下の方を狙って倒すことができれば、地上施設に深刻な追加ダメージを与えることができただろう。

しかし、彼女は上の方から当てて爆砕させながら下へ攻撃する方法を選んだ。どれだけ獲物を他人に渡したくないか、ミストの独占欲が見てとれた。

「……うん、まあ、砕けた破片が広い範囲に飛び散って、それはそれでダメージを与えられただろう」

大波にも耐えた巨大塔は、ドラゴンのブレスには対抗できずに崩れ去った。

「プラタナム、戦域を確認できるか?」

『モニターに表示します』

ジーガル島は、以前見た大軍港から、瓦礫だらけの荒廃した場に様変わりしていた。人類連合艦隊の飛空艇艦隊からの猛爆を受け、空からはクラウドドラゴンが周辺をブレスで一掃。海からはアクアドラゴンが現れ、水上船用の港を怪獣映画さながら破壊している。

「思いの外、順調だ」

案ずるより産むが易し、とはよく言ったものである。しくじったらどうしようとあれこれ不安を感じていたが、いざやってみたら、スムーズにできてしまう。

「上手く行き過ぎている気がしないでもない」

『そうですね。案外、ここから躓くかもしれませんよ』

プラタナムがそんなことを言った。不吉である。

『勇者ソウヤ、後続部隊が到着しました』

「おう」

上陸部隊を乗せたシルバーグループと、その護衛に就いているグリーングループ――クイント王国と、イエローグループ――レプブリカ国の艦隊がジーガル島に接近したのだ。

「地上の主な攻撃目標は掃討できたか?」

『巨大塔ほか、外から確認できていた砲台らしきものは、あらかた片付いています。飛空艇ドック、駐機場もほぼ破壊した模様。ジーガル島から敵飛空艇の反応、ありません』

「よし。……フィーア、シルバーグループに発信。障害を排除。上陸部隊を突入されたし」

「了解」

オペレーター席のフィーアが応じた。

ゴールデンウィング二世号ほか、上陸部隊を乗せた飛空艇とそれを護衛するグレースランド王国の巨大戦艦『アダマース』は、前衛部隊であるソウヤたちのGOサインを受けてさらに前進する。

護衛艦隊であるグリーングループ、イエローグループのクルーザー群も地上砲撃に加わり、上陸部隊は一気に島へと降りていく。

ここまでは、全てうまくいっていた。