軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

第592話、ジーガル島攻撃作戦の合同会議

五カ国の王が、エンネア王国に集まった。

ニーウ帝国、グレースランド王国、レプブリカ国、クイント王国、そしてホスト国となるエンネア王国。

何故、エンネアなのかといえば、五つの国を位置を見たとき、ほぼ真ん中に位置しているからである。

もっとも、ニーウ帝国は、自国を魔王軍の工作員に荒らされた後始末があって、他国の人間に見られたくないという事情があったり、グレースランド王国もまた王都に爆撃の跡があって、各国首脳を招いての安全面に疑問符があったりと、水面下でやりとりが交わされたようだった。

ソウヤたち銀の翼商会は、参加国への飛空艇の輸送を終えてエンネア王国に集合。今回販売したトルドア船が各国で戦力化するのは、まだ先となるが、それ以前にそれぞれ保有している飛空艇については、ジーガル島攻略作戦のために準備が整えられつつあった。

そしてエンネア王国王都ポレリアは、各国の王がやってきたということで一種独特の空気に包まれていた。

王城に呼ばれたソウヤもまた、場違い感に苛まれている。

「本当に、俺ここにいていいのかな?」

「正式に招待されたのだろう?」

ジンが、ソウヤの身なりをチェックしながら言った。

「周りは王様だらけだぞ。……あんたも含めてな」

「民のいない王など滑稽だ」

皮肉げにジンは笑った。

「クレイマン王は数千年前の人物だぞ。今は君と同じ、王様ではない側だ」

「そうかなぁ。民はいないだろうが、あんたは今でも王様だと思うぜ?」

「ふむ。その王様を従業員として雇っている君は、さぞ凄い人物なんだろうな」

ジンはポンと肩を叩いた。

「世界で、たぶん唯一の勇者であるソウヤ君。レアリティでいったら、君に最高ランクがつくんじゃないかな? 王様よりレアだ」

これにはソウヤも笑った。

「そりゃそうだ」

王様の数は国の数に近い数はあれど、勇者の数などほぼひとり。どこかで召喚されたとか、もって生まれた勇者もいるかもしれないが、おそらく一桁だろう。

「しかし、やっぱ緊張するよ」

エンネア王国、アルガンテ王。

ニーウ帝国、ブロン皇帝。

グレースランド王国、グレースランド王。

クイント王国、国王カルド三世。

レプブリカ国、カリド王。

「……クイントとレプブリカの王様、名前が似てね?」

どっちがカルドかカリドかわからなくなりそう、とソウヤは思った。ジンは肩をすくめる。

「両国はお隣同士で、しかも王家を辿っていくとどちらも同じなのだそうだ」

「なるほど。ひょっとしてお国の言葉で違うように聞こえるけど、母国語だったらどっちも同じだったりして」

「まんざら冗談じゃないから笑えない」

「マジで!?」

特に気をつけねば。王様の名前の言い間違いは、不敬どころか外交問題に発展する。

「さあ、会場に行こう。各国の要人をお待たせするわけにもいかないからね」

ジンが、どうぞ、とソウヤに促す。

まるで戦いに行くかのような緊張を感じながら、ソウヤは会議室に足を踏み入れた。

かくて、合同会議が始まる。

・ ・ ・

各国の護衛官が配置される中、五カ国の王が円卓にそれぞれ着席し、軍部の上級将軍がすぐ脇に控える。

ソウヤとジンも、それぞれ席があって王たちの円卓に座った。ますます場違い感がひどく、ソウヤは息苦しさを感じた。

会議を始める前に、ブロン皇帝がグレースランド王を見た。

「いやはや、貴国は相変わらず油断も隙もないな。よもやあのような大型飛空艇を保有しておったとは」

「いやいや、例によって例のごとく、発掘品なのですよ、皇帝陛下」

グレースランド王は穏やかに応じた。

先日、スフェール渓谷遺跡から発掘されたアダマース号である。まだ試験運用ではあるが、これには各国は目覚ましの一撃を食らわされた気分になった。

ろくな飛空艇を保有していないと思っていたグレースランド王国が、この会議に参加することに懐疑的な者たちも、これには完全に黙らせた。アダマース号は、他国を圧倒する大型飛空艇であるのが一目瞭然だったからだ。

「我が国も、あれほどの大艦が欲しいものだ。……銀の翼商会に心当たりはあるかな?」

ブロン皇帝から聞かれ、ソウヤは思わず、ジンに視線を向けた。クレイマン王のコレクションの中にはあるかもしれないが、どうなのだろう。

「僭越ながら、我がリッチー島傭兵同盟も、発掘は続けておりますから。有力なものがありましたら、ご報告しましょう」

「我がレプブリカにも――」

「ク、クイントにもだ!」

カリド王、カルド三世もまた手を挙げた。各国が購入した飛空艇が、リッチー島経由であることは知っているので、その代表ということになっているジンに対しても、口を挟んだことに不快さを滲ませる者はいなかった。

ともあれ、アルガンテ王が進行役を務める合同会談が始まった。

「まず、魔王軍に対抗する人類連合の結成。これについて、異論はありますかな?」

アルガンテ王が見渡せば、各王は『異議なし』と答えた。十年前の魔族との戦いを、ここにいる王たちは皆知っている。

「魔王軍は、この十年の間に、多数の飛空艇を準備して大航空艦隊を編成しようとしている。かつての伝説のクレイマン王のように」

――その本人がいるんだけどな……。

思っても口には出さないソウヤである。アルガンテ王は続けた。

「我々も、飛空艇を集めて戦力化を図っているが、敵はその先をいっている。そこで連中が準備を整える前に、現有兵力を投じて、先制の一撃を与えて、戦力差を埋める。その攻撃目標が、敵の造船施設のあるジーガル島である!」

各国の王、その側近たる将軍たちは頷いた。ここも異議なしである。

ここから具体的な方針、いかに島の魔王軍拠点を叩くかの話となり、会議が熱を帯び始めるのである。