軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

第408話、汚染魔獣の謎

トルト峠で呪いによる汚染を受けた魔獣に襲われた。

ソウヤたちは撃退したが、襲ってきた魔獣の中に、かつてコレルが使役していた大狼とサーベルタイガーがいた。

「アイテムボックスに収納したが……実際のところどうなんだ?」

ソウヤがコレルと同様、ジンに問うた。老魔術師は首を振った。

「実のところ、やってみないとわからない。だが今我々にはレーラ嬢がいる。聖女の力なら、回復の見込みはある」

事実、コレルやメリンダ、フラッドは、レーラの力で回復+呪いを取り払ってもらっている。

「つまり、問題ないと?」

「そうとも言い切れない」

ジンは慎重だった。

「君たちはアイテムボックスでほとんど時間が経っていない中での復活だ。しかしテンロウとタイガはあれから十年、汚染されたままここにいたのだ。汚染の度合いが違うから、試してみないとわからない」

「……」

「大丈夫ですよ、コレルさん」

レーラが微笑んだ。

「私が、必ず魔獣さんを助けますから」

今日も今日とてレーラは聖女だった。コレルも肩の荷が下りたようで、頷いた。

「お願いする、レーラ」

「はい」

「レーラ様、あまり無理はなさらないように」

そう言いながらメリンダがやってきた。

「ソウヤ、これからの行動は?」

「まだお目当ての二頭に会っていない」

クレルとウルメカ。生きているかも、とやってきたのはこの二頭を探すためだ。天狼と大牙と遭遇したのは偶然だった。

「まだ皆余裕があるな? もうしばらく探索する」

カーシュとカマルが頷いた。ソウヤがミストを見れば、彼女は竜爪槍を肩に担ぎながら早速歩き出した。

「コレル」

行くぞ、とソウヤは魔獣使いの青年の肩を叩いた。

「クレルにウメルカだが……どうなっていると思う、ソウヤ?」

「言ってもいいか?」

「ああ」

「たぶん、生きていても天狼や大牙と同様、汚染されているんじゃないかと思う」

あんな汚染魔獣だらけの場所で、生き残っているとも考え難い。だが死んでいないのなら、汚染魔獣として生きているかもしれない。

「……それは生きていると言えるのか」

ポツリとコレルは言った。アンデッドのようにも見える汚染魔獣である。もしそうなら、アンデッドは死体。つまり死者である。それを生きているというのは無理がある。

「どうしたらいいかわからないが……このままでもいけないとオレは思う」

率直な感想をソウヤは口にした。

「フラッドが魂を呼べなかったってことは、まだその魂が体に残っているってことじゃねえかな。どうにか治すか解放してやらないと、ずっと魂が汚染した体に閉じ込められるってことにならないか?」

「……それは、嫌過ぎるな」

コレルはため息をついた。一度額に手を触れ、自分でくっと押して顔を上げた。

「ああ、前に進むしかない」

「そういうこった」

一行は先へ進む。ソウヤは首をひねった。

「ひとつ、疑問があるんだ」

「なんだ、ソウヤ?」

「あの汚染された魔獣だけど、天狼や大牙がいたってことは、きっと十年前からいた奴らだと思うんだ」

「……その可能性はあるな」

「こいつら、十年もここで何をやってるんだ? どこかへ移動するでもなく、この辺りをうろついている。それも十年……おかしくないか?」

「……」

「ソウヤもそれに気づいたか」

ジンが隣にやってきた。

「私もそれが気になっていた。だから死骸を回収してもらった。私の勘だが、たぶんアレは死んでいないと思う」

「まさか!」

ソウヤとコレルは目を見開いた。先ほど戦って倒した魔獣が生きているとは?

「どういうことだ?」

「汚染魔獣は殺したと思っても再生するのではないか――そう考えると、死んだはずの二頭がここで現れた説明になると思わないか?」

「そうだ。あの二頭はあの戦いで確かに死んだんだ。それはオレが確認している……」

「でも動いていたじゃないか! やっぱあれアンデッドか?」

ソウヤは、そこでひとつ閃く。

「もしかして、心臓を抜かれているアレだったり?」

カイダという魔王軍の魔術師がやっていた術。人間から心臓を抜いて、ある種、不死身に仕立て上げていた。

「いや、あれで十年も腐らずにいるのは無理だろう。違うと思う」

あっさり否定された。

「ただ、ああいう事例もあるからね。再生する可能性はあると思ったほうがいい」

「そうだな」

一行はさらに進む。薄もやの中を進んでいると、やがてメリンダが顔をしかめた。

「そろそろ、私たちがやられた場所じゃないかな」

「さあ、それはワタシにはわからないけれど――」

ミストは竜爪槍を構えた。

「生き物の反応。十数体、こっちへ来るわよ!」

「第二ラウンドだ」

ソウヤは斬鉄を素振りする。

岩陰から出てくるは紫がかった色に変色した魔獣たち。先陣を切るのは狼系の足の速いものたち。

ざっと見たところ、目当ての使役魔獣はいないようだ。

「どうだ、コレル? いるか!?」

一応確認してみれば、魔獣使いは首を横に振った。

「いや、今のところは見えんな!」

カーシュが声を張り上げる。

「この魔獣も、できるだけ倒さないほうがいいのか!?」

「オレがとりあえず手の届く範囲で収容するが、それ以外は倒してしまっても構わない!」

ソウヤは向かってきたワイルドウルフに斬鉄を振り下ろす。回避したウルフに、タッチしてアイテムボックスへ収納。

「味方の安全を優先!」

「了解!」

汚染魔獣と激突する。さすがに二度目ともなると、仲間たちの動きも慣れたものだった。その時、メリンダが叫んだ。

「注意! 上方!」

飛行型の魔獣が現れた。