軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

第276話、遺跡調査とトレジャー

「遺跡というのは、どこも代わり映えがしないわね」

ソフィアはぼやいた。

「地下、石の壁に床――」

「ふだん知っている建材でいいじゃねえか」

ライヤーが先導のガルのすぐそばにいて、そう返した。

「つか、おれらの知らない何かでできてたら、怖ぇよ。どうするよ、骨でできた通路とか、何かの化け物の体内みたいな壁とかさ」

「嫌すぎる」

ソフィアは正直だった。

「でもあんたは、それでも嬉々とするんでしょ、どうせ」

「まあな」

ライヤーは認めた。

「そんなのが本当にあるなら、見てみてぇわ」

「オレはごめんだね」

ソウヤは苦笑する。歩くならまともな道でありたいものだ。……フラグめいて怖い。

「ミスト、どうだ?」

「……今のところは、動くものはないわね」

魔力眼で先行調査中のミスト。

「遺跡だから何か化け物が出るってものでもないけれど」

「どうかなぁ。得体の知れないモンスターが住み着いている可能性はあるだろう?」

そう言うとダルが頷いた。

「実際、遺跡のお隣にクラウドドラゴンが住んでいたみたいですからねぇ」

「あるいは、あの人形とかゴーレムがいるとか」

ライヤーは言って、顔をしかめた。

「いや、むしろあの人形は天空人の作ったもんじゃねえか?」

「ここがクレイマンの遺跡と言うなら、その可能性は高いですね」

ダルは目を細くする。

「動いてなければ、人形もゴーレムもかなりの値で取引されるでしょうね」

「動いているなら、余計に高値がつくんじゃね?」

「おーおー、人間が奴隷狩りよろしく、地上の都市遺跡を襲う光景が目に浮かぶ」

皮肉げにダルは言うのだ。リアハもまた表情を険しくさせた。人間に対する偏見、とでも受け取ったのかもしれない。

――まあ、ダルの言う話もわかるんだがな。

ここのことが知れ渡れば、クレイマンの遺跡を目指して、人が殺到するだろう。天空人の文明の遺産ともいうべきものを根こそぎ奪い、ゴーレムや人形も手に入れようとする。

「そういう言い方はやめろよな」

ライヤーが言った。

「おれたち遺跡発掘者が悪く言われちまう」

「でも盗掘はしてますよね?」

ダルは容赦がなかった。

「いえ、別にそれを責めているのではありません。みんなやっていることですから」

「まあ、そうだわな。発掘と言ったところで、おれらは財宝や遺物が出てくれば、懐に納めちまうからな」

この世界での常識だ。遺跡の所有権うんぬんが、あいまいが故である。

「でも、言い方がキツくね?」

「そうですね。すいません」

ダルは詫びた。

ソウヤたちは先へ進む。最初に出くわした大部屋は――

「工場、かな……?」

錆びた機械と、製作途中だったと思われるゴーレムが埃を被っている。ソウヤは昔、社会見学で見た自動車工場を思い出した。

部屋自体は、石造りの地下室風なのに、機械やゴーレムの並びが、それを連想させた。

「駄目だな……」

ライヤーが近づいて確かめる。

「完全に朽ちてるわ。直すどうこうってレベルじゃねえな」

「こうなるとただの石ですよね」

ダルが言えば、ソフィアが笑った。

「でもいかにも遺跡っぽくて、わたしは好き」

ちょっと調べてみたが、めぼしいものはなし。通路があるので、次へ。何度か人形が徘徊していたが、それらを回避する。

「こういう遺跡には、モンスターが住み着くって話だったけれど」

ソフィアは首を振った。

「出てこないわね」

「ゴーレムや人形が、見守っているんじゃないかな?」

通報されると面倒なので、避けて進んでいたが、あの人形などが遺跡内を歩き回っているなら、そうそうモンスターも住み着けないのではないだろうか。

「おっと、どうやら運がない奴もいたらしい」

ひょい、とライヤーが飛び越えたそれは、破壊されたと思われる人形。胴体に穴が空いている。埃と劣化具合から、かなり昔のようだ。

「今度は何だ……?」

広い空間に出た。細長い部屋で、途中に等間隔で扉があった。軽く十以上あるようだ。

「今度は迷路ですか?」

リアハ姫がため息をつく。ソウヤは、近くの扉を覗いているガルを見た。

「通路じゃない。小部屋だ」

「ひょっとしたら地下の住宅だったりしてな」

ソウヤは言うと、皆で、手分けしてそれぞれの扉の先の様子を確認する。ガルが言った通り、小部屋だった。中も朽ちていて、汚い。

「倉庫かしら?」

ミストの発言に、ソウヤは眉をひそめる。

「どうかな。倉庫なら、もっと大きな部屋にするんじゃないか? こんな小部屋を複数作るよりもさ」

部屋に足を踏み入れる。奥に他より小綺麗な金属のボックスを見つけたのだ。

「何かこれだけ新しく見えるな」

「開けられそう?」

「鍵が……かかってないわ」

あっさり開いた。中身は――

「本? それにこれは、魔石か……?」

目新しい分厚い本のほか、宝石のように加工された水晶のようなものが入っていた。

「何でこれだけ、綺麗なの? 最近、誰かが入れた……わけはないわね」

「この遺跡に、人が入って廃墟同然の部屋に置いた? それはあり得ないな」

ソウヤは箱の蓋をして、それをアイテムボックスに放り込んだ。

「この箱、保存魔法がかかっている魔道具かもしれないな。それで中のものが朽ちることなく残っているとか」

「すると、天空人が栄えていた頃のもの、というわけね」

ミストが微笑した。

「よかったじゃない。高く売れるわよ」

「コレクターも欲しがるだろうし、学術的にも価値はあるだろうな」

なお、周辺の小部屋にも、それぞれひとつ、同様の箱があって、それぞれ薬やら金品やらが入っていた。

「まるで宝箱だな!」

ライヤーは、とても楽しそうだった。中身はもちろん、箱自体も価値があるので、全部アイテムボックスに入れた。

ソウヤたちの遺跡探検は続く。