軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

第226話、方法模索

危機は去った。グレースランド王国から完全に呪いは取り除かれたものと判断された。

ソウヤたち銀の翼商会も、巡回した場所でのモンスター化の呪いの症状は確認できなかった。

魔王軍残党は姿を消したようで、こちらも目撃情報などはなかった。

その間にもソウヤは、カマルにグレースランド王国の状況報告を送った。王都の解放直後にも一度送り、その後の呪いの話や、復旧状況などなど。

魔族との交戦も視野に、編成が急がれていたエンネア王国の即応部隊は解散となったと、カマルから返事がきた。敵がいないのでは仕方がない。

だが魔王軍残党の動きには引き続き、警戒すると締めくくられていた。

グレースランド王国王都に戻ってきたソウヤは、仲間たちを集めた。

「さて、俺たちの今後の動きについて話し合おうと思う」

アイテムボックス内に収容している聖女であるレーラの復活。彼女については、グレースランド王国の王族との約束もあるので、優先度は高め。

そしてこれを銀の翼商会の行動として上位に持ってくることは、他のメンバーにも異存はないと思われる。

「具体的にはどうすればいいと思う?」

ソフィアが疑問を口にすれば、ミストは机に肘をつきながら言った。

「要するに、生命を脅かすほど魔力を使ったってことでしょう? これはもう回復する薬とか魔法で何とかするしかないんじゃない?」

「マジックポーションとかですか?」

セイジが聞いた。ミストの視線がジンへと向き、老魔術師は腕を組んで答えた。

「ただのマジックポーションでは無理だろうな。他の瀕死の者たちを復活させるような上級のものか、奇跡のアイテムくらいが必要になると推測する」

どこかのダンジョンのお宝で探すレベルのものということだ。

「ただ……素材さえ、あればレーラ嬢の魔力欠乏を治す薬は作れると思う」

「本当か、爺さん!?」

「昔、古い資料を読んでな。……素材さえあればだが、集めるのが大変だ。まあ、ドラゴンが血を少々分けてくれるなら、素材のひとつは解決だ」

「ミスト」

「ちょっとだけよ」

ソウヤの言葉に、霧竜ことミストは頷いた。そこでリアハが挙手した。

「あの、よろしいでしょうか?」

「どうぞ」

「……伝説レベルのお話なのですが、グレースランドには、精霊の泉という伝承がありまして。そこの水は、あらゆる病を治すと言われています。……もし、その泉を見つけることができれば」

「レーラも復活させることができるかもしれない、ということか!」

ソウヤは立ち上がる。ジンが手を挙げた。

「私がさっき言った素材のひとつに、その精霊の泉の水があったと思う」

「繋がったな! 単独で効くならそれでいいし、駄目でも薬という手も出てくる。それで、その精霊の泉の場所は?」

「私は知らない。……リアハ姫はご存じかな?」

「いいえ、私も」

リアハは首を横に振った。なにぶん古い伝説らしいから、言い伝え程度しか情報がないらしい。

ソフィアは肩を落とした。

「結局、わからないってことね」

「その場所を見つけないといけないな」

ソウヤは頷いた。

「ただ復活アイテムを探すよりは、何を探せばいいかはっきりしているだけマシだな」

何事も前向きに考えよう。

オダシューが口を開いた。

「後で仲間たちにも聞いてみます。とりあえず、今はその精霊の泉とやらの場所を探るということで決まりですな?」

「そういうことだ」

ソウヤは頷いた。細部はまた詰めるとして、次へ。

「エンネア王国の姫君より依頼されているクレイマンの遺跡探し。といっても緊急性はなく、可能ならばの範囲だ。何より手掛かりがない」

「天空人の遺産の中には、貴重な秘薬などがある可能性がある」

古代文明研究者であるライヤーが言った。

「もしかしたら、聖女様の回復に役立つモンもあるかもしれねえ」

「クレイマンって……あのクレイマンですか?」

初耳だったらしいオダシューが首をかしげた。ライヤーは笑った。

「どのクレイマンだよ」

「ボス、銀の翼商会じゃあ、遺跡探しもしているんですか?」

「さっきも言ったように、復活の薬とかアイテム目当てでな。……何か知っているのか?」

「……知ってると行っても昔話程度ですが」

オダシューは肩をすくめた。

「でもまあ、それで銀の翼商会は飛空艇を修理してるんですね」

「……うん?」

意味がわからなかった。ソウヤとライヤーは顔を見合わせた。

「オダシュー、すまん、飛空艇を直すのと、クレイマンの遺跡に何か関係があるのか?」

「関係もなにも……」

オダシューは眉を八の字に曲げた。

「クレイマンの遺跡は空にあるんですよね?」

「そう。もとは浮遊していた島だったが、そこから地上のどこかに落ちた――」

「落ちた? それは確かなんですか?」

「伝承ではそうなってる」

「そうなんですか?」

オダシューは腕を組んだ。

「おれのガキの頃の話にゃ、クレイマンの遺跡は今も空にあって、さまよい続けてるって聞いてたんですがね……」

「へぇ、それって、つまり遺跡は落ちてないってことか」

そういう解釈があるのか。ソウヤは口元をほころばせた。

「なるほどね。その可能性もあるな」

「旦那、オダシューの話を信じるのか?」

ライヤーが眉をひそめた。ソウヤは手を振った。

「悪いな、ライヤー。オレはクレイマンの遺跡の伝承を何一つ知らないんだ。だからあんたから聞いた話も、オダシューの話も、どっちが正しいとか判断できんのよ。だから、どちらもそうかもしれないって思えるわけ」

そもそも、オダシューの聞いた伝承のとおり、空をさまよい続けているのなら、地上をいくら探したって見つからないわけだ。どこに落ちたかはっきりわからないのも、これまで発見されなかったのも、一応納得できる。

「ライヤー、飛空艇の修理は?」

「補助エンジンが三つ直った。あとひとつも数日中には直る」

そこでライヤーは顔をしかめた。

「だがメインとなる、魔力ジェットエンジンがな……」

まだ完成していない。ライヤーが視線を向けたジンは首肯した。

「まだしばらくは時間がかかるな。正直、いつ完成と断言はできない」

「何か別のモンで間に合わせるしかないかもしれねえかな」

うーん、と唸るライヤー。

どこからか飛空艇のエンジンを調達する? だが機関部は一度載せると、交換や換装は大工事になる。そう簡単な話ではない。

飛空艇の完成のこともあるし、まだまだやることが多いな、とソウヤは思った。