軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

第164話、引っ越したり、ギルドに行ったり

「こいつは凄ぇ!」

ライヤーは。浮遊バイクに取り付きながら目を輝かせた。

ジンが遺跡で手に入れたゴーレムを動かしてみよう云々で、ライヤーを連れて行ったのだが、その後、銀の翼商会製造の試作バイクと遭遇。当然、ライヤーがこれを見逃すはずがなかった。

ソウヤのコメット号も見れば、ライヤーは興奮を隠さなかった。

「旦那のは古代文明遺産。ジイさんは、魔法で作っちまうとか、とんでもねえなこりゃあ」

すっかり浮遊バイクがお気に召した様子のライヤー。

「メシもうまいし、面白えもんがゴロゴロしてる。ここに来てよかったぜ」

試作バイクを借りて早速乗り回す古代文明研究家のおっさん。ソウヤはその間に、アイテムボックスハウスの拡張作業をやった。

ライヤーとフィーア用の部屋を準備する。

――このまま人が増えたら、いつかアイテムボックス内に村ができちまうんじゃないか。

今でさえ、家だったものが大屋敷レベルに大きくなっている。別館を作り、通路を繋げて行き来できるようにする。

ちなみに、フィーアに、バッサンの町に住んでいるのかと確認したら、遺跡発掘調査の間は部屋を借りていたのだそうだ。

銀の翼商会が行商で色々なところに移動するので、こちらに移り、町のほうは引き払うことになるだろうとのことだった。確かに個人で家を所有していないのなら、借り続ける意味はない。

「部屋までいただけるとは、この会社はとても充実していますね」

フィーアが淡々と言った。顔は整った美少女だが、表情がほとんど動かないのは、なるほど機械人形である。

さて、翌日の銀の翼商会であるが、ジンがゴーレム製作、セイジはポーションの製作ほか備品の点検を行った。ミストはソフィアと魔法の研究と訓練――どうもジンがゴーレムを倒した時に使った魔法を自分なりに試行錯誤しているようだった。

ソウヤは、ライヤーと昨日のゴーレム生産工場遺跡へと足を運んだ。フィーアと護衛役にガルがついてきた。

遺跡を経由し、ゴーレム生産工場へ。ガーディアンが出てくることもなく、動くゴーレムは全部破壊したらしく、抵抗は皆無だった。

ライヤー先生が壁の模様や施設の中を見た結果、マカリー文明時代の遺跡で間違いないと断定された。

「工場じゃ、財宝はないだろうな」

さらに細かな調査をしたが、これといって回収できるようなものはなかった。ゴーレム製造関係の施設は、ほぼ死んでいた。

それが終わった後は、バッサンの町に移動。まずはライヤーたちが借りていた部屋の解約手続きを済ませておく。

部屋に行き、彼らの私物を回収。

「あまり荷物がないんだな」

ソウヤが率直な感想を言えば、ライヤーは肩をすくめた。

「あまり長く留まることがないからな。荷物は少ねえよ」

荷物はアイテムボックスハウスへと移動させ、ライヤーとフィーアの新しい部屋に運び込む。

部屋を引き払ったので、次の用事へ。

「遺跡の発掘報告って、どこでするんだ?」

「この町じゃ、商業ギルドに行けばいいぞ」

ライヤーの助言に従い、冒険者ギルドに隣接する商業ギルドへソウヤたちは向かう。ギルドフロアには、朝から商人の姿が多かった。

ライヤーが、カウンターのひとつを指さした。

「遺跡関係はあそこだ」

他のカウンターは雑多な商人たちが順番待ちをしていたが、遺跡関係カウンターはガラガラだった。そもそも朝一で済ませる用など、ほとんどないからだろう。

受付嬢に遺跡関係で来たと言ったら、担当者が出てきて個室へと通された。

「どうも、遺跡部門のスラーです」

頭頂部が少々さみしい中年職員が名乗った。銀の翼商会のソウヤだと告げれば「おお、あなたが」と握手を求められた。

席につき、さっそく報告――その前に。

「実は、12号遺跡の採掘権なんだが、バルドラ商会から、採掘権をうちが買った」

「あぁ、銀の翼商会さんが買われたのですか」

スラーは、どこか知っていたような口調で言った。

「いえね、バルドラ商会さんが、近いうちに採掘権を売却すると打診がありましたので。しかし、もう買い手がついたとは」

「いまさらですが、特に問題はないですか?」

「ええ、双方合意の上で、契約書があれば」

「契約書はこちらに」

ソウヤがそれを出すと、スラーは「お預かりします」と丁重に受け取った。

「――確認いたしました。ギルドでも12号遺跡の採掘権の変更があった旨、書き換えておきます」

「頼みます」

スラーが、ギルドに残す書類を作成して、ソウヤたちの契約書を返却した。

これで12号遺跡でお宝がありました、と報告しても、バルドラ商会が首を突っ込む隙がなくなったわけだ。

お宝がありました、からの、まだギルドの登録はバルドラ商会だから、お宝はバルドラ商会のものだー! なんて言いがかりじみた事態は回避された。

「……これはオレの考え過ぎか?」

隣で退屈そうにしていたライヤーに小声で聞いてみれば。

「まあ、契約書がある以上、考え過ぎだと思うがな。……ただ、その契約書がなくなっちまった場合は、そういう厄介事の可能性はあるぜ」

隙はなくしておくに限る、とライヤーは小声で返した。

ただ、書き換えた直後にお宝がありました、というと、変な勘ぐりとか騒動の予感がした。

ソウヤは12号遺跡の天空人遺産については、今回は黙っておくことにした。

採掘権がこちらにある以上、よそ者が入ってきたら悪いのはソイツらになるので、多少報告が後でも問題あるまい。

今回は、こちらも報告するつもりだった21号遺跡のゴーレム生産工場遺跡の発見についてだけにした。

「21号遺跡の地下に、新たな遺跡が!?」

驚くスラーに、ライヤーが言った。

「調査の結果、マカリー文明時代のものだった。ゴーレムを作る工場だったから、あいにくと財宝はなかったけどな」

遺跡で手に入れたゴーレムのコアを、見本代わりに提出する。たとえるならボーリング玉くらいの大きさのそれに、スラーは目を鋭くさせた。

「これは……ひょっとして、ゴーレムのコアですか?」

「その通り」

ライヤーはニヤリとした。

「魔術師先生に確認したら、まだコアとして使えるらしいぜ」

「それは……つまり」

「売り物になるってこった」

ちら、とライヤーは笑みを浮かべた。

「商業ギルドではゴーレムのコアって入り用かい?」