作品タイトル不明
24話 ライトvsドラゴ2
「メイ、アオユキ、手出しは無用だからね」
「畏まりました。ご武運を」
「にゃー!」
僕は背後にいる二人に釘を刺しつつ、ドラゴへ向き合い続けた。
――ほぼ同時に僕とドラゴが駆け出す!
(両腕を切り落としてでもあの呪いの武器を手放させる)
『種族の集い』最後の復讐相手だ。
神話級(ミトロジー・クラス) 武具、『終末の槍』で自爆されたなんて結末は絶対に認められない。
(この手で必ず復讐を果たす……!)
強い意志を胸に抱きつつ、繰り出されるドラゴの攻撃を弾き、彼の腕を折るつもりで杖を振るった――が、
「そんな見え見えの攻撃を食らうか!」
「!?」
ドラゴはすぐさま防御。
僕の杖を弾き、さらに攻撃へと転じてくる。
その攻撃を防ぎつつ、2、3度同じようにドラゴの腕を潰すつもりで狙うが、その全てが弾かれてしまう。
偶然ではない。
彼はまるでレベル9999の僕自身と同じ実力者へとなぜか至っていた。
「くくクははハはは! 所詮は ヒューマン(劣等種) ! 貴様の攻撃ナド、止まって見えるぞ!」
ドラゴが高笑いしながら、防ぎ、攻撃に転じてくる。
だが、その言動が怪しくなりだす。
笑い声に罅が入ったような、壊れ始めた前兆が見え隠れし始めたのだ。
(レベル9999の僕の攻撃を防ぐため、『終末の槍』が世界の寿命を削って、力をドラゴに注いでいるのか。その結果、ドラゴにももう精神破壊の症状が出始めているのか!?)
早く彼から『終末の槍』を取り上げなければ、壊れ過ぎて間に合わなくなってしまう。
「槍ごときに復讐を邪魔される訳にはいかない……!」
僕はドラゴから『終末の槍』を取り上げるため、『無限ガチャ』カードを切る!
「『SSSR 時間停止(タイムストップ) 』、 解放(リリース) !」
『SSSR 時間停止(タイムストップ) 』――自分以外の対象の時間を停止させるカードだ。
時間を止めて、ドラゴが握っている『終末の槍』を両腕ごと切り落とすつもりだったが……。
「 ヒューマン(劣等種) 、今なにかしタか?」
「『SSSR 時間停止(タイムストップ) 』まで打ち破るのか……!」
『終末の槍』が世界の寿命を削って、自動的に『SSSR 時間停止(タイムストップ) 』を打ち破ってくる。
時間停止で拘束はどうやら無意味らしい。
ならばと即座に意識を切り替えカードを切る!
「『SSSR 氷の終わり(アイス・エンド) 』、 解放(リリース) !」
以前、エリーが『聖剣の勇者』ニックを殺さず、捕らえるため使った戦略級攻撃魔術を放つ。
氷の終わり(アイス・エンド) ――対象に向かって冷気が捕捉するまで永遠に襲いかかり、凍らせる。一度凍ったらそこそこのレベル程度では脱出はほぼ不可能。術者が解凍する意思を示さなければ脱出できない魔術だ。
もちろんこの程度でドラゴを、『終末の槍』を止められるとは考えていない。
「『SSR 思考加速(アクセル・ソート) 』! 『SSSR 速度超強化(アクセルスピードアップ) 』! 『SSSR 身体能力超強化(アビリティビルドアップ) 』! 解放!」
カードで自身の速度を強化。
僕は強化された思考加速、速度を駆使して、ドラゴへ向かう 氷の終わり(アイス・エンド) を追いかけた。
どうせ 氷の終わり(アイス・エンド) がドラゴを凍り付かせたとしても、『SSSR 時間停止(タイムストップ) 』の時のように、『終末の槍』が自動で破壊するだろう。
その破壊より早く、または破壊直後を狙って、そのまま両腕を切り落とす!
「小賢しイワ! ヒューマン(劣等種) がァアアァァアァッ!」
「……ッ!?」
ドラゴが迫り来る 氷の終わり(アイス・エンド) めがけて『終末の槍』を振るう。
槍から放たれた黄金の光が 氷の終わり(アイス・エンド) と正面から激突。 氷の終わり(アイス・エンド) はドラゴに届く前に、振るわれた黄金の光によって消し飛んでしまう。
当然、その効果は 氷の終わり(アイス・エンド) だけに留まらず、後追いした僕まで届く。
加速させていた思考のお陰で、咄嗟にガード!
「……ぐゥッ!」
津波のように迫り来る黄金の衝撃が強すぎて、踏ん張り切れず、僕は吹き飛ばされる。
「ライト様!」
「ニャ!」
メイ、アオユキは黄金の光の効果範囲外だったため、影響はなかったが、僕が吹き飛ばされたのを見て心配の声をあげた。
もし事前に『手を出さないように』と釘を刺していなければ、この時点で参戦していただろう。
「アハハハハはハハはははハハハハ! どうしたライト! 俺カラ『終末の槍』を奪いイイイ、復讐すルルルんジャなかったのか!? そんな這いつくばってイタラララ、復讐なんて出来ないぞ!」
戦略級攻撃魔術『 氷の終わり(アイス・エンド) 』を防ぐため力を振るったせいか、よりドラゴの言動が怪しくなった。
これ以上、彼に『終末の槍』を使わせたら、いつ自壊してもおかしくない。
(そんなことは絶対に許されない……!)
片手で口元を拭いながら立ち上がる。
(下手な攻撃では、『終末の槍』の侵食によってドラゴの精神を壊すだけ……ならそれ以上の力で破壊するしかない!)
僕は杖を強く握りしめ、切り札を切る!
「 魂魄封絶(こんぱくふうぜつ) 第一限定解除! コード、『9999』、フォーナイン! 『 神葬(しんそう) グングニール』!」
僕が所持する解放コードを叫ぶ。
手にしていた杖―― 創世級(ジェネシス・クラス) 、『EX 神葬グングニール』の力を一部開放。
25%の力の解放にもかかわらず、杖から槍の姿になった『神葬グングニール』がレベル9999の僕の手を灼くほどの黒い炎、煙のような物を生み出す。
「ぐぅ……ッ」
僕は手のひらが灼かれるのに耐えながら、ドラゴを睨み、見据える。
「オマエに最後を与えるのは僕だ……ドラゴ!」
その叫びにドラゴは、怯えることもなく上から目線の、壊れた笑い声を上げるだけだった。