軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

21話 ミヤ達捜索と調査依頼

『奈落』最下層にある訓練場で、勝負勘が鈍らないように僕はアオユキと模擬戦をしていた。

勝負が終わると、メイが待ち構えていたようなタイミングで顔を出し、彼女から報告を受ける。

その内容は――『先程、緊急の念話があり、ミヤ嬢が獣人種に誘拐されたとのことです。如何致しましょうか?』というものだった。

ミヤが獣人種に誘拐されるという内容に、最初は驚いてしまったが詳しく話を聞くため場所を移動。

お風呂で汗を流す予定だったが、状況が状況のため汗や汚れは『無限ガチャ』カード、『R、ウォッシュ』で落としてしまう。

メイとアオユキを連れて執務室に移動を終え席に座ると、詳しい報告を耳にした。

メイがモヒカン達から受け取った内容を口にする。

「ミヤ嬢はシックス公国近くにある街で、 人種(ヒューマン) で同性の『シックス公国魔術師学園4級魔術師』クオーネ嬢と仲良くなり意気投合。2人で互いの力量を見せ合うため街を出て裏手にある森へと向かったそうです――」

街に同行していた兄エリオが、時間になっても帰ってこないミヤ達を心配し、1人街を出て裏手の森へと向かう。

魔法の的にされた木を発見したが、ミヤ達の姿は無し。

さらに調べると複数人数と争った形跡があるのに気付き、エリオは慌てて街へと戻る。

クオーネの実家の商家にも戻っておらず、ミヤ達は何らかのトラブルに巻き込まれた可能性が高いとエリオは考えた。

街中や街道の調査はクオーネ家に任せて、エリオは装備を調えて森の中へ入りミヤとクオーネを捜すことに。

ちょうど護衛仕事で知り合ったモヒカン達と顔を合わせ、事情を説明。

モヒカン達も2人の捜索に手を貸すことになった。

アオユキが従えている青い小鳥を連絡用にモヒカン達へと預けている。

その青い小鳥が、木々に止まっていた鳥達に話を聞くと……赤い髪と金色の髪が、2つ足の獣と争い、森奥へと連れ去られたという情報を得る。

エリオにそんな話をする訳にはいかないが、『赤い髪と金色の髪』がミヤとクオーネを指しており、2つ足の獣――つまり獣人種に誘拐された可能性が高い。

クオーネはともかく、ミヤはライトと縁がある人物。

ライトが彼らに好感を抱いているのは理解しているため、モヒカン達は緊急案件として『いざという時』のためのカードの1枚、『SR、念話』を使用。

直ぐにライトへ情報が伝わるようにメイド長であるメイに一報を入れたのだ。

「――モヒカン達は引き続きエリオ様と一緒に森を調査。2人の誘拐に繋がる手がかりを発見次第、アオユキ経由でご報告するとのことです」

「報告を聞く限り、獣人種がミヤちゃんと、街で友人となったクオーネ嬢を誘拐したのは確定のようだね。もし殺害が目的ならその場で首を切ればいいだけだから、何か別の目的があるんだろう。……でも、何故彼ら獣人種がわざわざミヤちゃん達を誘拐するんだ?」

魔術を使える人種は珍しいが、わざわざ誘拐するほど稀少な者でもない。

ドワーフ種ナーノの時のように、獣人種が『禁忌の剣』等の何か生け贄が必要なものを作り出そうとしている? いや、獣人種は体力寄り・脳筋寄りの種族だ。その可能性は低いだろう。

メイがさらに報告する。

「ミヤ嬢の一件と関係があるかは不明ですが、最近、街道を移動中の人種が襲われ、失踪している事件が多発しております。そのせいで人種王国街道の治安が悪化し、冒険者の需要が高まっています。また一部無事だった目撃者曰く『獣人種に襲われた』と報告しているとか」

「ミヤちゃんの一件を踏まえると、偶然とは考え辛いな……」

つまり、獣人種は人種を狙って襲い、誘拐しているようだ。

「しかし、もし獣人種が人種を目立つところで誘拐しているなら、移動時の検問等でもっと発見されていてもいいんじゃないかな? アオユキ、その手の情報はそこまで増えていないんだよね?」

「――是、確かに人種が獣人種の被害にあっている報告はありますが、検問での目撃情報は僅かです」

獣人種が人種をなぜか理由不明だが誘拐しているようだ。

しかし、人を1人誘拐するだけも目立つ。

仮に樽に入れて馬車移動するとしても、街々で検問などされるし、発覚がゼロとは考え辛い。にもかかわらず地上の情報を収集するアオユキの耳に入っていないということはありえない。

「…………」

僕は執務室椅子に体を預け、目を閉じ脳内で地図を引っ張りだして考え込む。

(仮に獣人種が何らかの理由で人種を誘拐しているとして、どうやって目立たず、漏洩せず移動している?)

閃き、答えに至る。

「! そうか河川を利用しているのか!」

「なるほど……獣人種の主な産業の一つは船舶事業でしたね」

僕の声に、メイが感心したように頷く。

獣人連合国の主な産業の一つが船舶事業だ。

造船、運送、船員の手配など、船に関するモノなら何でもおこなっている。

特に船を漕ぐ『漕ぎ手』はほぼ独占している状態だ。

獣人種は体力や筋力に優れているため、『漕ぎ手』に適しているからだ。

人種だと体力や筋力が足りず、他種はプライド的に『漕ぎ手』をやりたがらない。

「恐らくミヤちゃん達を襲った獣人種は森を隠れ蓑にして、河川に出てそこから船で下ったんだんだろう。とすると、彼女達はシックス公国か、獣人連合国の港に連れ去られた可能性が高いのか」

エルフ女王国は『 人種(ヒューマン) 絶対独立主義』により、人種奴隷を持つことが禁止されている。

そのため河川の通り道的にシックス公国と獣人連合国しかなくなるのだ。

「アオユキ、すぐに小型モンスターを使ってミヤちゃん達の行方を捜してくれないか? シックス公国なら今日、港に入った船舶。獣人連合国なら数日後、港についた船舶を中心に探せばすぐに発見できるはずだ。2人を発見したらミヤちゃんの顔を知っているネムムを向かわせよう。撤退する際は転移カードの使用も許可する」

「よろしいのですか?」

メイが思わず聞き返す。

『SSR、転移』カードは『巨塔の魔女』や僕達は多用しているが、世間一般的には稀少なアイテムである。

それをミヤとクオーネに使用した場合、欲しがる者が現れるなど面倒な事になる可能性もゼロではない。

だとしても僕は使用を許可した。

「クオーネっていう 娘(こ) はともかく、ミヤちゃん達にはお世話になったからそれぐらい当然問題無いよ。あと、2人の捜索・救出と一緒に、なぜ獣人種が人種を誘拐しているのかの情報収集も頼む。あくまで2人の救出が優先で、次が情報収集だ。できるかい、アオユキ?」

「にゃ!」

アオユキが僕の問いに元気よく返事をする。

「それじゃ頼む。後、もしかしたらヒソミのような存在、『ますたー』が裏から糸を引いているかもしれない。出来るだけ慎重に捜査と情報収集を頼むよ」

「にゃ~」

アオユキの返事に僕は満足気に頷く。

彼女に任せておけばミヤ達の捜査、情報収集を無事におこなってくれるだろうという安心感があった。

☆ ☆ ☆

――僕がアオユキに指示を出して数日後。

彼女はミヤ達が囚われている場所、獣人種が人種を積極的に誘拐している理由も入手することに成功する。

とはいえ、獣人種が人種を積極的に誘拐している理由は、ミヤ達が囚われている倉庫見張り番達が雑談のように話していたため、楽々情報を得ることが出来たのだ。

その理由とは――。