軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

21話 人造神話級兵器の能力

5人に分裂したナズナが『蛇擬き』――過去文明が作り出した人造 神話級(ミトロジー・クラス) 兵器を大剣プロメテウスで激しく攻撃する。

『シャァアァアァ!』

威嚇の声音を上げて『蛇擬き』はナズナ包囲網から抜け出そうとするが、上手くいかない。

むしろ防ぎきれず、手傷を負っていく。

「だぁあああッ! ここだッ!」

そして突進してきたナズナによる大剣プロメテウスの強撃が決まり、『蛇擬き』の左の蛇腕が肘から切断されてしまう。

「よっしゃ! 硬かったけどついに切ってやったぜ!」

「あたいも負けていられないな!」

「あたいだって負けないぞ!」

「誰があの『蛇擬き』を一番最初に倒すか勝負だな!」

「早い者勝ちだぜ!」

ナズナ5人が好き勝手騒ぎ、止めを刺すため『蛇擬き』に殺到するが――相手は過去文明が作り出した人造 神話級(ミトロジー・クラス) 兵器。勢いだけで簡単に倒せる物ではない。

『蛇擬き』の残った右の蛇腕が口を大きく開くと、小さな白色砲弾を無数にばらまく。

さすがのナズナも近距離で無造作にばらまかれたため、全てを回避することができなかった。

「痛ぇえッ! 左腕を消し飛ばされたぞ!」

「あたいは右足だ!」

「あたいは『奈落』で一番硬いのに、問答無用で一部とはいえ消し去るなんて、なんだよあの攻撃は……」

「伊達に人造 神話級(ミトロジー・クラス) 兵器って訳じゃないんだな」

「ご主人様たちに攻撃がいかないようにしないと!」

ナズナが傷を負っている隙に『蛇擬き』は素速く距離を取る。

自身の攻撃が通用し、相手に手傷を負わせたことで勝機を見いだしたのか、『シャァアァアァ!』と勝利を確信した声音を上げる。

だが、あの程度の傷を付けただけでナズナに『勝利することが出来る』と感じるなど鼻で笑ってしまう。

ナズナ達が大剣プロメテウスを掲げる。

『摂理をねじ曲げて傷を癒せ! プロメテウス!』

声に従い『傷を負った』という摂理を曲げて、ナズナ達の傷が癒える。

――『癒える』というより、摂理を曲げて『傷など最初から負っていない』と世界に訴えかけ書き換えて、傷を無かったことにしたという方が表現としては近い。

本気でナズナを倒したい場合は、5人をほぼ同時に殺害しなければならない。1人でも生き残った場合、大剣プロメテウスによって摂理を曲げられ、傷を癒し、再び5人に分裂してしまうからだ。

『よっしゃぁ! 倍返しだぁぁぁッ!』

ナズナ達は傷が治ったのを確認すると、大剣を構え直し駆け出す。

『蛇擬き』の頭部はフルフェイスで覆われているため表情を読むことはできないが、全身から『理不尽な!』という訴えが滲み出ている。

右の蛇腕から再び小さな白色砲弾を無差別にばらまくが、一度見ているためナズナはきっちりと大剣プロメテウスで受けて被弾せず、距離を縮める。

「一番のり! もらったぜ!」

ナズナの1人が最短距離で間合いを詰めて大剣を振り下ろす――が、その大剣の一撃は黒い長方形の壁を切断して終わる。

「……ありゃ? 『蛇擬き』はどこにいったんだ?」

「なんか黒い長方形の壁に吸い込まれたぞ」

「あたいも見たぞ」

「あっ! あそこにいるぞ!」

「次はあたいが一番のりだぜ!」

まるで目の錯覚のごとく、黒い長方形の壁に吸い込まれた『蛇擬き』がさらに後方へと移動していた。

『蛇擬き』を発見したナズナ達が獲物を見つけた犬達のように駆け出す。

『シャァアァアァ!』と『蛇擬き』は威嚇の声音を上げて、不規則に移動しながら小さな白色砲弾を無差別にばらまく。

どうやらナズナ達と正面から戦うのは得策ではないと気付き、距離を取って削る作戦に変更したようである。

(地上のゴーレムはただ敵を発見したら突撃、攻撃してくるだけ。戦術の判断なんてできないのに……あの人造 神話級(ミトロジー・クラス) 兵器はそれが出来るなんて、どれだけ凄い技術で作られているんだろう……)

さらに注目すべきは『蛇擬き』の能力だ。

不規則に並べられた黒い長方形の壁を、一切考慮せずすり抜ける。

一方ナズナ達は、黒い長方形の壁が障害物となり、『蛇擬き』との距離をなかなか縮められずにいた。

「逃げるな! 正々堂々戦え!」

「弱虫! 毛虫! 蛇!」

「もっと頭良い悪口、挑発を言えよ!」

「ならオマエが言えよ」

「こらぁ! テメェ! なにご主人様まで狙ってやがる!」

さらに『蛇擬き』は僕達まで狙うことで自身を追いかけるナズナの数を減らそうと目論む。

狙い通り、ナズナは3人ほど僕達の護衛に回り、小さな白色砲弾が飛んで来ないように弾いた。

残り2人が追いかけるが、どうしても黒い長方形の壁が邪魔で追いつけない。

(基本ではあるけれど、ゴーレムがナズナ達の分断を狙ってくるとは……)

確かにナズナの持つ大剣プロメテウスは強力な能力を持つ 神話級(ミトロジー・クラス) だが、決して万能ではない。

戦い方さえ工夫すれば彼女と渡り合うことが出来るのだ。

特に今回のような頭を使われた戦い方をされるとナズナは脆い面がある。もっと頭を使って大剣プロメテウスを活用すれば、完封だって難しくない相手なのだが……。

だが彼女のお陰で、『蛇擬き』の能力に予想をつけることが出来た。

相手は所詮ゴーレム。ナズナ達と戦うのに有効な方法とはいえ手の内を見せすぎだ。

僕は手を貸すため懐から1枚の『無限ガチャ』カードを取り出す。

「ナズナ、僕があいつの足を止めるから、その隙に距離を縮めて攻撃してくれ」

『!? りょ、了解しました!』

『蛇擬き』を追いかけるナズナ達が声をあげる。

僕は『蛇擬き』の動きを眺め、予想し……黒い長方形の壁をするりと通り抜けた直後を見計らってカードの力を解放!

「爆豪火炎、 解放(リリース) !」

『シャァッ!?』

通り抜けた直後、 戦術級(タクティックス・クラス) の中でも上位に入る攻撃魔術が『蛇擬き』の近距離で炸裂する。

スズの攻撃時のように敵の体を通り過ぎることはなく、『SSR 爆豪火炎』は『蛇擬き』に爆発と火炎をもたらし、その足を止めた。

(うん、やっぱり僕の予想通りか)

「「さすがご主人様だぜ!」」

上手く予想が嵌って胸中で納得していると、追いついたナズナ達が大剣を振るう。

僕達の側に居た3名のナズナも攻撃に回るため駆け出す。

残されたドワーフ王ダガンが混乱気味に声をかけてくる。

「ら、ライト殿、どうしてライト殿の攻撃が通じたのだ!? 今まであの嬢ちゃん以外の攻撃など通じなかったのに!」

「…………」

ダガン、ドワーフ種達だけではなく、スズも興味深そうに僕を見ていた。

なぜ自分の攻撃が当たらずすり抜け、僕の攻撃魔術だけが効果があったのか疑問なのだろう。

別に隠すことではないため、考察を告げる。

「あの人造 神話級(ミトロジー・クラス) 兵器の能力が、『世界からの希薄』だと予想が付いたから攻撃を与えることが出来たんですよ」