軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

第115話 父娘の時間と霊脈の社

窓から見える月を肴にグラスを傾けていると、しばらく何も言わなかったミラルカが、青い酒に浮かぶ船のようなクリームをスプーンですくい、口に運んだ。

「んっ……陣魔法を使ったあとは、甘いものが欲しくなるのよね。このクリームはさっぱりしていて甘さが丁度いいわ。褒めてあげる」

「元は菓子作りに使おうと思ってたんだけどな。酒の材料は菓子に使えるものも多いから」

「……それは、また今度差し入れに持ってきてもらえると思っていいのかしら?」

「ご希望とあれば。王都に帰るのが、どれくらい先になるか分からないけどな」

「そうね……でも、ジナイーダ将軍と連絡を取ることができれば、事態は大きく動くでしょう。敵の首魁であるグラスゴールの所在を掴めれば、目的の半分は達したようなものだと思うわ」

「そうだな。まずは、この魔道具の力を上手く引き出せるといいが」

『霊脈』がジナイーダ将軍がいる場所の近くに通っていれば、普通に魔道具を使用しても念話が通じない場所にいるとしても、霊脈を介して念話を繋ぐことができるかもしれない。彼女が『霊脈の社』に行けと言っていたというのは、おそらくそういう理由だろう。

「月も出てるし、俺たちももう行くとするか」

「駄目よ。私たちがお風呂に入っているのに、スフィアが入らないのはちょっと、母親として申し訳ないわ」

「そこは拘るところなのか……?」

「拘るところよ。月がすぐ沈んでしまうなんてことはないし……あなたがどうしても恥ずかしいというなら、私とユマがスフィアと一緒に入ってもいいけど。そうしたらそうしたで、あの子に悪い気もするから」

ミラルカはスフィアに好かれたいということか――いや、俺もそうだし、他のみんなもきっとそうだが。

「……何を一人で納得した顔をしてるの? 思ったことはちゃんと言いなさい」

「いや、みんなのおかげであの子はいい子になったんだと思ってな。俺に似たら、きっと可愛げがない子供になるだろうし」

「……それは、別にそうでもないと思うけれど」

「ん……何か言ったか?」

「な、何でもないわ……そろそろ、ユマを呼んでくるわね」

「ああ、行ってらっしゃい」

ミラルカが席を立つ。彼女は食堂から出ていくときに、後ろを振り返って軽く手を振ってみせた。

その時は俺もなんとなく応じただけだったが、一人になってから何か猛烈に落ち着かなくなってくる。

(……可愛いものが好きと言ってたが。俺に、可愛げがないってこともないと言ったんだとすると、それは……そういうことなんだろうか?)

こんなことで動揺している場合ではないと思うが、『蛇』を倒した後のことがあってから、仲間たちに対する意識が変わってしまったように思う。

信頼できる仲間。スフィアの母親――そして俺は、父親で。それが事実なのだから、と恥ずかしがることもないと思っていたが、本来なら、簡単にこの状況に馴染んでいいはずも無かったわけで。

しかし娘の元気な顔を見ると、今はこれでいいと思えてくる。俺が過剰に意識してギクシャクとしていたら、スフィアにも心配させてしまう。「お母さんたちと何かあったの?」

なんてことになったら、俺は返事に窮してしまう。

「お父さん、ただいまー」

「あ、ああ。お帰り、スフィア。メルメアは元気だったか?」

「うん、もう大丈夫。お父さんに、ありがとうって言っておいてほしいって」

スフィアはそう答えたあと、きょろきょろと周りを見る――そして、椅子に座った俺に近づいてくる。

「あ、あのね……お父さん……」

「ああ、いいぞ」

「えっ……まだ何も言ってないのに、私のしたいことがわかっちゃうの?」

「なんとなく見れば分かるよ。スフィアの考えてることは、しぐさに出やすいからな」

「……じゃ、じゃあ……ちょっとだけ……だめ?」

駄目なわけがない。単にスフィアは、俺の膝の上に乗りたがっているだけなのだから。

「ミラルカ母さんとユマ母さんが風呂に入ってるからな。ちょっとここで待ってるか」

「っ……うん!」

椅子を引いてスフィアの方を向くと、彼女は少し遠慮がちに俺の膝の上に乗ってきた。そのままでは落ちてしまうので、よじよじと後ろに下がってくる。

「ん……スフィア、ちょっと背が伸びたか?」

「うん、アイリーンお母さんもそう言ってた。私がすくすく育ってくれて嬉しいって」

「すくすくというか……騎竜戦を終えてから、目に見えて成長した気がするな」

人工精霊なので、成長の仕方も人間とは異なるということだろうか。大きな戦いを経るごとに、このペースで成長を続けたら、俺たちと変わらない年頃の姿にまで成長してしまう気がする。

しかしまだ子供であることには違いない。こうやって膝の上に乗ってくるうちは、まだ精神的には甘えたい盛りということだ。

「……お父さん、やっぱりもう、甘えたりしちゃだめ……? 大きくなったら、もっとしっかりしないといけないよね」

「急に変わる必要はないから、大丈夫だ。まあ、お父さんもちょっと照れるけどな」

「えへへ……お父さんって、恥ずかしがり屋さんだよね。だから目立ちたくないんだって、お母さんたちが言ってたよ」

「そ、そういう理由でもないんだが……あながち否定はできないか」

スフィアは楽しそうに笑い、サラサラと髪が揺れる。髪が伸びるのも早く、すでに背中の半ばほどまで届く長さになっていた。

「お父さん、手で支えちゃだめ。横にどけて」

「ん? い、いや、そうするとバランスがだな……」

「いいの、お父さんにもたれたいの」

言われるがままの親になってはいけないと思うが、やはりスフィアに言われると弱い。スフィアは俺の方にもたれかかると、俺の腕を取って前に回させる。

「お父さんの手、温かい。私、お父さんの魔力が一番好きみたい。お母さんたちも好きだけど、お父さんも好き」

「それは嬉しいが、母さんたちが聞いたら妬かれそうだな」

「……お母さんたちはね、私のお母さんでもあるけど、お父さんのことではライバルだから」

「そうか……って、今何か、とんでもないことを言われた気がしたんだが」

スフィアは俺にもたれかかったままで後ろを向く。人工精霊の実体化した身体は、やはり人間と遜色ないくらいに温かみがあり、あまり意識してはならないと思うが、ここまで密着されるとその柔らかさが伝わってくる。

「この国を助けられるように、私もお父さんのお手伝いがしたい。お母さんたちに負けないくらい、お父さんが好きだから」

「っ……い、いや、その『好き』はだな……家族としての愛情というか、そういうやつだとお父さんは嬉しいんだが……」

「家族……それは、お母さんたちがお父さんに思ってることとは違うの? リムお母さんは、ディックお父さんに女の人として見てもらうために、もっと頑張らなきゃって言ってた。私がお父さんに喜んで欲しいって思うのは、それとは違う?」

師匠がそんなことを言っていたというのも、ここで聞かされるのは想定していなかったというか、あんな涼しい顔をしてそんなことを考えているのかと思うと――いや、幾らなんでも脱線のしすぎだ。

スフィアは自分の感情の位置を定めかねている。俺は娘を安心させるために、何を話すべきかと考える――そして。

「……あ」

――ふと食堂の入り口を見やって、そこから覗いている師匠と目が合った。

「し、師匠……いや、これは俺が聞き出そうとしたわけじゃなく、会話の中で自ずと導き出されてしまったというかだな……」

師匠は無言で俺を見ている――睨むわけでもなく、彼女はふっと微笑む。

「ディー君ったら……私のいないところで、スフィアちゃんとそんなに仲良くお話しちゃって。膝の上に乗せて可愛がるなんて、私がディー君にしたこともないよね。ディー君、今から小さくなってさせてくれない?」

「そ、そっちの方か……いや、悲しくも俺も大人になってしまったからな。師匠、代わりにスフィアを可愛がってやってくれ」

「そんなことできると思う? スフィアちゃん、お父さん子全開なのに。悪いお父さんだよね、娘の気持ちをないがしろにして」

「あ、あのね……リムお母さんのこと、お父さんはちゃんと女の人として見てると思う。だからね、心配しなくていいよ」

(なっ……!?)

一言もそんなことを言ったつもりはないのだが、スフィアはよほど師匠を安心させたかったのか――それで安心するというのも、こちらの気が気でないのだが――いきなり大胆極まりないことを言ってしまう。

「え、えっと……スフィアちゃん、私のことは? ディック、何か言ってた?」

「ア、アイリーン……このタイミングで切り込んでくるな!」

「さすがコーディ君と並んで、魔王討伐隊の切り込み隊長だね。心配しなくても、ディー君はもうちょっと押したら倒れるよ。スフィアちゃんが突破口を開いてくれるから」

「娘をだしにして攻めてくるな……っ、まったく、油断も隙もない……」

師匠は引き際も鮮やかに、アイリーンを連れて行ってしまう。スフィアは小さく手を振っていたが、降りるかと思いきや、またもたれかかってきた。

「……わりとおてんばだな、うちのお姫様は」

「お母さんたちは、お父さんとおしゃべりするのが凄く楽しいんだよ。私もお母さんたちと同じかな」

「そ、そうか……」

スフィアは俺を 宥(なだ) めることについては、すでにコツを掴んでいるようだ。俺にもたれたまま、目をむにゃむにゃとこする――どうやらこうしているうちに、眠くなってきたらしい。

俺は自分のことを社交性に長けていると思ってはいないので、話すと楽しいと言われると深い部分で自分を肯定されたような気がしてしまう。

「お父さんは、もう絶対寂しくなんてならないよ。みんながいるから」

俺の心の端をよぎった、子供の頃の風景。一人で当てもなく野山を歩いた日々。

それすらもスフィアには伝わってしまう。強がりなど最初から通じない相手だ。

「……私も、お父さんと一緒だと……いつも、楽しい……」

「……ちょっと疲れたか。風呂の順番になるまで、寝てるといい」

「うん……ありがと……」

成長期ということで、人工精霊もよく眠る時期があるのかもしれない。俺もスフィアと一緒に、ほんの少し座ったままで眠ることにした。

◆◇◆

仲間たちにはルジェンタ城に待機してもらい、俺はスフィアと立会人の師匠と一緒に、バニングに乗って『霊脈の社』を目指した。

「夜だと、魔力が通ってる地脈……つまり『霊脈』が見えやすくなるから、探しやすくなるんだよ」

「普通の感覚じゃ見えないだろうけどな……俺も『 視力強化(ビジョンライズ) 』をかけて、ようやく見えるかどうかって程度だ」

『霊脈』は地中深くを通っているが、時折地表に近いところに上がってきている部分がある。『霊脈の社』は、その中でも特に、縦横無尽に広がる『霊脈』の集約されている点にあるので、意識して探せば見つけやすい。

「バニングさん、あの辺りに降りて」

バニングはクルル、と控えめに喉を鳴らす。火竜一家の大黒柱であり、一吼えで大軍を恐慌に陥らせるほどの咆哮を持つ火竜とは思えないほど、愛嬌のある声だ。

「バニング君は、スフィアちゃんにすっかり懐いちゃってるんだね」

「何か、誰にでも好かれる才能を持ってるからな……竜までメロメロにするとは、末恐ろしいものがある」

「ううん、バニングさんはお父さんが一番だよ。お父さんの娘だから、お父さんの次に尊敬しなきゃだめなんだって」

驚くことに、スフィアの言葉を肯定するかのようにバニングが相槌を打つ――こんな高レベルの意思疎通ができるとは。魔法大学で竜言語を絶賛研究中の俺としては、羨ましいというほかない。

話しているうちに、目的地の近くに到着した。ルジェンタ城から北西の方角で、国軍が布陣しているあたりの遥か上空を通り越した――もし戦争に勝つだけならこの高度からブレスを降り注がせればいいことになるが、それはまだ選択すべきでない手段だ。

魔道具を渡してくれたシェイド将軍にも立ち会ってもらおうかと考えたが、彼は自分にできる役割を果たすと言って辞退した。軍の責任者として兵を統括すること、彼はその役割に徹してくれるということだ。

霊脈の社は、切り立った崖の途中にある洞窟の中にあった――付近の住民がここを訪れることがあるのか、崖沿いに細い道が作られているが、いかにも頼りない足場というものでしかなく、不用意に足をかけたら崩れ落ちそうだ。

「なかなかスリリングな場所にあるもんだな……」

「地層がずれてできた崖みたいだから、元々は土の中にあったんじゃないかな?」

俺はスフィアを抱きかかえて飛び降り、洞窟に入る。師匠も後から降りてきて、バニングにはいったん付近の森の中に伏せていてもらうことにした。

「凄い。これが、ラトクリスの霊脈の集まる場所……」

「……そういえばエルセインにも、こういう場所が幾つかあったな。その時は魔力が濃いから、魔族にとって聖地みたいなものなのかと思ってたが」

「それも間違いじゃないと思う。魔族の中には、魔力が濃いところじゃないと生きられない種族もいるから」

「お父さん、明かりをつけてもいい?」

「ああ、いいぞ」

スフィアは 明かり(ライティング) の魔法を唱える――柔らかな光を放つ光球が生まれ、俺たちの周りをゆっくりと回り始めた。そのまま光球を三つまで増やし、洞窟の暗闇を照らして視界を確保する。

ゆっくりと下っていくような、茶色い岩肌に囲まれた道を進んでいくと、目的の場所に辿り着いた。魔族たちにとっても崇拝の対象とされているのか、霊脈の集約する場所を中心に円形に石柱が立てられている。捧げ物らしい穀物の袋、そして酒もあったが、ある程度放置されたものなのか、どれも朽ち果てていた。

(これも内乱の影響か……早くしないと、この国の人々の暮らしは荒む一方だな)

「さっき上空を飛んでるとき、この近くに村があって……少し、寂れてるなって思ったんだけど。こういう形で影響が見えちゃうと、やりきれないね」

「少しでも早く、この国の人達が元通りに暮らせるようにしなきゃ」

「ああ、ここから形勢を変えていくぞ。師匠、『霊脈』を利用して魔道具を使うっていうのはどうしたもんかな。俺は、経験が無いんだが……」

「素直にジナイーダ将軍の言ってることを考えると……ここで、魔道具を使ってみればいいってことだよね」

魔石のついた装飾具。それを取り出し、他の魔道具を使うときと同じように、媒介となる金属部分に触れて魔力を送り込む。

その瞬間。石柱に囲まれた、『霊脈の社』――膨大な魔力の流れの集約点が、目に見えて反応を示す。

(これは、俺が作った念話の魔道具とは根幹の思想が違う……初めから、霊脈を利用して遠隔地と連絡するために作られた魔道具だったってことか……!)

「ディー君、何か聞こえる? ジナイーダ将軍には通じたの……?」

「……かなり広範囲に渡って、『霊脈』が通っている範囲を探れそうだ。その気になれば、このラトクリスの片隅の情報まで、ここである程度取得することができる」

自分の視覚と聴覚を、霊脈の力を介して拡張したような感覚――霊脈が通っている場所、その周囲に起きている現象を、今の俺は全て感じ取ることができる。『聞く』だけでなく、『見る』こともできるのだ。

(俺が構築した『情報網』……それを、今の状態よりもさらに進化させることができる。この、いわば『霊脈探知』とも言える技術を使えば)

やはり世界は広いと痛感する。王都の中にいるだけでは、この技術に出会うことは無かった――妖精との交流を経て、辿り着くことはできたかもしれないが。

「お父さん、霊脈を通じて呼びかけてみて。その魔道具に残った、ジナイーダさんの魔力を頼りにすれば……」

「ああ。頭の中に、一気に情報が流れ込んできて洪水みたいになってるが……慣れると、捌ききれない情報量でもないな」

「ディー君、 思考速度強化(ブレインライズ) を使いこなせてるの? 凄い……私でも、使うとしばらく何も考えられないくらいぽんこつになっちゃうのに」

頭脳に負荷をかけて疲労した分だけ、常に回復魔法をかけ続ける――力技もいいところだが、常に肉体に負荷をかけて鍛錬するのと原理としてはそこまで変わらない。

ただ、これをすると思考速度が早まるせいで、全てがゆっくりに見えるという弊害がある。これまでの戦いで極限まで集中したときも、自動的にこの状態に突入していたのだが――と、それはいい。

魔道具に残っている魔力の残滓。それが、ラトクリス全域の霊脈の付近に存在しないかを探る――感覚を、広大な霊脈の網に潜りこませる。

(スフィアの言う通り……彼女の魔力が、目印になる。この場所は……王宮の近く……さらに西の山中……)

微かに、声が聞こえてくる。俺が探している魔力の持ち主が、霊脈を介して呼んでいる――そのために、魔道具を持ってここに来るようにとジナイーダ将軍はシェイド将軍に伝えていたのだ。

(誰か……この声が聴こえるなら……私は、まだ生きている……まだ、戦える……)

「ああ……しっかりと聞こえた。そこにいるのなら、俺たちが助けに行ける。待っていてくれ、すぐに行くからな」

「ディー君、スフィアちゃんのことをお願い。私も一緒に行きたいけど、スフィアちゃんの力で霊脈に潜ることはできても、私は同じことができないから……」

「お父さん、『 小さき魂(スモールスピリット) 』の魔法を使って、私の中に入って。そうしたら、一緒に転移できるから」

スフィアはそこまで理解して、俺と一緒に行けると確信してここに来た。その聡明さに、親馬鹿が疼きそうになる――だが、褒めるのは大事な仕事が終わった後だ。

「師匠、俺の肉体はここに残していくことになる。意識をこっちに戻すことはできるが、できれば守ってくれるとありがたい」

「うん、そのためについてきたようなものだから。スフィアちゃんも気をつけてね。強い相手が出てきたら、無理はしないこと」

「ありがとう、リムお母さん。行ってきます」

師匠はかがみ込んでスフィアを抱きしめる。そして娘の髪を整えたあと、笑って送り出す――参ったことに、完全に母親そのものの振る舞いだ。

「さて……スフィアは身体に文字を描かなくても大丈夫か。他のみんなに宿すときは、描かないといけないんだが」

「うん、私なら大丈夫。お父さんの魔力は、元から私の身体の中にあるから。宿すために、魔力文字の『手続き』が無くても平気だよ」

「それならこのままいけるな。ラトクリスの西の果てまで、一緒にひとっ飛び行ってくるとするか……我が魂のおおもとより分かれ、新たに生まれ出でよ。『 小さき魂(スモールスピリット) 』」

ちょうど戦闘評価にして十万に匹敵する俺の分身――『小さき魂』を生み出す。スフィアは手を差し出し、それを包み込むようにして、自分の胸に押し当てる。

――意識が、スフィアの中に引き込まれる。今度は自分の意志で戻れるとはいえ、この引力は、身を任せるにはあまりにも強く、驚かずにはいられなかった。