作品タイトル不明
72 最後の蜥蜴
大丈夫だ。
動けないようなダメージじゃない。
髪なら焦げてもまた生えてくる。
生えてくるよな。
この歳でつるッとするのはいやだぞ。
俺は意識を焦げた髪から切り離し燃える蜥蜴との距離を詰める。
少しくらい大きくても倒し方は今までの蜥蜴と一緒だ。
ただ、頭部の位置が高く明らかに外皮が厚い。
喉元に踏み込み下からロングソードを縦に跳ね上げる。いける。
やはり他の蜥蜴同様腹からのどの皮膚は剣を通す。
ただ、炎に包まれてるせいで俺の踏み込みも甘く深手を負わせるには至らなかった。
「ギイイイアアアアア」
再び口を開いた。
この至近、逃げ場は蜥蜴の腹の下しかない。
炎を吐かれる前に蜥蜴の腹下へと滑り込む。
上を見れば蜥蜴の腹。
この巨体にボディプレスされたら俺も間違いなく潰される。
その前に倒すしかない。頭上に向けロングソードを突き上げる。
「ギギイイイイイイイイイ」
やはりここも柔らかいようだ。
今までよりも簡単に刃が通った。
腹も燃えているので長くはこうしていられない。
剣を引き抜き何度も頭上を突き刺す。
おそらくは10度以上突き刺しただろうか。
ふっと手元が軽くなり蜥蜴はその場から姿を消した。
潰される前に倒せてよかったけど『炎塵』の問題点がでてしまった。
モンスターが炎に包まれると普通に熱い。
モンスターにダメージが入り動きが鈍るのはいいけど、近接だとこっちの動きも鈍ってしまう。
“きたあああああああああああああああああああああああああああああああ~~~~~”
“やべええええええええええええええええええええええええええええええええ”~~“
“ショーゴが歴戦の勇士に見えたああああああ~~~”
“やべえええ戦い方が戦士のそれだアアアアア”
“サラマンドラ2体撃破アアアアアア”
“きたあああああああああああああああああああ。マジきたこれ”
“視聴数も跳ね上がってる一桁増えてる。一万超えてるっぞおお”
“今そんなことはどうでもいい。俺は猛烈に感動している。人畜無害の仇とってくれえええええ~~~頼む”
“人畜無害ダメだったか”
“ショーゴさまあああ~”
“いや、エンジュもドレイク抑えてる。グッジョブ”
残るは一番大きい奴だけど、こいつだけ姿形がちょっと違う。
なんとなく凛々しいというかどっしりした感が強い。
ただ、エンジュさんのおかげで足下が凍っていることに変わりはなく、正面から柔らかいところを狙うか周囲から削るかだ。
とりあえず燃やしとくか。
「火の粉より生まれし炎の子よ、我を遮るものを焦がし燃やしつくせ『炎塵』」
「ゴアアアアアアアアアアッ」
他の二体に比べると声もでかい。
巨体を激しく動かし暴れたせいで足下の氷が割れてしまった。
「すみません。これで打ち止めです。極寒の大地、悠久の凍土、そこには何も生えず、そこには何も存在しえない。凍りつけ『パーゲリソル』」
「たすかります」
再び蜥蜴の足下が凍り付く。
後は俺だ。
動きをとめた蜥蜴の後方へと走りしっぽにロングソードをぶち込む。
想像以上だ。
おそらくは先の2体よりも硬い。