軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

第43話 激動の一年

無事に盗賊の討伐が終わり諸々の事が落ち着いたのは年の瀬が迫る冬の事であった。

リーグさん以外の賞金首達はリント王国とニルバ王国の賞金を掛けられているそれぞれの国でキチンと裁かれたのか、自分達が燃やしたカサールの町の復興の資金として、現在その賞金は役に立ってくれている。

残されたリーグさんもカサール騎士団の方々の取り調べを受け、カサール襲撃の際はテイムも出来ずに檻に入れっぱなしだったあの恐竜の世話の為に砦にてお留守番をしていたという事がわかり、カサール男爵様より、

「襲撃に参加していないのならば…まぁ、リント王国での件はワシは知らないから…でもあれか…盗賊団の一味としてこちらで行った盗賊行為の件は罰金刑として、罰金はジョン殿の名前で世話になった我が家が立て替えるとしよう。 まぁ、かなりの額にはなるからジョン殿の借金奴隷として必死に働くが良い」

という寛大なお沙汰により、リーグさんが僕たちの仲間に加わったのである。

クソ親父に関しての新情報を知った僕はとしては、リント王国の事は、

『追放されたから…』

という理由ではないが、今さら僕があの国に関わって、どうこうする気が全くないので、

『あちらの国は、あちらの国で解決して下さい』

という事で、一応礼儀として盗賊討伐作戦に関わってくれたバートン様には、【ありがとう】の気持ちと共に、

『バートン様が領主になられてすぐに退職した庭師のリーグという男ですが、バートン様が不満だとかではなく…』

と、リーグさんが辞めた理由やらウチのクソ親父を操っていた黒幕がいた件を砦で捕縛したリント王国側の賞金首をお届けするついでにお手紙にてお伝えすると、バートン様からカサール男爵家との間に設置されている通信魔道具を使い、

『それならば私もだが、父も協力するからリント王国に帰って来れる様に陛下に…』

みたいな連絡がカサール男爵様の方に入ったらしいのであるが、

「真の黒幕を探すのとかは別に良いのでペアの町の皆さんが豊かに暮らせる様にだけお願いします…ってお伝え下さい」

とだけ男爵様に伝言をお願いして、僕は今日もカサールの町の復興のお手伝いをしている。

盗賊の件も終わり、冬の寒さが堪える季節に、家を燃やされた方々の為の仮設住宅もなんとか間に合い、テント暮らしの人は居なくなったのだが、この町には大工さんの数も限られており、本格的な復興はまだまだ先の様ではある。

そして、僕は師匠達と盗賊討伐の際に作った新型ゴーレムの改良点などを話し合い資料にまとめているのだが、先に軍務大臣様に師匠達がまとめてカサール男爵様が提出した今回の新型ゴーレムでの盗賊討伐の報告書がそのまま国王陛下にまで伝わった結果、なんと正式に研究の為の予算が組まれたらしく、めでたいことに春から師匠と共に兄弟子の数名は王都に向かい国家錬金術師として働く事になったのだ。

師匠もだが一緒に王都へ向かう兄弟子さん達に、

「ジョンのアイデアが必要なんだ…」

と僕も王都へ誘われたのであるが、

「アイデアはいくらでもお貸ししますが、僕にはやりたい事があるので…」

と僕はその誘いをお断りしたのだ。

まぁ、国家錬金術師として研究資金もあるので通信魔道具でも用意してくれたらリモート会議ぐらい出席できるし、外注先としてお小遣いでも貰えたら前世のロボ知識を惜しみ無く吐き出す準備は出来ている。

まぁ、本当の所は、

『下っ端の弟弟子としてこき使われる未来しか見えないモン!』

というのが本音ではある。

しかし、僕にはリモートでは出来ない【やりたい事】があるのは事実で、そのやりたい事というのはベルのことだ。

正直なところ盗賊から取り返したベルの集落に戻って暮らすというのは、僕としてもベルにオススメしたくない程に荒れ果てており、こっそりクリスト様と騎士団の方々がゴーレムなどを使い集落を解体して、今はお墓だけが並んでいるのである。

『ベルとご両親の思い出が残る何かを集落で探す為に、血生臭い痕跡とか見たくない物をベルに見せるぐらいなら、【盗賊討伐の時に燃えた】と嘘をついてでもベルのご両親との良い思い出を汚したくなかった…』

という僕のわがままをクリスト様が叶えてくれたのであるが、その為にベルは帰る家が無くなってしまった…という事で、僕の次なる目標は、

『ベルの住む家を用意する』

という事である。

丁度力持ちで手先も器用なテイマーギフト持ちの庭師のリーグさんが先日仲間になってくれたので、

「よし、春になったら何処かに家を探して畑でも…」

などと間借りしているカサール男爵様のお屋敷にて、ベルとリーグさんに話していると、何故かカサール男爵様が拗ねる、拗ねる…

『なんでかな?』

と考えてみると、

『あぁ、盗賊討伐が終わったら引退して何処かに町を作るとか言っていたな…それに手を貸せ、とかなんとか…』

と思い出した僕は、

「ではカサール男爵様、僕たちに畑も出来る広い土地って用意してくれます?」

と聞くと男爵様は、ニコニコの笑顔になり、

「あぁ、勿論だ!」

と約束してくれ、たぶん小さなグループの盗賊達を壊滅させた廃村辺りに僕たちは土地を持てる事になったのだが、しかし問題は土地は貰えても住む家が無いという点である。

その場所には何年も放置され盗賊のアジトにされていたような民家がポツリポツリあるだけだったが、それもカサール男爵様がゴーレムパンチで盗賊諸とも破壊したのでソレも今はなくなり、村を魔物から守っていた石垣も戦争の時に壊されているので住める状態までにかなりの時間がかかりそうなのだ。

『カサールの町もマルダートの町も家が足りずに大工さん不足状態なのに新しく町を…って、大丈夫かな?』

と心配していたのであるが、数日後にカサール男爵様がションボリしながらクリスト様と一緒に僕たちの前に現れて、すっかり元気が無くなっている男爵様が、

「すまん…引退が出来ない事になった…」

と、僕たちに頭を下げたのである。

話を聞けば、戦争の末期には男爵様は戦士としての体力の限界を感じており、

『マルダートを取り戻すまでは…』

という願いも、長引く戦争が引き分けという形で終わり返還されることに決まり、

『体力の限界ですので…倅に…』

という引退理由で直属の上司である軍務大臣様に引退を申し出ていたのであるが、この度の件もあり、

「燃やされた町を復興もせずに引退など代官として許されない、それに錬金術師達の報告にもお主の乗る新型ゴーレムとやらだけで殆どの盗賊を蹴散らしたらしいではないか!? 一度陛下の前で息子とゴーレムでの模擬戦を見せに来い、陛下が我が国初のギフトもなくゴーレムを操った者として勲章を用意してくれておるので、死ぬまで働け…私と五つしか違わないからまだまだ働けるはずだ!」

と通信魔道具を使いお叱りの連絡が届いたらしく、

「畑を耕して余生を送る予定だったのに…」

と落ち込む男爵様をクリスト様が、

「父上、勲章ですよ。 ニルバ王国初のギフト無しのゴーレム使い…いや、ゴーレム乗りの始祖ですよ」

などと持ち上げ、

「そ、そうか…」

と満更でもない男爵様に、僕も、

「そうですよ男爵様、この国どころかこの世界でゴーレムマスターのギフトが無いのにあれ程上手にゴーレムを操れる者など…これは後身の育成を頑張って貰わねば…」

と、ダメ押しをし、リーグさんも、

「あの迫力…今でも夢に出ます」

と殴られた経験者として評価し、ベルも、

「お爺ちゃんは強いんだ…凄いね」

と純粋に褒めると、男爵様は、

「そ、そうだな!」

と、自信とやる気が戻って来たらしく、

「よし、王都にエルバート殿をお送りするついでに我が愛機の勇姿を陛下にご披露するか!」

とノリノリになり、

『皆、ありがとね…』

という表情のクリスト様に連れられてカサール男爵様は帰って行かれたのであった。

『引退出来ないと知ってショボクレて仕事もしなかったのだろう…クリスト様も補佐役として大変だな…』

と二人の背中を見送った僕たちは、

「で、家はどうなるんだろう…」

と素朴な疑問を呟いてみたのだった。