軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

第24話 目標達成

レアアイテムの腕輪を手に入れるという幸運のおかげでベルの仇討ちとなる盗賊の討伐をお願いする事に成功した。

しかし、この件はウエスにある冒険者ギルドの出張所のお兄さんが僕たちの窓口担当になってくれている為に、週に二度しか来ない手紙や物資を運ぶ定期の乗り合い馬車が来ないとカサールの冒険者ギルドへ申請も出来ないし、ギルドからの返信も待たないと駄目なのである。

『ならば、僕たちがカサールに行って申請すれば…』

とは思うが、出張所の職員のお兄さんに、

「頼みます…本部に帰るチャンスかも知れないんです…ダンジョンのドロップ品をチェックして報告するだけの生活は…もう…」

と、このウエスのダンジョンに派遣されてから初めてとなる大きな依頼を是非とも自分にやらせて欲しいと懇願されてしまった為に僕とベルは、ウエスダンジョンの村で待機という事になったのだ。

『確かに、この出張所まで冒険者が依頼を受けにくる事は無さそうだし、あっても常時依頼の薬草の採取を村の方々が仕事のついでに集めて納品するだけだろうしな…』

という事で、納品した腕輪の件が依頼主に伝わり了承されて、冒険者ギルドポイントが付与されるまでの間、

「どこにも行かずにウエスの周辺に居てくださいね」

と僕たちが出ていかない様にと、ギルド職員のお兄さんは、

「ギルドからのお願いで滞在してもらうので…」

という事で、宿の宿泊費用も出してくれる事になり僕もベルも大満足でウエスの村に滞在しているのである。

無料で寝泊まり出来る事は大変有難いのだが、ほとんど客も来ないギルド宿で唯一の客が無料なんて運営が心配になった僕がその事をチラッと聞いた時に、

「ギルドが貴族の依頼を達成するための経費で、本部からちゃんと商業ギルドの取り分は支払われてますから、お二人は気にしないでのんびり過ごして下さい」

などと、お兄さんは言ってくれたのたのではある。

しかし、無料とはいえ宿でボーッと待つなんて退屈なので、穴あきシャツや色抜けズボンでテンションの下がっていたベルも、

「捨てずに持ってた前の服も有るからこの服は全部溶けてもいいや…」

と、割りきったらしく、

「お兄ちゃん、小さいスライムからでも宝箱が出るんだよね?」

という事で僕たちは、冒険者ギルドの調査した確率的には1~2%程度でドロップするダンジョンの宝箱を目指して、解体用にベルが欲しがっている魔鉱鉄のナイフ狙いで連日スライム狩りに出かける日々を送っているのである。

1%の出現率でもノーマルスライムならば百匹倒すのは難しくなく、毒消し草も二階層で手に入るので、武器や防具が酸で駄目になる事だけを覚悟すれば三階層のアシッドスライムやポイズンスライムも獲物に出来る。

僕としては、

『簡単なミッションだな…』

と甘く見ていたのであるが、どうやら物欲をダンジョンに見透かされているのか、はたまたボス討伐のボーナス宝箱からトップレアアイテムを引き当てた事により運が尽きたのか…

『お兄ちゃん…宝箱って本当にでるの?』

と、ベルが不安を口にする程に、2日間ミッチリ潜って、リポップ待ちまでして階層を巡り、1日に百匹以上のスライムを倒しているのに宝箱すら出て来なかったのだ。

「まぁ、百匹毎に1個じゃなくて100分の1の確率だからな…」

と、己の運の無さを悔やんでいたのであるが、ようやく3日目にストーンスライムから出てきた宝箱は、回復ポーション3本という微妙な結果に…

『回復ポーションがあるのなら…』

と、その後のダンジョンアタックには確定で高値の魔石をドロップするボスの周回も挟むことで、大銀貨1枚になるビックスライムの魔石を手に入れやすくなったのは嬉しいが、しかし、ベルのお目当ての魔鉱鉄のナイフだけが出て来ない…

『いや、宝箱は1日~2日に1個ペースで出てきてるし、ポーション類だけでなく小当たりの魔鉱鉄のハンマーまで出たのだが…これが物欲センサーか…』

と呆れて、僕もベルも諦めムードになった10日目の事、二階層のノーマルスライムからドロップした宝箱からようやくベルのお目当ての魔鉱鉄のナイフが出てきたのである。

ナイフを持ってピョンピョンと、嬉しそうにはしゃいでいるベルを眺め、

『あの、笑顔…プライスレス…』

などと、自分の頑張りにも満足していた僕である。

しかし、何故にベルがここまで魔鉱鉄のナイフにこだわったかと言うと、魔鉱鉄の【錆びない】という特性から大自然の中で暮らす猟師の御用達であり、ベルのお父さんの愛用品でもあり、

「お父さんがね、盗賊と戦った時も持ってたけど…盗賊って…全部持って行っちゃうんでしょ…」

と、お父さんの愛用していたナイフの代わりに、お父さんが愛したナイフと同じ素材のナイフを手元に置きたいという気持だったらしい、

『駄目だ…いじらし過ぎて、目から勝手にお汁が出ちゃう…』

という事があった翌日、カサールの町からの定期馬車がウエスに到着し、

「カサールの本店から、依頼達成の承諾が来ましたよ」

と職員のお兄さんがルンルンでベルと二人で朝食を食べているギルド酒場まで報告に来てくれたのである。

どうやらこの依頼はお兄さんの成績に加点されたらしく、

「ギルドマスターからお褒めの手紙が来まして…あっ、そうだギルドマスターがジョンさんに会いたいって書いてありましたが…」

と、面倒くさそうな事を言っていたが、僕たちとしてもベルの欲しかったナイフも手に入り、ラッキーで盗賊の件も何とか出来てしまい、あとは、

『ギャンさんに報告がてら新しいマトモな服を…』

と、収容施設にて支給された作業服とまだ破れが残る出会った時の服装に戻ってしまっている僕とベルにはここに残る理由もなく、魔石や不要な重たい魔鉱鉄のハンマーなどの買い取りや、四階層の鉄鉱石の増加調査を受けた報酬で、小金貨2枚程の収入を手にしているので、

「だったら来た定期馬車に乗ってカサールへ行きます」

と答えたのだった。

するとお兄さんは、

「だったら冒険者ランクの話はギルドマスターに頼んだ方がいいね…」

と、僕のランクアップ手続きはカサールの冒険者ギルドでする為にと、出張所のカウンターに戻り何やら書類を書いて来たらしく、

「この報告書を本部に送っておくから、こっちの手紙を冒険者ギルドの窓口で提出してたらギルマスが色々してくれるからね…」

と言って手紙を僕たちに渡し、報告書はギルド酒場の近くのテーブルで朝ごはんを食べていた定期馬車の御者のおじさんに渡して出発する様に依頼していた。

御者のおじさんは、

「朝飯が済んだら昼まで休憩なのに…」

と訴えるのも聞かず、

「いいから、ねっ、次来た時には一杯奢るから…」

と急かしてくれ、こうして僕たちはカサールへと向かい乗り心地が今ひとつな荷馬車に揺られて移動を開始したのであった。

来る時にベルを勧誘していた御者のおじさんも既にベルが定期馬車乗りの仕事に興味が無い事を理解しており、帰り道では、

「どうだ坊主達、ボスは倒せたか?」

などとウエスのダンジョンでの成果の話題を少ししただけで、比較的静かな旅路だが、相変わらず乗り心地だけは不満が残る。

というか荷物がメインで人が乗る事が希な為に座席が無いのが一番の問題であり、僕の腰にダメージが軽く残りはしたが、とりあえずカサールの町に無事到着する事が出来たのだった。

『あぁ…また、あの感じの悪い門兵が居るのかな?』

と少し憂鬱になってしまう僕だったのだが、嬉しい事にベルはカサールの門での嫌な記憶から完全に解放された様子で、

「お兄ちゃん、ギャンさんのお店に先に行こうよ」

などと、怯える事なく町に入る手続きを待つ列に並んでいる。

「そうだね…冒険者ギルドのマスターに会いに行く前に服装を何とかしようか」

と話しながらも、楽しげなベルを見て、こちらまで笑顔で順番を待っていると、

「次の方」

と、自分たちの番になったのだが、

「カサールの町へようこそ、1人大銅貨五枚となりますが、お持ちのギルド証などのランクに応じた割引もございますので…」

などと、丁寧な接客をしているのはあの感じの悪かった門兵さんである。

『この二週間余りで何があった?』

と心配になる程の変化なのだが、一応割引など対象外のFランク冒険者であるが、僕が身分証代わりに冒険者ギルド証を提示すると、彼は、

「お前がジョンか!」

などと、前回と同じ威圧的な門兵に戻った途端に、

「何だその態度は!」

と前回とは違う上司っぽい兵士さんに怒られていたのである。

そして、

『ざまぁ』

と思う暇も与えられず僕とベルは、

「どうぞ此方へ…」

と町の入り口横の兵士の詰所に案内されたのであった。

『えっ…逮捕とか取り調べ…ですか?』