軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

第130話 ナニ考えてるの

ダンジョンの奥にて酔っぱらい達が一眠りし、

「イケない、もうブラックブルが復活している時間をとっくに過ぎてる!」

などと慌てながら29階層へと、

「じゃあ、またな!」

などとバタバタと急いで帰って行った後に、僕たちは最下層にてダンジョンボス周回を数回行ってから宿へと戻って来た時には、ブラックブルの肉でドンチャン騒ぎをした翌日になってしまっていた。

すぐに帰って気分転換に町を散策する予定であったが、

『ジェロニモ号ならば安全にボスを倒せる』

と判断した僕は、

「ついでだから何回かボスを倒して帰ろう!」

と提案し、最初はカサールでゴーレムの訓練も済んでいるアル君が、

「では、すでにボスが復活していますので自分が行きます」

と名乗り出てくれ、一度戦った僕のアドバイス通りに入り口でジェロニモ号をマジックバッグから取り出して乗り込む作戦でレッドオーガとのバトルに向かったのである。

そして無事にボスを倒したアル君は少しションボリしながら、

「訓練ではもう少し上手に動かせていたつもりでしたが、レッドオーガの迫力に固まってしまい、乗り込みに手間取りかなり殴られてしまいました…」

などと戦い終わったジェロニモ号の周りをグルグル歩きながらゴーレムボディーの傷を確認していたので、僕は彼に、

「気にしない、気にしない、このくらいリペアの魔法でチャチャッと直せるからね」

と安心させ、

「それより宝箱はある? ジェロニモも同じ一人計算なら初回討伐にカウントされないかも知れないから…」

とゴーレムの損傷より宝箱が気になる事を伝えると、アル君は

「見てきます!」

と慌てて駆け出して行き、部屋の奥から、

「魔石に、これは転移メダルってやつですね。 それと宝箱も有りました!」

とリペアの魔法でジェロニモ号を修復している僕に報告してくれたので、

「よし、それならロイド君も初回討伐ボーナスが狙えるね」

と、今回倒されたレッドオーガがボス部屋にリポップするまでの約六時間でロイド君にボス部屋の中でジェロニモ号の乗り方をレクチャーすると、流石はロイド君であり数時間で完璧に操作をマスターしてしまったのだ。

そして、念のためにルーベルさんとバルディオさんをもしもの時の助っ人に後ろに待機してもらい、既にジェロニモ号に乗り込んだ状態でボス部屋にてリポップ待ちをした結果、ルーベルさんが、

「心配していましたが、あれなら助っ人は不要でしたね」

というぐらいにロイド君はジェロニモを見事に操りレッドオーガを倒したらしく、

「ジョン君、本当に宝箱が出てますよ」

などと、自分が出した初回討伐ボーナス宝箱を見つけて喜んでいるロイド君に僕が、

「良かったね、開けてごらん」

と言うと彼は、

「2つとも良いの?」

と聞いてくる。

「2つ?」

と首を傾げる僕が見た物は、どうやら公爵家に生まれるというレアを引ける彼の運は僕たちより高いらしく、ボスからの低確率な宝箱ドロップと初回討伐ボーナス宝箱というダブル宝箱をゲットし、しかも、宝箱チェックをしたロイド君はメモ帳とにらめっこしながら、

「やった、欲しかったやつだ」

などと出てきたアイテムを掲げて喜んでいたのである。

どうやら、彼が手に入れたのは僕たちから話を聞いていたヨゼフ爺さんが修復したエルフ族の作った革装備である重量軽減と速度上昇の効果で軽やかに動き回れる様になる靴のマジックアイテムであり、ロイド君は、

「見たかったけどヨゼフさんの店から買って来れなかったってアル君が言ってた風の靴と、それと、こっちは上級ポーションのセットかな?」

と、お目当てのアイテムも手に入れたようで、嬉しそうにしているロイド君に僕は、

「とりあえず僕も勇気の首飾りもらったし、ロイド君が宝箱の中身をもらったら良いよ」

と提案すると彼は、

「良いの?」

とルーベルさんとバルディオさんに確認を取ると、二人とも笑顔で頷いたのであるが、ロイド君は風の靴をルーベルさんに、

「私よりルーベルの方が上手に使えるから…」

と渡して、バルディオさんには、

「いつも前衛で守って頂いているので…」

と手に入ったばかりの上級ポーションの入った小箱をプレゼントしており、

『いや、そんな事したら勇気の首飾りを自分で着けている僕が…』

などと抗議したい気持ちになってしまう僕であったが、

『そうだアル君も宝箱ゲットしてたじゃん!』

と思い出し、アル君を見ると彼は凄く気不味そうにベルトに着けた切れ味増加の付与がついた魔合金のナイフを体をよじり隠していた。

そんなアル君と不意に目が合ってしまった僕は彼に、

「あれが本当の貴族なのかもしれないな」

と呟くと、アル君も、

「なんだか喜んでナイフをベルトから下げている自分が恥ずかしいです」

と呟き二人で少し気配を消したのであった。

とまぁ、そんな事があり、

「良いドロップ品が出るみたいだから、ねっ!」

と、リーグさんとダグさんもそれぞれジェロニモ号の練習をした後にぶっつけ本番でレッドオーガを倒して自ら手に入れたアイテムを自分で使うという僕たちの仲間を増やした後に宿に戻ったのであった。

宿に戻ってからロイド君に、

「手に入れたアイテムをルーベルさんとバルディオさんにプレゼントするなんて…」

とチクリと文句を言ってやると、ロイド君は笑いながら、

「そんな事を気にしてたんだ、ジョン君って案外繊細な所があるんだね」

などと失礼な事を言ったかと思うと、彼は、

「マジックアイテムならジョン君が沢山プレゼントしてくれたからこれ以上は必要ないんだ。 それに風の靴は最初からルーベルにプレゼントしたかったし、あそこでバルディオ殿に何も無しなんてあり得ないだろ?」

と男前な事を言ってくるので、僕はあまりの発言の振り幅に思考がついていかずにドキドキして思わずロイド君に惚れそうになる。

『そうか、これが人間力というやつか!? 一旦突き放してから、君からのプレゼントで満足しているアピールでキュンとさせ、周りの皆にも気を使えるという事を気付かせてドキドキと…流石は公爵家だ、格が違うぜぇ!』

と最近勉強ばかりで失った青春をやっと取り戻しつつ有るのかキラキラとした笑顔で話すロイド君に眩しさすら感じる僕であった。

それから軽く休みを挟み、転移メダルでダンジョンの最下層に飛びレッドオーガをジェロニモ号でシバきつつ夕方には帰ってくる生活を数日過ごし、確実にロイド君のレベルアップの影響が出たのか、

『くっ、また眩しさが増したのでは!?』

と感じられ、文武両道な男子に成長されたロイド君に気を抜いた惚れそうになる今日この頃、冒険者宿の僕たちの部屋にあの日の冒険者グループのリーダーが現れ、

「ジョン、明日の夜は空けとけよな、俺が凄い所に連れていってやるから!」

などと言ってくるのである。

僕がポカンとしているとリーダーさんは、

「おいおい、ボス部屋前で約束しただろ!?」

と言っており、彼は、

「ブラックブルの希少部位の肉をご領主様に納品して皆で報酬を分けたら安心して俺に任せろ」

などと胸をポンと叩くのであるが、僕としては、

『う~ん、何かそんな事を言ってたな?』

ぐらいの記憶しかなく、リーダーさんが、

「俺としては未来ある三人の青年に本物の冒険者の楽しみをだな…」

などと何やらニヤニヤして話すのを遮るようにロイド君は、

「明日ですか? スミマセンが明日は少し用事が有りまして、ルーベルと呼び出されていますので…」

と残念そうに語ると、リーダーさんは、

「なんだ用事か? ならジョンとアルだけで行くか」

と言い出し、アル君が我慢出来ずに、

「いったい何処に連れていってくれる予定なんです?」

と聞くとリーダーさんは更にニヤニヤしながら、

「そんなもん金が入った冒険者なんて旨い酒を飲むに決まりだよ」

などと言い出し、僕たちがあの時酒を飲んで居なかったのを、

『本当に旨い酒を飲んだことが無いからだ!』

と勝手に決めつけて、

「ドワーフの火酒が飲めるドワーフが経営している大人の酒場にご招待だ!」

と騒いでいるのであるが、僕が、

「いや、酒場なんて大人しか行かないでしょ?」

と呆れているとリーダーさんは、

「バカっ、大人の酒場ってのはな…」

と、その酒場についての説明をしてくれたのであるが、その説明が終わる前に僕に、

「ウチのピュアボーイ達に何て情報を! しかもドワーフのって、ふざけないで下さい!!」

と部屋から追い出される事になったのであった。

他人の性癖をどうこう言うつもりは無いが、

『ドワーフ娘がアダルティな相手してくれる大人の酒場に誘うって、色んな意味でなに考えてんだよ!』

と、誰を基準にしているかはあえて言わないが、そんなトラウマにも成りかねない計画を僕は未然に防ぐ事に成功したのだった。