軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

第124話 お駄賃の価値

アル君の推理ではどうやら壊れた武器やアイテムを買い取って加工する工房か店舗があるらしいのであるが、それが何処にあるかまでは分からない、

「さて、どうしたものか?」

と首を傾げる僕にアル君は、

「へへへっ、ここは自分にお任せを」

というと僕たちと同じ様にゴミ置き場で何かを探している男の子数名の所に行き、何やらゴニョゴニョと話したかと思うと男の子達に何かを渡してから帰ってきたアル君は、

「旦那様、解りました」

と言って、黒みがかった魔鉱鉄以外の鉄装備はある程度まとめて職人通りの鍛冶屋に売って、装飾品っぽいものは魔合金や貴金属の可能性があるので町の西の端のドワーフ族の鍛冶屋に見せると結構な値段で買ってくれるという話を聞いてきたのである。

「へぇ、あの子達は屑鉄拾いでお小遣いを稼いでいたのか!」

と納得した僕であったが、彼らは屑鉄の買い取り先しか知らず、魔道具やマジックアイテムが何処に消えたか知らない様子であった。

しかし、アル君は自信アリ気に、

「まぁ、少し待っていて下さい」

というと、先ほどアル君に屑鉄の話をしてくれた男の子達がゴミ置場から消えて暫くすると再び走って帰って来ると、

「兄さん!」

「オレが聞いて来たんだぞ!」

「僕が先!」

などと我先にアル君に群がり、

「壊れた魔道具は町の南に住んでる夫婦が拾って帰ってるんだって、友達の妹達が拾うの手伝ってお駄賃もらうって!」

と報告しており、その中で、

「冒険者の捨てたカバンには当たりとハズレがあって、当たりは町の南に工房を持ってるその夫婦が拾って帰るけどハズレはガラクタ屋のヨゼフ爺さんが持って帰るんだって」

という情報が手に入ったのであった。

アル君は情報を集めてくれた全員に先ほど渡したらしいお小遣いとは別に下町の方々に聞き込みに走ってくれた分として一人に小銀貨を数枚ずつという大盤振る舞いのお駄賃をはずみながら、

「それで、そのヨゼフ爺さんって人は何処に住んでるの?」

と聞くと、男の子達は、

「ヤッター」

とか、

「ありがとう、母ちゃんや妹に旨い物が買ってあげれるぜ!」

などと喜んでいる子供の一人が、

「しらないよぉ~、あの爺さんオレたちに怒鳴って怖いんだから…」

と嫌な顔をし、隣の男の子は、

「下町のおばちゃん達も、ガラクタ屋っていうお爺さんには話しかけちゃダメって言ってたからボクはその人を知らないけど、どんな人でもゴミ置き場にお爺さんがいたら近づかない事にしてるんだ」

と教えてくれた。

すると何故かバルディオさんが、嬉しそうにその男の子に、

「となると、私はお爺さんではないと判断してくれたのかい?」

と、ゴミ置場に自分のが居たのに屑鉄拾いをしていた事から、どうやらバルディオさんは、この子達から見たらお爺さんと呼ばれても良い歳だが、お爺さん判定を受けていない事に気がついたらしく、ニコニコしながら話しかけると、彼らは、

「オジサンはまだまだ、お爺さんじゃないよ~、だって昼間から酔っ払ってないから良い方の冒険者のオジサンだよ」

と言って、仲間どうしで「ウン、ウン」と頷いているのを見たバルディオさんはかなり嬉しかったらしく、少年達に、

「これで何か皆で食べなさい」

などとコッソリお小遣いをあげていたのであった。

そしてお駄賃でホクホク顔の少年達が、

「お兄ちゃんも、おじちゃんも、ありがとねぇ~」

とアル君とバルディオさんに礼を言って去った後に、僕はアル君に、

「お駄賃はずみ過ぎじゃない?」

というと彼は、

「この先1ヶ月はこの町に居ますし、彼らが自分の顔を覚えている限り情報をくれる良い関係を続けてくれるはずですので、その為の投資です」

と、テイカーさんの教えからなのか上手にこの町での情報を集める為の協力者を作る事に成功した様子で、次に僕は隣で少年達に手を振るバルディオさんを見ながら、

『あの少年達はバルディオさんという褒めたらお菓子ぐらいなら買ってくれそうなオジサンを手に入れたのかも知れないな…』

などと、考えていたのであった。

さて、とりあえず【ガラクタ屋のヨゼフ爺さん】というキーワードが手に入ったので、僕は、

「では、ガラクタ屋って言われてるぐらいだから商業ギルドでヨゼフ爺さんとやらの店でも聞きに行きますか?!」

と、町の中央辺りのギルド通りを目指して歩き出したのだが、道中でアル君に、

「流石は旦那様、普通ならあの子供達に店まで探させて案内させる所を以前の自分なら絶対そうさせてましたが、テイカー師匠の教えで協力者の嫌がる仕事は出来るだけ避ける様にと言われてまして…」

と、怒鳴る厄介な爺さんだと言われているヨゼフさんは子供達にとって嫌な存在であるので、無理に探らせると高いお駄賃の意味が無くなる所をそれをさせなかったと感じたらしく、

「旦那様はあの必要以上の報酬の意味をご存知だったのですね」

と驚くアル君であったが、僕としては、そこまで考えて筈もなく、

『怖い爺さんを子供達に探させなくても名前が解れば何とかなる』

という簡単な理由から少年達を見送った事を勝手に「流石!」と見直してくれた様子であり、

「まぁ、良い思いを最初にしたら今後も助けてくれるけど、一回目が割りに合わなかったりしたら次は無いかもしれないもんな…」

と納得している僕に、アル君は、

「やはり前から感じておりましたが、テイカー師匠の言われた通り旦那様は…」

と言いかけた瞬間に、彼はハッと口を押さえ、

「これは師匠と一生の秘密にする約束でした!」

と焦っているのである。

『何よ、秘密って?』

と一瞬だけ考えた僕だったが、

『テイカーさんが知っているってことは…』

と理解して、少し呆れながら彼に、

「アル君、言いふらさなければ別に僕に前世の記憶が有るのは重大な秘密って訳でもないよ?」

とコソッと教えてあげ、王都にてテイカーさんと共にその秘密を聴いていたバルディオさんは、

「まぁ、テイカー殿が彼を【秘密を共有できる漢】と見込んで話したのですから」

と、師匠との約束を守ろうと必死になって口を押さえたアル君に、

「大丈夫だ。 あれは主殿が察しが良過ぎるからバレただけだから気にするな…」

などと慰めていたのだが、しかし、アル君的にはやはり、

【情報は武器であり、知識は財産】

というテイカー師匠からの教えを守って、

「やはり旦那様のこの秘密は拷問されても話さないつもりです」

などと言い出すので、僕は、

「ダメ、ダメ、その師匠からの教えに【人は宝】って言葉も追加しといてよ。 僕からしたらアル君も宝物なんだから、拷問される前に僕の秘密なんて差し出して良いんだからね」

とお願いしたのだった。

そんな事を話しながら人通りの少ない下町奥のゴミ置き場から大通りへと戻り商業ギルドでガラクタ屋のヨゼフという人物の店を聞いてみると、

「はい、それでしたら」

と答えるカウンターの職員の後ろに座るギルドの古株の女性職員さんが露骨に、

『あぁ、あの変わり者の爺さんの店か…』

みたいな顔をしながら、

「あそこは地図を描いて渡しても大概迷う場所だからアタシが案内するよ」

と気だるそうに提案すると、彼女は、

「ついでに帰りに商会を2つほど回ってくるから帰りは少し遅くなるから」

とカウンターの職員さんに指示を出すと、僕たちをもう一度見て、

「あんたらもマジックアイテムの腕輪やらジャラジャラ着けているみたいだけど、使えなくても集めたいもんかね? ホントに収集家なんて無駄な道楽だとワタシは思うがねぇ~」

と呆れているので、どうやらヨゼフ爺さんの店は僕たちの目当ての店で間違いないようである。