軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

第121話 友達になろう

この夏、カサールに出来たばかりの学校にはカサール領内や近隣の町からも10歳から15歳までの主に平民の子供達が全員一年生として入学し学園生活を開始した。

まぁ、進級テストなども近々あるらしいので少しすれば優秀な生徒が王都の貴族も通う学校に編入したりするかも知れないが、カサールの本町には今までに見たことが無い量の子供達が親元から離れて学校の寮で生活したり、毎日ではないが週に一度など家の仕事の手伝いの合間に乗り合い馬車に揺られて学校に通い通信制で勉強している子も居る為に日により子供がカサールの町に溢れる様な日がある。

勿論我が家のベルを含めた子供チームも入学したのだが、そうなると子供チームから唯一こちらの世界の成人である15歳となり学校に通えなかったアル君だけが仲間外れとなり、

『なんか、みんなと話が合わなくなったら可哀想だなぁ』

などと、学校を中退した僕よりも、更に学校という場所を知らないアル君だけが気の毒になった僕は、

『よし、暫くはアル君を連れ回して思い出を作ってあげよう!』

という事でアル君の上司であり、商人の師匠でもあるテイカーさんと相談した結果、

「一度旅商人として近隣の町だけではなく色々な地域を見て欲しいですね」

という事で、

『よ~し、王家からのお目付け役が来るまでカサールの町に軟禁されて作業小屋での修復作業やら研究も一段落したし、そろそろおでかけするか』

と、僕はアル君を連れて旅をする事に決めたのである。

これには王都の帰りに購入した壊れたマジックアイテムの修復の時に魔合金系の物は魔力供給魔道具を使えば問題なく修復出来たのであるが、以前はどうしてもミスリル製の効果の強いマジックアイテムの修復だけは壊れ方が軽微でサイズが小さい物を選んで、魔力切れでぶっ倒れる事を覚悟しても直せなかったのが、なんとスタンピード相手にジェロニモ号と暴れた後では直せなかったマジックアイテムを2つばかり魔力切れを起こしながらも直せた為に、

『強くなれば倉庫の肥やしになっているエルフ族の作ったルーン文字が刻まれたミスリル製のマジックアイテムを全て直せるかも!?』

と考え、

『そうなると、もっと強くなりたいし、壊れたマジックアイテムを仕入れたい』

という野望が芽生えたからである。

壊れていても高価だったマジックアイテムには骨董品として収集しているマニアが希に居るらしく、扱っている店さえ発見すれば、修復能力だけはずば抜けている僕ならば格安で使えるマジックアイテムを手に入れる事が出来るのである。

しかし、問題はそんな店も希であり、

『グロースのお婆ちゃんのお店は買い占めた後に骨董品コーナーは廃止したらしいし、他の上級ダンジョンの有る町に行ってみるか?』

などと考えたのであるが、そうなると新たな問題が一つ、

『えっ、お目付け役が来たからカサールの町から出ても良いらしいが、そのお目付け役のロイド様はどうなるんだ?』

との疑問から直接ロイド様に、

「あのぅ、旅とかに出た場合、ロイド様達は如何なさいます?」

と聞くと彼らは、

「はい、お供しますよ」

「報告義務が有りますので」

などと、当たり前みたいに旅についてくるらしい。

『あぁ、来るんだ。 護衛のルーベルさんは良いけどロイド様って文官なんでしたよね。 大丈夫かなぁ、公爵家のお坊ちゃまだから怪我とかさせたら死刑とかにならない?』

と僕は不安になりロイド様に、

「あのぉ~、そのぉ~、行き先が結構危険でして、もしかしたら僕のレベル上げも兼ねてダンジョンとかにも潜るかも知れませんしぃ~」

と話すと、ルーベルさんが僕に、

「実は、ジョン殿にその件で…」

と、何か言いかけるのをロイド様は、

「大丈夫、自分で話すから」

と、彼が僕の所に派遣された理由を詳しく話してくれたのであった。

実はロイド様はごく稀に存在する【無ギフト】という存在で、ギフトが与えられていない替わりに神様から何かしらの身体的機能を底上げされて生まれるという存在であり、ギフト無しの者はこのニルバ王国では少し残念な人という扱いなのだそうだ。

実際に魔力が足りずに殆ど使えない魔法ギフト保持者よりも、例え筋力や知力などの基本ステータスに補正がされていて、強かったり、優秀な人間でも大概の者が与えられているギフトが『無い』というのは、特に貴族社会では『神に見放された…』みたいな不名誉とされているらしい。

なので、弟のカイン様も魔法系のレアギフトを魔力不足で全く扱えずにギフトなしみたいな感じだったのが、魔力供給魔道具により立派にギフトを使いこなせる様になり、益々兄弟の中でロイド様だけギフトの件で悪目立ちする事を叔父さんである国王陛下が心配して、

「ジョンという面白い人物の側に居ればパーティー等に出る際も違った話題でギフトの話が薄れるだろう」

と公爵家という立場からプライドで飯を食っている様な貴族と対峙した時に無ギフトを馬鹿にされない様に話題をそらすネタにでもなればという伯父ちゃんからの優しさであり、ロイド様は、

「今まで侮られない様に必死で勉強をして来ましたが、陛下からも勉強以外の世界を見て来る様に言われておりますので是非!」

とヤル気満々で、

「冒険者の様な生活でもお供します」

などと言って下さったのである。

だけど問題は、ロイド様はどうやら初級ダンジョンにすらまともに入った事がないそうで、普通は学生の時に強くなる為に仲間と潜ったりするチャンスも昇級試験や卒業試験などをメインに受けて、最短で学校の文官コースを卒業した為に友達を作る暇もなく、休日に冒険者のまねごとすらしないままに、城に就職という流れらしい、

【最年少で文官に採用】

という肩書きで、最年少という箔により先輩方にはギフト無しな件も職場であまり噂にならなかったが、同年代が学校を出て職場に増えてくると色々とある様で、彼が頑張った結果だというのに、

「家柄で贔屓をされた」

とか、

「ギフト無しの癖に家柄だけで」

などと陰口を叩かれる様になり、普通なら文官の先輩として、

『悔しかったら君たちも飛び級で卒業して文官採用試験にパスすれば良かったのに…あっ、ギフトとやらを使っても無理だったのかな? ププッ』

などと、煽りに煽りまくっても良い話であるが、残念な事にロイド様はお友達と遊ぶ時間を犠牲にして勉強をしており、喧嘩もまともにした事がなく、言い返すというスキルがないまま現在も箱入りピュアピュア青年として頑張っていたからか、何も言い返せず、彼のハートは軋み、深く傷つく結果となり、

『陰口や嫌味を言った者を注意は出来るが、それでは解決にならない』

という国王陛下の判断により僕の所に派遣して、同年代の変な人間と仲良くなり人生経験を積んでメンタルなど強くなって欲しいらしく、ロイド様は涙ながらに、

「私と友達になってくれますか、ジョン殿?」

と言って下さったので、僕としては断る理由もなく、

「ではロイド様、ぜひ友達にしていただきたいのですが、その『殿』って止めません? せめてジョン君、なんなら気さくにジョンと呼び捨てでも構いませんので」

とお願いすると彼は、少し照れくさそうに、

「では私も、『様』を止めてくれますか?」

と提案され、この瞬間から僕が勝手に忠誠を誓ったカイン様の兄上だというのに、

「ジョン君」

「ロイド君」

と呼び合う友となったのであった。

そして、僕は、

『学校の友達も作った事がないならアル君も少し年下ではあるが、ある意味学校で友達と過ごした経験の無い仲間だし』

との理由から、今回の旅は学校を中退した僕と、学校生活を全く楽しめなかったロイド君に、学校に行けなかったアル君の友情を育みながら、青春を取り戻す為の旅にすると決めたのであるが、

『でも、ダンジョンに潜るにしてもアル君は一応Cに近いDランク冒険者だけど、ロイド君って魔物を倒した事も無いんだよね。 護衛役はルーベルさんが居るとしても、やっぱり自分で倒せる様にならないと!』

という事で、彼をウチ倉庫にある装飾品のマジックアイテムで身体強化モリモリにする為に僕は作業小屋へと向かったのであった。