軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

第12話 罪の告白

【どきっ!魔物を知ろうお絵かきクイズ大会】

は、ジル君が兄としての知識量の差を見せてポイント差を守る形で終了となった。

敗因としては、ジル君はクイズの正解をレッドベアーと解ったのだが、チル君はレッドベアーと並び猟師さんの憧れの獲物であるスタンプボアという突進をもろに食らうと手紙の後ろに押される封蝋印の様に真っ赤な血飛沫を撒き散らしながら岩壁や大木に張り付く事になる大型の猪魔物を描いた為に不正解となったのである。

お昼ご飯を食べながらも、

「絶対スタンプボアだもん…」

とご機嫌斜めなチル君に、ジル君はお兄ちゃん風を吹かせながら、

「惜しかったなぁチル…ジョンお兄さんは鋭い爪って言っただろ…スタンプボアには鋭い爪はないよ」

とドヤ顔である。

それがまたチル君をイライラさせた様で、折角今朝ズボンを直して笑顔にしたというのにまた泣きそうに俯いてしまっているのだ。

僕は数日ぶりの暖かいスープの味を楽しむ暇もなく、

『どうしよう…』

と内心焦り散らかしている僕を心配してか、チル君ママが、

「どうしたの?ママに教えて」

とチル君に優しく聞くと、チル君はクイズ大会に負けた悔しさを母に訴えて、良いガス抜きが出来たのか数分後には、

「でも凄いじゃない…絵は上手に描けたんでしょ」

とママに優しく褒められチル君は、

「えへへへっ」

と、ご機嫌が治った様子であった。

ママさんの魔法のような手際に、

『流石はママさん…チル君のご機嫌を治す修復魔法はギフト無しでも使えるらしい…』

と、ウチの母からは全く感じられなかったママとしての能力をチル君達のママさんから感じていると、今度はジル君が、

「どうせ父ちゃんの絵の上手さはオイラは受け継いでないもん…」

と、いじけモードとなる。

『あちらを立てればこちらが立たず…これは…』

と、子育ての大変さを感じた僕は、食後すぐにお暇するつもりだったが、早朝より体と頭を動かして、食後におネムなチル君のお昼寝タイムにジル君のご機嫌とりを兼ねて話し相手を暫く買って出る事にしたのである。

すると、ジル君の話では絵が上手な彼らのパパさんは、僕が収容されていたあの町で自分で狩った獲物の肉などを加工販売していたそうで、料理上手なママさんはパパさんが肉を卸していた料理屋の娘さんだったらしく、あの町で出会い、結婚して幸せに暮らしていたところ戦争が始まり、町はリント王国に占領され町を捨てて避難し、先ほどのクイズ大会でも名前が出てきた【マークおじさん】というこの場所で長年作物を作っていたおじさんが、各地の町で受け入れきれなかった難民でも、

「人が沢山来たら畑を荒らす魔物が前より減るだけだから気にするな」

などと難民達を受け入れて、この辺りの開拓に飼っていた馬魔物などを貸し出して出来たのがこの村だという話をしてくれた。

そして新たに住む場所を確保出来たジル君達のパパは、

「町を取り戻してくる」

と、ニルバ王国軍の市民兵として参戦し弓兵として勇ましく散ったとジル君から聞いた瞬間に、

『ウチのクソ親父が…スミマセンでしたぁぁぁ!』

と、地面にめり込む程に頭を下げて許しを乞いたい気持ちであったが、そんな事をしても彼を怖がらせるだけだろうから、

『これも己の親父がやらかした罪の一部…』

と腹をくくり、亡くなった原因の一端が僕に繋がっている為に、ボディーブローのようにジワジワとハートにダメージが蓄積されるとしても、今は亡きパパに対するジル君の思いを受け止める事にしたのであった。

どうやらジル君のパパは筆まめな人だったらしく息子達が猟師を目指した場合にと、罠のコツや獲物の見つけ方のコツ、それに解体の手順や、弓のコツなどと、専門書の様に解りやすい挿し絵つきで書き残してあり、その手引きを見せてもらった僕は、

『確かにチル君の絵のセンスはパパ譲りかも…』

と感じたのだが、ジル君はジル君で、

「オイラはまだ字を読んだり書いたりは出来ないけど、父ちゃんが直接教えてくれた罠は勿論だけど、まだ教えてもらってない罠もこれに描いてある絵から狙った獲物を罠にかける方法をかなり覚えたんだ」

と、昔僕の太ももに手痛い一撃を入れたホーンラビットに効果がある小型のくくり罠を、

「ロープをね、こうやって結んで…ホーンラビットの巣穴の出入口にね…」

と、彼はパパさんから猟師としてのセンスを受け継いでいるらしく、話しながら手際よくロープを結んでいたかと思うとジル君は、

「そうだ、ジョンお兄さん、一緒にホーンラビットの罠を仕掛けに行かない? 今晩はウチに泊まって、明日一緒に罠を見に行こうよ!」

と提案してくれるが、クソ親父が引き金となった戦争でパパを亡くした家族を目の当たりにし流石にハートが痛い僕は、

「いえ…カサールの町に向かわないと…」

と、断るのだが、

「え~、一晩ぐらい良いじゃん…」

とジル君は食い下がり、チル君を寝かせたらしいママさんまで、

「あら、ジョン君、チルは寝ちゃったから夕方近くまで起きないわよ…あんなに楽しく遊んでくれたジョンお兄さんが自分が寝てる間に挨拶もしないで出て行ったら…拗ねてしまうかもね…」

などと僕を追い込むので、そう言われてまで頑なに出ていくのはかえって失礼な為に、

「スミマセン…一晩ご厄介になれますでしょうか…」

と僕が頭を下げると、ママさんは、

「パパのベッドも有るから気にしないで泊まっていきなさいな…」

と言ってくれ、ジル君は、

「やったぁ、ならジョンお兄さん罠を仕掛けに行こうよ」

と、いう事で僕は午後から村の近くでジル君とホーンラビットを狙った罠を仕掛けに向かったのである。

しかし、この罠は僕にとっては凄く勉強になり、ホーンラビットの罠だけではあるがロープの使い方や巣穴の探し方など、パパさん本人から習ったジル君から教わる形で知る事が出来たのだ。

そして僕は晩御飯までご馳走になり、夜は屋根の下というだけでも有難いのにベッドまで貸して頂ける事になったのである。

夕食のお礼代わりに食後にチル君とジル君と遊んだのであるが、チル君とジル君は僕というお客さんにはしゃぎ過ぎたのか、早めに寝てしまい、その夜、僕はママさんと少しお話をする事になったのである。

やはりというかなんというか…子供が一人で旅をしているなんて気にしない方が無理な話であり、

「ジョン君はなんで旅をしてるの?」

という直球な質問をされてしまい、

『まぁ、気になりますわな…』

と、僕は観念して、

「実は…リント王国を追放になりまして…」

と、経緯を伏せたまま事実を伝えるとママさんは、

「えっ、ジョン君ってその若さで極悪人なの?」

と、驚くので、

「いやいや、僕というより親が残念貴族でして…僕もついでにリント王国から捨てられたと言いましょうか…」

と言葉を選びつつ伝えたのであるが、ママさんは、

「へぇ…じゃあジョン君ってリント王国文字が読めるの?」

と、僕がリント王国の貴族だった事や追放された件は気にしていない様子であり、僕が、

「読めますが…ほら、僕ってパパさんの仇の国の貴族の息子だったんですよ」

と心配になり自分から聞くとママさんは、

「戦争してパパが死んじゃったのは悲しいけど、別にジョン君が軍を動かしてた訳じゃないんでしょ?」

と、『それの何を気にしているの?』と言った雰囲気であり、ママさんは、

「それに、たとえジョン君のパパがウチパパと直接に戦ったとしてても、それはそれ…国が戦争なんて喧嘩をしたのが原因なだけで、罪は無いと思うの…」

と、言ってくれたのである。

そしてママさんは、

「お貴族様は大変ね…パパさんの罪で息子まで罰を受けるなんて…平民で良かったわ」

などと、笑ってくれ『貴方は無実なんでしょ?』と云わんばかりに僕の頭を撫でてくれたのである。

あまりの優しさに僕はウチのクソ親父の件を黙っている事が出来ずに洗いざらいママさんに自分の事をさらけ出して涙を流しながらこの村に住む方々に申し訳ない事を自分の親父がしでかしていた事実を謝罪したのであるが、ママさんはそんな僕に、

「それはジョン君が謝らなくても、罪を償わなくても良い事じゃない! そんなの間違ってるわ…」

と、僕の為に涙を流してくれたのであった。