軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

第109話 それぞれの旅立ち

我が家の皆との奴隷契約を解消して、正式にウチのジョン商会の職員として登録し、10歳以上の成人していない子供達は商会の見習いとして登録し、ちびっ子の三名は正式に僕が引き取る事になった。

『書類上は未婚のパパだな』

と、少し微妙な気持ちになったが、

『まぁ、既にパパみたいなもんだし、特に変わらないか!』

と割りきり僕は納得したのである。

まぁ、そのちびっ子三人に対してカサール様が、

「クリスト達に引き取らせても…」

などと少しゴネたが、結局、

「お兄ちゃんやお姉ちゃんと別々はイヤ!」

という、ウチのちびっ子三人の強い意思には勝てずに、

「では、ジョン君が我が家の養子になる気はないか?」

と、間接的に三人を孫ポジションに納めようと足掻いていた。

ウンザリした僕が、

「そんな事ばかり言ってると、引っ越しを考えないとイケなくなるかも知れません」

と笑顔で伝えると、カサール子爵様はそれ以上は何も言わずに、シレッと三人に今まで通りの『じぃじ』としてのアピールをして帰って行かれたのであった。

さて、そうなれば従業員達にお給料を出せる様にしなければならないので、そこから居間にてテイカーさんと僕とで我が家の今後について話し合った。

テイカーさんは僕がカサール子爵様から税金免除という約束を取り付けた話を聞くと、それはそれは悪い笑顔になり、

「やりましたね旦那様、では後は私にお任せを」

と、カサール子爵様に事業計画書を見せて税の件などをちゃんと一筆書いてもらう為に動いてくれるらしく、

『暫くは大きな動きをすると、カサール子爵様の気が変わったりクリスト様からストップが入るかもしれません』

というテイカーさんの商人の勘を信じて、露店のような仮設テントにての修復品の販売と、新町の奥様や子供達を売り子として雇う料理屋台の二本立てで様子を見る予定である。

そうなると我が家としては、子供達は来年の入学に向けてのお勉強が一番の仕事となり、この秋の収穫もばっちりだった為に冬支度も時間停止のマジックバックのおかげで全く問題がなくなり、

『となると、僕のやることが全くないのでは?!』

となってしまったのである。

いや、厳密には作業小屋の倉庫の片付けや、まだまだ残るギャンさんの店から買い付けた品物の修復作業があるのだが、

『もう、修復は暫くやりたくない!』

と思える程にここ数日ずっと多種多様な物を修復しまくった為に、僕としては気分転換がしたく、先ほど、

『自分の人生を楽しむ』

と決めたばかりなので、テイカーさんに、

「じゃあ、暫く我が家の諸々をお願い出来る?」

と聞くと彼は、

「はい、お任せください」

と、二つ返事で了承してくれた。

しかし、一瞬の間がありテイカーさんから、

「ん? して、旦那様は」

と、質問されたので、僕は、

「えっ、ノリスさんとマイラさんの長旅について行こうかと思って、バルディオさんとリーグさんも一緒に…」

というと、ベル達から、

「お兄ちゃんだけズルい!」

とブーイングが起こったが、

「ダ~メっ、入学してすぐに進学テスト受けないとみんな年下の子供達と同じクラスになってしまうんだよ、だからお勉強が大事でしょ?」

と、僕は子供達を納得させたのだが、我が家で約一名、

「絶対ついて行きます!」

と騒いでいる人間がいる。

それは料理人兼、水魔法の使い手となったダグさんである。

『なんか、僕から絶対に離れないとか言ってたもんな』

と思い出しながらも、

「ほら、我が家のご飯もあるし」

などと断ろうとした僕に、ダグさんと最近一緒に料理の研究をしているミントさんまで、

「以前は私がマチさんやリザさん達に手伝ってもらい作っていたのでご心配なく、最近は子供達もいっぱい手伝ってくれますし」

と言い出し、結局は僕が折れる形でダグさんも連れて行く事になり、それから大急ぎで旅の準備を整え、翌日にはノリスさんとマイラさんの暮らしていたビスティア地方の小さな国であるコーチャーに向かって幌馬車を走らせたのであった。

ノリスさん夫婦は、

「旦那様がわざわざ来て下さるなんて」

と恐縮しているので、僕は、

「馬車というか馬魔物の扱いに長けたリーグさんが馬車を操作してくれるし、前方の警戒は従魔のガーがしてくれて、いざとなればバルディオさんが居るし、旅先のご飯もダグさんが居るから僕としては気楽な旅行先がたまたまノリスさん達の居た国だったってだけだと思ってよ。 ほら、僕もお孫さん見たいしね」

などと言いながら荷馬車にてゴロンと横になっているのである。

旅の準備として倉庫の中にあるミスリル製のマジックアイテムはまだ無理だったが、エルバート師匠に鑑定して貰ったメモを頼りに使えそうな革製や魔合金製のマジックアイテムを幾つか掘り返して、夜通し修復して旅の間の安全の為に皆に身につけてもらったから兎に角寝不足なのだ。

『まぁ、一番必要なのは微妙に弱い僕かも知れないだけどね』

と自覚しているそんな僕も、今は魔合金の鎧でカチカチであり、速度上昇やら腕力上昇やらとジャラジャラとアクセサリーを盛っているのでソコソコ戦えるとは思う。

しかし、ビスティア地方には僕の知らない魔物がウヨウヨしているだろうから安全の為に秘密兵器もマジックバックに詰め込んで来ているので、

『たぶん大丈夫だろう』

と、気楽に幌馬車に揺られながら僕たちは一路国境の大都市カルセルへと向かったのだった。

そして順調な馬車の旅は続き、朝晩の風が少し寒く感じてきた頃に、第一目的地であるカルセルに到着した。

まぁ、カルセルに寄らなくてもビスティア地方へと入れるのであるが、この町で軽くやっておく事があり、二重の壁で守られたカルセルの外町にて馬車を下りた僕は、

「リーグさんはガーと馬車の番をお願いします」

と、リーグさんに馬車溜まりとなっている広場での待機をお願いし、

「ノリスさんとマイラさんはダグさんにビスティア地方とかから来たスパイスや食材を外町の市場で紹介してあげてくれる?」

と、前回はカレーに使えそうなスパイスだけを必死に買い回った為に、詳しく食材をチェック出来なかったし、シーズン的にも知らない秋の味覚があるだろうからビスティア地方のコーチャーという国出身のノリスさん夫婦の案内で我が家の料理人担当として来てくれたダグさんに食材調査をお願いした。

そして僕は、

「じゃあ、僕は中町の冒険者ギルドでチャチャっと用事を済ましてきますので」

と、バルディオさんと二人で二枚目の壁の中のカルセルの中心街に向かったのであった。

少し懐かしくもある賑やかな町を歩き冒険者ギルドに到着した僕であったが、ギルドマスターである糸目のウサギ獣人のピンチョスさんとの面会をカウンターにてお願いしている間に声をかけられたのは、僕ではなく、

「えっ、バルディオさんか!?」

と僕の護衛としてついてきてくれたバルディオさんに、数名の冒険者が群がり、

「ご主人様の所に行ったはずだろ?」

とか、

「えっ、そんな事より足、足!?」

と、義足でなくなっているバルディオさんの片足を見て驚くのはあの時の胸糞悪い奴隷商人に商品兼、雑用としてこき使われていた依頼失敗の賠償金などから奴隷となった冒険者達であり、立派な体格のバルディオさんに隠れていたのか、ようやく僕という存在に気がついた彼らは、

「あっ、気付きませんで、ご主人様が、その…あのぅ…」

などと、些か身長が控えめな僕を傷つけない様に言葉を選びに選んだ結果、全員、

「ご主人様のお陰で楽しく冒険者をさせていただいております!」

とだけ感謝を述べてくれたのであった。

そう、彼らは僕の奴隷という立場でピンチョスさんに無理の無い範囲で自分達を買い戻せる様に依頼などの管理をお願いしていた、ある意味我が家の一員である。

僕はそんな彼らに、

「丁度良かった、ウチの冒険者メンバー全員に声をかけて集めて来てくれる?」

と言うと、心配そうに、

「オイラ達、なんかマズったでしょうか? あっ、返済が遅すぎたとかですか!?」

と聞いてくる彼らに僕は笑いながら、

「ピンチョスさんと話してから詳しい事は発表だけど、悪い話では無いと思うから期待して」

と少し焦らして彼らの反応を楽しんでいたのであった。