軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

ゲーマー魂 65

なんだかんだで、三ヶ月でしっかり形になった。勿論、ゲーマー的な目で見るとまだまだである。しかし、村に来た当初を考えると見違えるように強化されたと言っても良いだろう。

最終チェックということで、戦士と弓使い、盗賊で十人ずつのパーティーを作り、中型魔獣の討伐をさせてみたが、アーベル達がいなくとも十分過ぎるほどの戦闘力を発揮していた。

本来、初心者を教育した場合、プレイヤーとしての慣れが足りない分、レベル上げができてもボスクラスの魔獣を相手にすれば負けることが多い。だが、グランドール村ではそれが逆である。

低レベルでも強大な魔獣を相手に戦闘を続けるしかなかった獣人達は、スキルが無くても戦えるほど熟練度が高い。それに、皆で協力して戦うことに慣れているのも大きいだろう。

戦士は受け流しと剣の心得を覚えたお陰でパーティーの盾として安定した。弓使いは気配察知と鷹の目でパーティーの防御力を高め、尚且つ狙い撃ちと貫通矢で攻撃の要にもなっている。盗賊は気配断ちと投石で奇襲とかく乱をすることができ、先に魔獣に気が付いた場合は圧倒的に有利な戦闘をすることができた。

様々な組み合わせを確認していき、最も安定した三パーティーを組んだ。そして、次に人数で戦力を補填した二パーティーだ。こちらは二十人という大規模パーティーである。本来ならレベル上げが非効率になる為、最大五人程度でパーティーを組むが、この魔の森では現れる魔獣がボスクラスばかりである。仕方あるまい。

「よし! 良い感じだね!」

皆の様子を見てそう告げると、ミケルとロルフが笑みを浮かべた。

「おお、合格か?」

「これだけ強いんだ。もう俺たちの村が世界最強だな」

楽観的なことを言う二人。それに片手を左右に振って答える。

「いやいやいや、まだまだだよ。個人の戦闘力でいうと今の四倍。総合戦闘力で考えると十倍以上は強くなってもらわないと困るよ」

「……え?」

「な、何倍だって?」

二人がギョッとした顔になり、聞き返してきた。

「まず、弓使いの二人はハンターとレンジャーとして最大レベルを目指す。ボス戦、ギルド戦、攻城戦でも強い罠。複数人を相手にできる弓矢のスキル。それと、やっぱり魔力を乗せた精霊矢とかかな。レベルカンストで理想のスキル構成、最強装備を整えれば、多分二人でドラゴンに勝てるようになるし……」

楽しい。ゲームであればこれにステータスの割り振りが追加されるのだが、今は弓使いの上級職であるハンター、レンジャーの理想のスキル構成、エンチャントを含む装備の組み合わせを考えるのはとても楽しい。

楽しさに任せて色々と語り過ぎてしまったせいだろうか。ミケルとロルフが目を瞬かせて固まっていた。

「……何を言っているのか全然分からなかったぞ」

「ど、ドラゴンを倒せるとか……?」

二人が顔を見合わせて驚いている。流石に最終形態を語っても遠過ぎて分からないだろう。まずは、弓使いの最終段階を伝えるべきだったか。

そんなことを思っていると、いつの間に現れたのか。アーベルが腕を組んで口を開いた。

「……戦士はどうだ。最終的には、どのようになる?」

そう尋ねられ、少し考え込む。

戦士は難しい。その理由は簡単で、育成パターンが多過ぎるのだ。速度特化で回避しつつ、とんでもない速度で攻撃を繰り返す殲滅型騎士。防御力特化でパーティーの壁になりつつ、大剣で一撃の威力を増した肉壁騎士。様々な敵に対応できる単独プレイ特化の魔剣士だって人気である。

色々と思い悩んでいると、アーベルが眉根を寄せて口を開いた。

「……戦士は、あまり強くなれないのか?」

その言葉に、苦笑しながら首を左右に振る。

「弱い職業なんてないよ。ただ、戦士は色々と選べるから」

「選べる?」

首を傾げるアーベル。その姿を見て、ステータスを想像する。恐らく、アーベルは速度と攻撃力に特化している。そのまま育てば殲滅騎士パターンだが、アーベルはまだ戦士のレベル七十台のはずだ。他のパターンも選ぶことができるだろう。

「……めっちゃ速くて強い騎士と、ドラゴンの攻撃でも一人で防げる騎士と、炎とか氷、風の魔法剣を使う騎士が選べるとしたら、どれが良い?」

そう尋ねると、アーベルは険しい顔のまま固まった。そして、小さく唸る。どうやら、本人も悩みだしてしまったらしい。

「えー、戦士ってそんなに選べるのか?」

「凄い強そうで羨ましいな」

ミケルとロルフが口を尖らせてそんなことを言っているが、弓使いがそんなことを言ってはいけない。

「弓使いは近距離も遠距離もできる万能型だよ。まぁ、防御力を捨てて狙撃特化型とかあるけど、そんなことしなくても十分強いからね。後は細かい派生があるくらいで、基本的には同じような感じになると思う」

そう告げると、ミケルとロルフは顔を見合わせた。

「狙撃ってなんだ?」

「遠くから撃つやつだろ。前に、ラーシュが言っていたぞ」

「それはそれで格好良いけどな」

二人は二人で弓使いとしての可能性について語り合いだした。その様子を見て、思わず微笑んでしまう。

懐かしい。ゲームを始めた頃は良く分からないままひた走っていたが、二、三人と新しいキャラクターを育てていく度に、三人と同じように最終的な理想形を考えて悩んだものだ。その経験があるから、ギルドで初心者を教える時は最も強いパターンを教えることができた為、相談されることも多かったのを覚えている。

昔を懐かしんでいると、アーベルから声を掛けられた。

「……他の職業適性でも強くなれるのか?」

その質問に、勢いよく顔を上げる。廃人と呼ばれるまでゲームにのめり込んでいた僕に、なんという質問をするのか。止まらなくなるぞ。覚悟はできているのか。知らないぞ?