軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

第75話 悪役令嬢の策略

帝都の朝は、透き通る空気と人々の喧騒で満ちていた。

十三歳の私は、自室の窓辺に立ち、街の景色をじっと眺めた。

馬車の車輪が石畳を打ち、商人たちの呼び声が通りに響く。

人々が動き始めるこの時間帯は、私にとって最も活力がみなぎる瞬間だった。

(今日こそ、あの北方の少女よりも結果を出す――)

北方領で評判のレスティーナ・フォン・グランテ――

噂では街づくりに成功し、経済力を持っているらしい。

だが、私はこれまで何度も商会を立ち上げ、失敗を繰り返してきた経験を糧にしている。

十三歳の身で、ここ帝都の人々を動かすには、手段を選ばず計算するしかない。

机の上には、今回の商会戦略の詳細な資料が広げられている。

商品の陳列順、呼び込みのタイミング、配送手順、価格設定――

これまでの失敗を反映させ、誰よりも緻密に作り上げたプランだ。

「メアリー様、スタッフの配置も完了しました」

小声で従者のエリザが報告する。

私はにっこり笑った。

(ふふ、この街の人々の心理も全て読めている。

商品は彼らの手元に渡り、私は利益を得る――単純な話だ)

午前九時、扉を開く。

市場はすでに人で溢れ、呼び込みの声が響き渡る。

「本日限定! 新作玩具と手作り菓子をご用意しました!」

子供たちは目を輝かせ、母親たちは自然と手を伸ばす。

かつての配送トラブルも改善済みで、混乱は皆無だ。

今度こそ、計画通りに成功する――私の心は高鳴った。

午後になると、通行人の列は途切れず、街の貴族や商人も立ち寄った。

十三歳の私は、自らの商会が帝都で存在感を示していることを実感した。

街の市場全体が、私の計算通りに回っている。

だが心の奥で、私は北方領の少女のことを意識していた。

レスティーナ・フォン・グランテ――

彼女の手法は知らないが、きっと効果的だろう。

夕方、売上帳簿を確認する。

昨日の目標は軽々と超え、利益は前回の二倍に膨れ上がっていた。

街の活気、子供たちの歓声、母親たちの満足げな表情。

これこそ、私が十三歳で勝ち取った成果だ。

夜、書斎で帳簿を閉じ、外に広がる帝都の灯を眺める。

十三歳の私は、この街を完全に掌握したわけではない。

しかし、経験と計算で人々の動きを読めるようになった自分を誇らしく思った。

(明日は新たな商品、季節菓子と玩具を投入する予定だ。

街の好奇心を刺激し、商会の名声をさらに高める――)

十三歳のメアリー・スー、悪役令嬢と呼ばれても構わない。

失敗を何度も重ねたからこそ、私は帝都の舞台で確実に勝利を掴むことができる。

商会戦争は、まだ序章に過ぎない。

北方領の少女が何をしているか分からない以上、私は目の前の市場で確実に勝利する。

夜の灯に照らされた帳簿を見つめ、私は小さく笑った。

(明日も、もっと多くの人々を惹きつけてみせる――)