軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

番外話4 究極って人それぞれ違うと思う

大賢者イナイズの遺した日記を閉じた俺は、周りに居る皆へと視線を向ける。

全員なんとも言えないような表情を浮かべていた。

俺も感じている事なので、その気持ちはよく分かる。

大賢者と呼ばれている人物が、まさかこのような経歴の持ち主だったとは思わなかったからだ。

なんというか、もっと派手な人生を歩んでいたと思っていたのだが、現実を知ってしまうと少し悲しい気分になる。

頑張れと応援したくなったが、既にこの世に居ない人物だ。

もし死後の世界があるのなら、どうか健やかに過ごして欲しいと願う。

しかし、究極魔法が記された魔法書の在りかは分かった。

この屋敷の地下室にあるらしい。

けれど調べていた時は地下室なんて見つからなかった。

通常の手段では見つけられないという事は、何かしらの仕掛けが施されているという事か……。

なんというか、何故こういう本とか貴重な品物ってこう……面倒臭い隠し方をするのだろうか? こう、ぽんとそこら辺に置いておくのは駄目なのだろうか?

その事を口にするとカガネが大きく溜息を吐いて、こういうのは様式美が必要だと説教? されてしまった。

様式美って……。

だって普通に考えれば、必要や大事な物ほど手元に素早く取れる方がいいんじゃないの? なんで、わざわざ面倒臭い隠し方をするのだろうか……。

そういう貴重な物を持っていないからよく分からん。

俺には奥さん達が居ればそれだけいいや。

とりあえず、今は在りかが分かった魔法書だ。

早速、地下室へと至る道を探しに行こう。

「……見つかりませんね」

フロイドがそう呟く。

現在、俺達は地下室への道を見つけるために屋敷の1階を捜索している。

ここに至るまでに時間も結構かかっているため、効率重視で班分けを行った。

俺が奥さんの誰かと一緒になると色々と抗議の声が上がるので、フロイドとシロスさんと共に捜索。奥さん達はメアルを加えて4人と3人+1頭という形で、1部屋ずつ担当して捜索を行っている。

一応、ここにはこちらの事情に詳しくないシロスさんが居るので、女神達を顕現させるのはやめておいた。

「そうだな。この部屋には何にもなさそうだな」

フロイドの呟きに答えておく。

実際、今探している部屋には何もなさそうだった。

他の班からも、発見の報告は聞こえてこない。

さてどうしたものか……。

せめてもう少し何かの手掛かりが欲しい。

「……やはり先程も調べましたが、どこにもそれらしい所が見つかりませんね」

「えぇ、これは困りました。せめてこの部屋にあるというのが分かれば、どうにか出来るかもしませんが……。手当たり次第に床を破壊して、そのまま地下室を崩してしまっては意味がありませんし……」

フロイドとシロスさんが手を動かしながら困ったように考え込む。

俺も手を動かしてはいるが、同じように考えていた。

このままではやはり見つからないような気がするので、何かヒントでも見つからないかと、もう1度大賢者の日記を読み返す。

俺が日記を読み返す間も、2人は会話を交わしながら捜索している。

「そういえば、見た目で言えば若そうですが、もう「★5」という事は書店勤めは長いのですか?」

「そうですね。結構長い事働いていますよ。やはり、本が好きなので1度勤めだすと離れ難いものがありますね」

「離れ難いとは、やはり紙とインクの匂いがお好きという事で?」

「それもありますね。自分はそういうのも含めて本自体が好きというのもありますが」

「ほうほう、なるほど」

「ただ、こういう仕事を長くやっていると、やはり腰痛に悩まされますね」

「そんなに大変なのですか?」

「ええ。常日頃とまではいきませんが、ふとした拍子に『あっ、やばい……』みたいな事は起こります。本1冊は軽い物が大体なのですが、数は暴力とでも言えばいいのか、一気に持つ時は注意が必要です」

……この2人は一体何の話をしているのだろうか。

もっと真剣にやれよと言いたい気持ちになるが、手はきちんと捜索してるから言い辛い。

「注意が必要ですか……それは大変ですね。そういえば、1つ気になる事があるのですが?」

「何でしょうか? 書店の事なら何でもお聞きください」

「いえ、書店の事ではなくて、シロス様の言動で気になる事があるのでございます」

「自分の言動ですか?」

「はい。何故、女性店長“様”なのでしょうか?」

おっと、そこを聞くか。

これは俺も聞き耳を立てねば……。

「あぁ、それですか。そう難しい話ではありません。……何と言えばいいでしょうか。簡単に言ってしまえば……独裁者なのです。自分が勤める書店の支配者と言える御方で、本に関するその知識は非常に細かく、ランクも世界に数人しか居ない「★8」の上、「★特」持ちであるという、正に本の権化とも言える至上の存在なのです」

「ほぅ! そのような方が」

「はい。それに厳しい一面もお持ちですが、それは仕事をしていく上で必要な事。業務から離れた女性店長様はお優しく、のほほんとしている、とても可愛らしい御方なのです」

「なるほど……。つまり、好いていると?」

ガラガッシャーーーン!! という音が部屋の中に響く。

日記から視線を外し、音がした方へ向けると、そこには手に持っていたでろう物を盛大に落とし、目がもの凄い勢いで泳いでいるシロスさんの姿があった。

完全に動揺している。

おぉい! フロイド何言っちゃってんの!

「い、いいい、一体何を、きゅ、急に! あはは! いやですねぇ! そ、そんな事ある訳ないじゃないですか!」

シロスさん。隠せてない隠せてない。完全にばれてますよ。

なんだろう……きっと勤めてる書店の方でも、こんな感じなんじゃないだろうか?

きっとあれだ! 知らぬは当事者ばかりで周りは全員知ってますよ的な状況なのだろう。

生暖かい目で見られてるんだろうな……たぶん。

しかし、シロスさんは動揺しすぎである。

聞いたこっち――俺が聞いた訳ではない――が、見ていて申し訳ない気持ちになってしまう。

「あっ! 今日はいい天気ですね」

シロスさんシロスさん、もう日が落ちかけて夕暮れになってますし、今日は少し曇ってましたよ。

「おや? 今日は曇りだったような……。まぁ、それよりも件の女性店長との関係は」

やめて! もうやめたげて! 追い打ちかけんなよ、フロイド!

シロスさんの今の状態を見れば分かるだろ!

確実に今触れてはいけない状態だろ!

多分、今突っ込むと間違いなく地雷発言してしまうぞ!

だから駄目だ! 今は優しい気持ちを持って放置しなければならない。

という訳で、このままだと害しか与えない諸悪の根源を急いでどうにかしないと。

「死ねぇ~~~!!!」

手に持っていた本を投げる。

……しまった。大賢者の日記だった。

「はっ! 死の予感!」

俺が投げた大賢者の日記を即座に手で弾くフロイド。

この程度じゃ絶対死なないだろ、お前は。

弾かれた大賢者の日記は、勢いそのままに本棚の空いている隙間へとすっぽり綺麗に収まる。

その瞬間カチッという音が聞こえ、その本棚が勝手に横へとずれて、その下から地下へと続く階段が現れた。

「「「……」」」

これはフロイドも想定外だったのか、この場に居る全員が無言で目を見合わせた。

こういうのも怪我の功名と言ってもいいのだろうか……。

「本当にあるとはな。正直、後は風の魔法で床をぶち抜くしかないと思っていたぞ」

「さすが、私達の旦那様ですね」

「なるほど、あの日記が鍵だったのですね」

「どういう事だ?」

「……説明求む」

「簡単な事だよ。今調べてみたけど、あの日記自体にも微量な魔力が流れていて、それがこの本棚を動かす鍵の役割を担っていたみたい。日記も一種の魔導具だったんじゃないかな」

「ほぅ。日記も魔導具だったなんて、やはり大賢者と言うべきだな」

地下室への階段が現れた事で、俺の奥さん達も全員集合。

メアルは既に俺の頭の上でお寝んねの最中だ。まだまだ子供だから仕方ない。

寝る子……寝る竜は育つのだ。

ただ、これ以上大きくなると、さすがに俺の頭の上に居続けるのは厳しいな……。

何が厳しいって、周りから見る絵的に厳しい。

小さくなる魔法とかないだろうか?

今度、そのあたりも考慮して旅をしようと思う。

逸れた思考のままでいると、サローナから声をかけられる。

「しかしよく見つけたな。普通こんなの見つけられないぞ。どうやって発見したんだ?」

その質問に俺はそっと視線を逸らし、口を噤む。

経緯が経緯だけに、おいそれと語れない。

フロイドも空気を読んで何も喋ろうとはしていないし、シロスさんも窓の外へと視線を向けている。

大丈夫、先程の事は俺達だけの秘密にするから。

「そうだな……。何と言えばいいか……。そう、あれだ! 俺とフロイドが協力した事によって、全てが上手くいったというか……」

「そうですね。たしかに私とワズ様の共同作業の結果と言ってもいいでしょう」

「何やら要領を得ないのだが……」

これ以上突っ込ませる訳にはいかないので、俺は「まぁまぁまぁまぁ、細かい事はいいじゃないか」と有無を言わせず、奥さん達、フロイド、シロスさんを伴って地下室へと下りて行った。

地下室は思ったより広くなかった。

せいぜい一般的な家庭の部屋が2部屋程入るくらいであろうか。

地下室の中は何かの魔法がまだ働いているのか清潔そのままで、置かれている机の上や床、壁には雑多な物が数多く点在している。

研究の成果なのか、何やら禍々しい剣が立て掛けてあったり、一目で飲んじゃいけないと思える程の毒々しい液体が入っている瓶等が置かれていた。

正直、毒々しい液体の瓶を見た時にちょっと美味しそうだなと思ったのは秘密だ。

そして、地下室奥の中央に目的の物らしき本があった。

床に魔法陣が描かれており、その上……宙に浮く透明な球体の中に本が収められている。

あれが究極魔法が記された魔法書であろうか。

その傍らには日記と同じ筆跡で書かれている木製の看板があった。

「……“資格無き者 触れる事叶わず”」

看板に書かれている事を口に出す。

書かれている通りであれば、何かの資格がなければ取る事が出来ないという事だろう。

だが、日記の中には資格についての項目は一切書かれていない。後から追加したのだろうか?

しかし、資格の有無が必要になるという事は、大賢者の遺した究極魔法は使い手が限られるという事になる。

俺達の中にその資格を持っている者が居ればいいのだが……。

まぁ、そのあたりも実際に魔法書へと触れてみようとすれば分かるか。

俺は皆に向かって1つ頷くと、皆も頷き返してくれる。

そうしてから魔法書に向かって歩を進め、触れようと手を伸ばすが、透明の球体に弾かれてしまう。

『大丈夫ですか!!』

「あぁ、大丈夫。何の傷もないよ。本当に弾かれただけみたいだ」

奥さん達が心配そうな表情を浮かべていたので宥めておく。

触れてみて分かったが、どうやら透明の球体は資格の有無を判定する結界のようで、俺には大賢者が求める資格が無いらしい。

特に気落ちしないのは、おそらくであるが取り出そうと思えば取り出せると思っているからだ。

神の力を行使すれば、こんな結界程度では意味を成さないと理解出来たからである。

結界を壊して無理矢理取り出してもいいのだが、大賢者が他に何の仕掛けをしているのか分からないため、それは最後の手段でいいだろう。

それに、まだ俺以外に9人も居るんだ。

この中の誰かに大賢者の資格を有する者が居るかもしれない。

それを試してからでも遅くはないな。

「俺には資格が無いみたい」

その言葉と同時に俺は魔法書の前から退く。

それだけで次はどうしたいいのか分かったのか、奥さん達が次々試していくが全員結界に弾かれた。

う~む。そうそう上手くはいかないって事か。

次はフロイドの番である。

相変わらずの似非笑顔で触れるが、結果は俺達と同じく弾かれてしまった。

こいつならもしかして? と、思っていたのだが駄目らしい。

一体、大賢者の求める資格というのは何なのだろうか?

そして、最後にシロスさんが挑戦する。

今まで弾かれた俺達の結果を見ていたせいか、シロスさんは恐る恐る手を前に出しながら結界へと触れた。

と、思った瞬間、シロスさんの手は結界をすり抜け、魔法書へと手を触れ掴む。

シロスさんはその事に驚きの表情を浮かべているが、それはこちらも同じだ。

拍手でもした方がいいだろうか? と思っている内にフロイドが小さく拍手しながら「おめでとうございます」と言った。

それに釣られて、俺達も拍手をする。

「ありがとうございます。この魔法書を手に出来たのも皆さんの協力があってこそです」

シロスさんが恥ずかしそうに笑みを浮かべる。

少しの間称賛が続き、場が一旦落ち着くと、俺はシロスさんに尋ねた。

「それで、一体どのような魔法が記されているのでしょうか?」

「そうですね。今確認してみます」

そう言ってシロスさんが魔法書を開き、中を確認する。

「……(ボソッ)」

ボンッ!!!!!

「けほっ! けほっ!」

『大丈夫ですか? 一体何が?』

シロスさんが呪文らしきものを言葉にした途端……俺が爆発した。俺だけが爆発した。

周囲に被害が出ない程度で爆発が起こったのだ。

爆発の威力が低かったのか、俺の抵抗力が高すぎたのかは分からないが、傷は1つもついておらず、その代わり黒煤塗れにされた。

一体何が起こったのかは、むしろ俺が知りたい。

なんで俺だけが爆発しなきゃならないんだ。

という訳で、心配する奥さん達に大丈夫だと伝え、煤を落とすために叩かれながら原因であろう魔法書を持っているシロスさんへと尋ねる。

「……どういう事?」

「……えっと……とりあえず、先に謝っておきます。申し訳ございません。この魔法はどうやら、魔法書を持って呪文を唱えると自動で発動するみたいで……それもある特定の条件を満たしている者を無差別で爆発させるようです」

「……特定の条件?」

「はい。……えっと、そうですね。出来ればこの魔法の使用条件的にワズさんとフロイドさんの2人で確認して貰えますか?」

俺とフロイド? 男性陣って事か?

フロイドと視線を交わし、奥さん達に断りを入れてからシロスさんが居る所へと向かう。

近付いた俺とフロイドへと見せるように、シロスさんは魔法書を開く。

魔法書に書かれている文面はこうだ。

『残りの生涯をかけて造り出した究極魔法をここに遺す

この魔法の使用資格は“女性経験が無い者 現在特定の良き人が居ない者”である。

それ以外の者には決して使用出来ない。また、上記の条件を破る者はその資格を失う事をここに知らせておく。

魔法は、この魔法書を持っている状態で呪文を唱えれば自動発動する。

効果は、特定の対象者が爆発する事。

効果範囲は、魔法書を持つ者を中心に、半径5m以内に居る全特定対象者である。

対象者は、使用資格を持たない“満たされている者”である。

そして唱えるべき呪文は

『我が怨敵(リア充)に 神の鉄鎚(爆発しろ)を』

最後に……どうか資格を有する者よ。

この魔法で世界の至る所に存在する“満たされている者”達に、私達の積もり積もった祝福(嫉妬)を与えてくれ。

……それだけを切に願う。 大賢者イナイズ』

……。

……。

「フロイド、封印」

「はっ!」

俺の言葉に応じて、フロイドが神なる力を使って魔法書に記されている魔法を封印する。

シロスさんも異存はないようで、フロイドへと魔法書を渡していた。

しかし、なんていうか……。

碌でもない魔法を造り出すな、大賢者。

何が恐ろしいって、こんな魔法を造り出したその執念が恐ろしい。

ずっと気にしてたんだね……酒場でぼったくられた事を。

「封印って、それほどの魔法なのか?」

俺達の様子を見ていたサローナが問うてくる。

さて、どうしたものか……。

正直に言うのは、同じ男としてちょっと。

気持ちは分からなくもないが、この魔法を究極魔法と言っていいのかどうか。

「えっと……」

そう切り出して、俺は奥さん達の所へと戻り、フロイドが封印処置をしている間に、ある程度濁しながら大賢者イナイズが造り上げた究極魔法の事を教えた。

奥さん達も大体の概要を得て、俺がそう判断したのならそれで構わないと納得してくれる。

ただ、カガネだけは全てを察したのか、「どこの世界に行っても、どんな人物であろうとも、こういう思いって無くならないんだね……」と、どこか達観したような言葉を呟いていた。

一晩屋敷で寝泊りし、ここでやるべき事は終えたので外へと出る。

大賢者イナイズが遺した究極魔法は封印した。

記されている魔法書を読む事は出来るが、使用する事は出来ないようにフロイドが施したのだ。

俺は別に燃やしてもいいと思ったのだが、この魔法書を欲しているのはシロスさんの勤める書店の女性店長さんである。

女性でも使えるかどうかは分からないが、使えないならそれでいいと判断し、求めている人へ渡しても問題は起こらないだろうと思った。

それに俺達はシロスさんに協力しただけだし、これ以上の介入はしない方がいいだろう。

魔法が使えないようになっているあたりの説明は、シロスさんに任せておいた。

「……まぁ、女性店長様は本の虫なので、これと共に読めれば問題ないでしょう」

そう言って、シロスさんは手に持つ魔法書と、反対の手に持つ日記を掲げる。

日記を読ませてもいいか一瞬考えたが、それは今更かと思ったので特に異論はなく、シロスさんへと渡しておいた。

「では、今回の事は本当にありがとうございました。正直言って、1人では無理だったと思います。何か報酬をお支払いした方がよろしいでしょうか? とは言っても、そんな大層な物は持っておりませんが」

「構いませんよ。別に何か目的がある旅でもないので、ちょうどいい暇潰しだったと思っていますので」

「そう言って貰えると助かります。ですが、もし自分が勤める書店へと来店されましたら、出来る限りの接客をさせて頂きますので」

「ええ。いずれお邪魔させてもらいますよ」

俺とシロスさんは、お互いに笑みを浮かべて握手を交わす。

そんな俺の後方に居る奥さん達は、今後生まれる予定の子供にどんな絵本を読ませるかで白熱した議論をしていた。

……気が早過ぎませんかね?

「では、本当にありがとうございました。ご来店を心よりお待ちしております」

フロイドとも握手を交わしてから、シロスさんはそう言ってこの場を去って行った。

その後ろ姿が森の中へと消えるまで眺めてから、俺は奥さん達の方へと振り返る。

「やはり、自然の素晴らしさを伝える絵本がいいと思うのだが?」

「愛のロマンス溢れる絵本で心優しい子に」

「可愛いお姫様と結ばれる絵本がいいですよね」

「いいや、戦いを通して成長していく絵本がいいと思うぞ」

「……勇者一択。譲れない」

「魔法使い!! もしくは転生もの!! いや、兄妹愛もので!!」

「ここは小さな獣と過ごす日々のような絵本がいいんじゃないか?」

……まだ続いてたのか。もう行っちゃったよ? シロスさん。

俺は頭の上に居るメアルを撫でながら、溜息を吐く。

「俺達も行くよ~!」

奥さん達にそう声をかけると絵本議論を止め、即座に場所決め――俺と腕を組んで歩く――のジャンケンが始まる。

勝敗が決まるまでの間、俺はメアルと戯れたり、フロイドと大賢者やシロスさんの勤める書店に関して軽く会話を交わしながら過ごす。

そして暫くして……。

左腕にサローナ、右腕にナミニッサと腕を組みながら、俺達は新婚旅行を再び開始するのであった。