軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

さて、いよいよ最終章開始です

皆の視線を下半身に感じながら、急ぎ足で港町モタンペに辿り着いた。

皆こそこそと話すのはやめて下さい。

俺達の事を知っている門兵の騎士からは「おかえりなさい」と言われたのは、少しこそばゆかった。

ほぼ顔パスのように門を越え、とりあえず一休みしようとマーンボンド家へと向かう。

明日はサローナ達と町の中でも見て回ろうかなぁと考えながら歩いていると、マーンボンド家の前に待ち人が居た。

その待ち人の姿を確認すると、俺は一気に警戒を強め、サローナ達も俺に続く様に気を張っていく。

「やぁ、やっと来たね。待ってたよ」

俺達へと嬉しそうに笑みを向けてそう言った待ち人は、いつもの黒い服装に身を包み、白い髪がふんのりと黒くなっているシロだった。

「随分堂々と現れるんだな」

「そりゃもう、隠れる必要がないからね。それにある意味、姿を現したのは楽しませてもらったお礼も兼ねてるんだ」

「お礼?」

俺が怪訝な表情でそう尋ねると、シロは大きく腕を広げ、芝居がかっているように声を張り上げる。

「攫われた姫を返す所か、また攫うなんて、最高だよ!!しかも、屋根から屋根へと飛んでいき、最後は街を覆う高い壁すら一っ飛び!!最高の見世物だったよ!!」

「お前が事の発端だろうが……」

俺が恨めしそうにシロを見ても、当の本人はどこ吹く風で、その時の事を思い出しているのか大きく笑っていた。

「だからこれはプレゼント!!」

「……プレゼント?」

笑い声が収まったシロはそのまま上着のポケットから赤い玉と黒い玉を取りだした。

俺は更に警戒を強める。

「まだ持ってたのか?とっくに誰かに与えたものだと思っていたんだが?」

「そんな事する訳ないじゃないか?だってこの2個は僕用なんだからさ……ところで、この町って大事?」

この町が大事?

その言葉にシロが何をしようとしたのか理解した俺は、一気にシロへと駆けるが遅かった。

シロは即座に黒い玉を地面へと落とす様に下に投げ、そのまま踏みつぶして割った。

瞬間、瞬く間に黒い玉から黒い霧が立ち上り、この町の頭上を覆う雲へと変わっていく。

「テメェッ!!」

頭上の黒い雲から目をシロへと向けるが、そこに既にその姿は無く、まるで誘うような声が届く。

「アッハッハッ!!さぁ大変だ!!大変だ!!最初に言っておくけど、僕用のこの2つの玉は特別製でね、ものすっごく強力なんだ!!Sランクの魔物なんてのも集まってくるからね!!ほらほら逃げないと、こんな町なんてあっという間に無くなっちゃうんだからさ!!」

俺は声のする方へと目を向けると、そこには片手を上げてこちらを見るシロが居た。

「それじゃあ、僕は邪神様の復活に忙しいから、そろそろ行くね~!!」

シロがそう言うと、傍らに再び闇の女神が現れ、そのまま消える様にその場から居なくなった。その移動方法、俺も欲しい。

俺は頭をガリガリと掻くと、サローナ達へと視線を向ける。

「これからこの町に向かって魔物が攻め込んでくる!!」

そう断言する俺にサローナ達は覚悟を決めたような表情で俺を見てくる。

「エルフの里でもあった、あの異様な数の魔物の大群だな」

「私はまだ見た事はないのですが、そんな大群なのでしょうか?」

「はい、おそらくこの町すらも容易に覆い尽くせる程の魔物の数が来るでしょう」

「問題ない。今の私達と、ここに居る元我が国の騎士達の力を借りれば倒しきれるはずだ」

「……どんと来い」

「よっしゃ~!!私の魔法が最も有効活用される場面が来た~!!大量虐殺魔法のお披露目だ~!!」

「フフフ……腕が鳴るな……強くなった私の力……存分に振舞ってくれよう」

サローナ達皆が、これから迫り来る魔物達と戦う決意をその目に宿らせていると、その目は不意に俺へと向けられた。

『だからここは私達に信じて任せて、あの元凶たるシロを追い掛けて邪神復活を止めて下さい!!!!!!!』

決意と覚悟を宿らせたサローナ達の瞳を向けられた俺は、目を閉じ、その思いを受け止める。

「……わかった」

そのままそれだけ言葉を出して目を開くと、サローナ達を順に見ていき、ギュッと全員を一緒に抱き締める。

「俺達はこれから幸せになるんだ。だからまずはその幸せを邪魔する奴等を排除するために動こう……決して誰も死んじゃ駄目だよ?もしそうなったら、絶対に許さないから!!」

「フフ……わかってるさ」

「ここに居る全員、ワズさんを悲しませるような真似はしませんよ」

「私含め全員を守ってみせます」

「殺られる前に殺ってやるさ!!」

「……勇者である私に任せて」

「私の魔法で全てなぎ払ってやりますよ!!」

「それは私達にも言える事なんだからな……」

『必ず私達の所へ無事に帰って来て下さいね!!』

俺はサローナ達を安心させるように笑顔を向けて1つ頷くと、サローナ達も笑顔を俺へと向け1つ頷いた。

サローナ達の感触を刻むように一瞬強く抱き締めてから、俺は念のためメアルをハオスイへと預けると、サローナ達は笑顔を俺へと向けたまま町の中へと消えていく。

その姿が消えるまで笑顔で見送った後、俺はふぅ~と息を吐いてから真剣な表情になると、この場に唯一残っているフロイドへと視線を向ける。

「……邪神の居場所はもちろん知っているよな?」

「当然でございます」

「なら案内を頼む。きっとそこにシロと闇の女神が居る」

「御意」

フロイドとそれだけ言葉を交わすと、俺はフロイドの案内の元、町の中へと消え、そのまま町を出た。