作品タイトル不明
もう関わらないでね
サローナ達の所へと戻ると皆満面の笑みで出迎えてくれた。
「スカッとしたぞ」
「スッキリしました」
「ふふ……ざまぁみろですね」
「勇者といってもハオスイと違って大した事ないのだな」
「……雑魚」
「ウチのお兄ちゃんが世界一や~!!」
「夫殿の強さの底が見えんな」
強さの底?多分、星砕けるくらいの強さじゃないかな?
サローナ達は口々に喜びを表していた。
「さすがにやりすぎかもしれんが……それを言うのは野暮だな」
「よくやってくれました!!義弟よ!!」
ナヴィリオは性格上わかるが、エリス姫様は喜びすぎではないだろうか?
まぁそれも仕方ない。ナヴィリオとの結婚が確定したようなモノだしな。
「義理の息子がここまで強いとは……聞いている以上だな!!しかし……クックックッ……なんて面白い勝ち方をするのだ!!久々に腹を抱えたぞ!!あの勇者にとってはいい薬になるのではないか?」
「あらあら、ナレリナとナミニッサは本当に凄い人をお婿さんにしたのね。これなら私達の老後も安泰かしら?」
ギヴィリオお義父さんは喜びすぎだと思います。
まぁ否定はしませんが。
ミレリナお義母さん、ナミニッサ、ナレリナの事は俺が必ず幸せにして、両親である2人の事もちゃんと面倒見ますので、安心して暮らして下さい。
そこでちらっとイスコア側の方へと目を向けると、そこではエリス姫様の父親であるルソナ王は天を仰ぎ、何やら覚悟を決めている様な表情で目頭を指でつまんでいた。
多分、エリス姫様の結婚……というかマーンボンド家と親類になる事に自分の中で折り合いをつけているのだろう。
そして勇者はというと……
未だ埋もれたままでした。
先程の戦いを見ていたこの国の騎士や執事、メイド達が頑張って掘り返しております。
大丈夫、殺してはいないから生きてるよ。ただ、早く掘り返してあげないと窒息するかもね。
その様子を眺めている勇者パーティーの男戦士はゲラゲラと声を上げて笑い、少女魔法使いも何故か俺に向かって拍手を送ってくれます。
……パーティーの人達に嫌われるのかな?それともギヴィリオお義父さんと同じで、いい薬とでも思っているのだろうか?
勇者のあの態度が俺だけに向けられていたのか、それともいつもあんな感じなのかは正直どうでもいいが、これに懲りてもう2度と俺の前には現れない事を願う。
一方アリアは掘り返す人達の中に入って頑張ってました。
こちらを一切見る事もせず、真剣に掘っているその姿を見ると、本当に勇者の事が好きなんだなと思うのと同時に、自分がそれをひどく冷静に眺める事が出来た事に少し驚いた。
どうやら、完全に俺の中のアリアへの思いは消えたようだ。
とりあえず、これに懲りたらもう勇者とアリアを俺に近付けないようにして下さいとしか言いようがない。というか、正直もう面倒臭いので本当にもう関わりたくない。
この場では殺さなかったけど、次こんな事があれば……特にサローナ達に迷惑をかけるような事態になればどうなるかワラナイヨ……
今の俺は冷めた目でアリア達を見ている気がした……
口角を手で何度も上げ、気持ちを切り替えてからサローナ達の方へ振り返る。
そこには心配そうな顔で俺を見る7人の顔があった。
「無理をしなくてもいいんだぞ?」
「いつでもこの胸をお貸ししますから」
「我慢はいけません」
「私達に存分に甘えていいんだからな」
「……むしろ蕩ける様に」
「やっぱ今、殺っとく?」
「結果この国を滅ぼす事になるなら私達も協力するぞ」
カガネとマオの言葉に皆は一斉に頷いた。物騒だな、おい。
「いいからいいから!!もう気にしない!!もう今後関わらないならそれでいいよ……まぁ変な言いがかりで関わってくるようなら滅ぼすけどね……それに今は皆のためにカッコつけさせてよ」
俺はそう言って皆の頭にポンポンポンと軽く手を置いていく。
「じゃあ、もう行っていい?これ以上ここに居て変な言いがかりをつけられるとさすがに……」
「あぁ、すまないな。このような事に巻き込んで……」
「いいよ、義兄さんのためだしね」
「ありがとう。勇者の方にはイスコア王の方から決してもう近付かないようにするよう伝えて下さいと言っておくよ。それでこの後どうするんだ?」
「ありがとう。そうだな、とりあえず、城下街に居る両親に会って皆との事を説明したら、モタンペに行くよ。そこで仮住まいでも探すさ。さすがにここには居たくないしね」
「わかった。なら、私達が住んでいる家をそのままそこに住めばいい。私達はもう家族なのだから。いいですよね?父上」
「いいよ~」
ギヴィリオお義父さんの軽い返事に笑みを浮かべながら、ご厚意に甘える事にした。
ナヴィリオ達と固く握手を交わして、俺はサローナ達と共に城を出る。
何故かフロイドは着いてきた……
「いいよ?ギヴィリオお義父さんの所に残っても?」
「私の主はワズ様でございます」
「いやいやいや」
「いえいえいえ」
城下街へと戻って来た俺はう~んと伸びをする。
思いの外緊張していたのかもしれない。肩の荷を下ろす様にほぐす。
「じゃあ、一回家に帰ろうか」
俺がそういうと皆はそわそわしだす。
「ワズさんのご両親への挨拶か」
「ドキドキします」
「身だしなみ……身だしなみを……お姉様、私大丈夫でしょうか?」
「ナミニッサはどこに出しても恥ずかしくないさ……むしろ私はどうだろうか?」
「……とうとうこの時が来た」
「どうか、お兄ちゃんがお怒りになりませんように……」
「この耳と尻尾は誇りだが、それでも許してくれるだろうか?」
カガネだけは何か違う意味でそわそわしてる気がする。
「皆気にしすぎだって……大丈夫、ちゃんと両親に紹介して、皆との事認めてもらうからさ」
俺は皆を安心させるようにギュッと抱き締める。
皆が落ち着くまでそうした。
ちょっと周りの目が恥ずかしいけど我慢だ。
俺にとって一番大切なのはここに居る皆なのだから……
あっ、フロイドはちゃうよ?
皆が落ち着くのを待ってから離し、俺は改めて皆の顔を見てから言う。
「さて、じゃあ行こうか」
『はい!!』