軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

はめられた~!!

未だぶつぶつと闇の女神の文句を言っている海の女神様を落ち着かせ、俺は本題を聞く。

「それで海の女神様、ナヴィリオが今居る場所は分かるのでしょうか?」

「もちろんわかります。海に居る以上、私に看過出来ない場所はありません」

「ならその居場所を教えて欲しいのですが?」

俺がそう尋ねると、海の女神様は顎に手を当てて、何か思案するような表情になった。一体何を考えているのだろうか……

「お教えしたいのは構わないのですが……こちらの……私達のお願いも聞き届けては貰えないでしょうか?」

顎から手を離した海の女神様がうっすらと目を開き、真面目な表情でそう提案してきた。

「……お願いですか?」

どんなお願いなのだろうか?まぁ、加護をかけてもらっているし、何度か助けになった事もある。正直にそこだけを考えれば、恩があると言ってもいい……だけど、あの普段の態度を思い出すと碌なモノじゃない気もする……んだけど、現状手詰まりなのも事実だし……まぁ聞くだけ聞いてみないとわからないか……

「それで、どんなお願いなのでしょうか?」

「簡単……と言っていいのかはわかりません……受ける事はもちろん簡単ですが、結果がどうなるかはわかりません……」

「……不安になる言い方ですね……とりあえず教えてもらってもいいですか?そこから判断したいのですが……」

「……そうですね」

海の女神様は呼吸を整えるように、小さく息を吐く。

「来る日に、私達女神と共に邪神と戦って欲しいのです」

……ん?それだけ?いや、こちらとしては元々戦うつもりだったけど……ただ、海の女神様の表情は真剣そのものだ。だから俺も真剣に答える。

「わかりました。いいですよ。元より戦うつもりでしたし、女神様達が味方として居てくれるなら心強いですし」

「……そう簡単ではないのです。現在神格化したワズの強さは私達よりも上です……ですが、その力を以ってしても邪神を屠る事が出来るかは難しいのです……最悪私達全員が消滅するやもしれません……」

「……そんなに強いのですか?」

「はい。元々創造神様と同等の力を有していたのですが、創造神様の力を奪い、更に強くなり、勝てないと判断した私達は自身を楔にして封印を施す事にしたのです。結果は分かる通り封印は成功したのですが、現在その封印が解けるのは最早時間の問題……あの時は創造神様がその身を賭して時間を稼いでくれたのと、邪神がまだ奪った力に馴染んでいなかったので封印が出来たのですが……もし今復活したとなると……」

「最強の邪神として復活するって事ですか?」

「えぇ……」

……なるほど……女神様達がわざわざそれを伝えるという事は事実であり、本当に命を賭けた戦いになるという事か……

「それでも邪神をどうにかしないと、この世界は終わるって事ですよね?」

「はい」

「なら、俺の意志は変わりません。戦います」

「よろしいのですか?」

「はい」

サローナ達が生きていく世界を無くしてたまるか!!俺はその決意を持って力強く返事した。

「ありがとうございます」

海の女神様が頭を下げる。いや、そんな畏まらなくてもいいんですけど……戦う理由は完全に俺の都合だし、そんな態度取られるとむしろ恐縮なんですけど……海の女神様が頭を上げると、そこには少しは安心したのか、見惚れるような笑顔を浮かべていた。

「それで海の女神様、今結構急いでまして、ナヴィリオ達は一体どこに居るのでしょうか?」

「少々お待ち下さい……」

そう言って海の女神様は何か気配を探る様に少し顔を下げ、一瞬だけど神のオーラを発現させた。それが終わると、ゆっくりと手を上げ、島の反対側、更に沖の方へと指を指し示す。

「この方角の約10km程先に居るようです。そこには海賊達が作った海上街・シーランスがあります。そこに捕らえられているようですね……」

ほほぅ……そんな所があるのか……

「そこは海賊達の本拠地と言ってもいい場所です。ワズが探しているナヴィリオ達以外は全て敵と思ってもいいでしょう……心配は御無用とは思いますが、どうかお気を付けて」

「大丈夫ですよ!!教えて頂きありがとうございます」

さて、約10km程か……まぁ問題なく行けるかな。俺が軽く準備運動をしていると、海の女神様が何かを思い出したかのように、両手をパンと叩いた。

「そうそう、少し手を貸して貰えませんか?」

「手ですか?」

俺は準備運動をやめ、右手を海の女神様の方へと突き出す。海の女神様はその手を取ると、祈る様に顔を俯き、両手で俺の手を優しく包み込むように重ねる。突然の行動に少しドキッとしたが、その包み込む両手は即座に離された。一体何事?

「これで大丈夫です。契約は成されました」

「……契約?」

何その物騒な言葉。俺何も聞いてませんよ?というか、そういう事するなら最初に言って貰えませんかね?絶対断りますから。

「手の平を見て下さい」

言葉の通りに手の平を見ると、そこには幾何学模様の魔法陣?紋章?が浮かび上がっていた。

「何ですかこれ?」

「2つの契約の証しです。1つは、正式に私達女神の使いとして、いつでも私達女神とコンタクトが取れる事と、それに合わせてステータスが上昇しています……それでも邪神に勝てるかは分かりませんが……」

……え?更に強くなったの?というか、上がったステータスに神格化でも邪神に勝てるか分からないの?どんだけ強いんだよ邪神って……まぁ戦うけどさ……

「それで、もう1つは何でしょうか?」

「……(ぼそっ)」

……ん?小声すぎて聞き取れなかった。

「何ですか?聴こえなかったので、もう1度お願いします」

確認のためにそう尋ねると、海の女神様は顔を赤く染めながら、その姿が消えていく。

「そろそろ顕現の限界ですね……これ以上は対邪神用に力を温存しておかないと……」

随分と都合よく「対邪神」の言葉を使いますね。絶対そう言っておけば大丈夫だと思ってませんか?

「すいません、答えて貰ってませんが?もう1つは何なんですか?」

「……私達女神全員を嫁にする権利です」

顔を真っ赤にしている海の女神様はその言葉を残して消えていった……

謀りやがったなぁ~~~~~!!!!!

くっ!!既にその姿が無い上に、こっちは急ぎ……抗議のしようが……待てよ……確かこの紋章でいつでも女神様達とコンタクトが取れるって言ってたな……

よし、後で目一杯抗議させてもらおう……今は急いでるからしないけどね……

軽く準備運動を終えた俺は、海の女神様が指し示した方向に向かって、再び海の上を疾走した。