作品タイトル不明
第三の刺客?
サローナ達のサイズの確認をした日の翌日の朝……何か気配を感じて意識が覚醒する。この気配はメアルのモノじゃない。というか、メアルの気配を感じないという事は朝の散歩に出てるか、母親のメラルの元へ行っているのだろう。またサローナ達が侵入してきたのだろうか?昨日は精神的疲弊で扉に鍵をかけるのを忘れていたし、扉の前に何か封じる物を置くのもやっていなかったな……う~ん……ならしょうがないか……
俺がゆっくりと目を開くと
「やぁ、昨日は激しかったな」
「……」
俺の隣に女性が寝そべって何か言っていた。その女性は灼熱のような真っ赤な髪、鋭い目付きで気の強そうな顔立ちなのだが、間違いなく美人である。体付きは胸は残念な程に平坦ですらりとした体躯なのだが、きちんと鍛えられているのが見ただけでわかる。腹筋も綺麗に割れていた。何故それがわかるかというと、その女性は肩まで出ている布地の少ない上着に、女性用の下着しか着ていなかったからだ。
「いや~1度言ってみたかったんだよな~……って、あれ?起きてる?こっち見てるよな?お~い?もしも~し?」
「……」
……って、えええええぇぇぇぇぇ~~~~~~!!!!!
俺は即座に立ち上がって戦闘態勢を取る。
「だ、誰だ!!何で俺のベッドで寝てる!!」
「ん?そう言えば会うのは初めましてだな。私は「戦女神」だ」
……戦女神だ……戦女神だ……戦女神……戦女神ぃ?
戦女神ぃぃぃ~~~!!!
またかぁ~~~~~!!!!!
心の中で絶叫した後、俺は一気に脱力してその場にへたり込む。目の前の女性も俺に合わせて対面するように座る。一応念のために確認しておくか……
「一応聞きますけど……本物なんですよね?」
「ん?これでいいか?」
そう言って目の前の女性は己の存在を示すように、神なるオーラを纏った。うん。わかってた……本物なんだろうなぁ~って思ってた……出来れば夢であって欲しかったけど……はぁ……
「もういいです……わかりましたから……」
「そうか?」
戦女神様がオーラを消して俺へと微笑む。その微笑みに俺は苦笑いで答える。
「……それで戦女神様がどうしてここに?というか、どうやってここに?」
「あぁ、それは単純な話なのだ。私は女神の中で戦を司る性質上、一番力が溜まりやすいんだ。なので顕現出来るまでに力が溜まったんで、ワズに会いたくて……ついでに世界の様子も見に来たという訳だ」
「はぁ……」
……あれ?なんだろう?俺に会いたくての部分は置いといて……言ってる事が至極まともなような……んん?女神様の友達?仲間?だよね?
「……えっと……それだけですか?」
「他に何かあるか?」
「……いや……ない……ですねぇ」
なんだろう……こう……ねぇ……女神様達にまともな事を言われるとこう……調子が出ないような……
「それじゃあ俺に会ったし、世界の様子を見に行くって事なんでしょうか?」
「そうだな……まぁ、他にする事もないし……顕現しても私は戦えないしな」
「戦えない?戦女神様ですよね?」
俺が尋ねると戦女神様は「たはは……」と苦笑いを浮かべる。
「いや~確かに私は戦を司る女神なんだが、実は戦うには色々と制約があって、そう簡単に戦う事が出来ないんだ」
「……あれ?前に会ったら俺と戦うとか書いてませんでしたっけ?」
「……あれはその場の勢いというか……」
「じゃあ、その話は無しって事」
「いや、そうでもないぞ?」
「……え?」
「ワズが完全に神格化して私達と同質の存在になれば問題なく戦えるぞ」
……うん。それは無しの方向にしたいな……何が嫌って女神様達と同質の存在って部分がちょっと……そっかぁ……完全に神格化したら、女神様達と同じになるのか……はぁ……
「じゃあ、まぁ……そうなったらと言う事で……」
「あぁ!!それまで待ち望んでるからな!!今からその日が待ち遠しいよ!!」
戦女神様が笑顔で本当に嬉しそうにそう言った……あぁ……そう嬉しそうにされると……なんか俺が種族%にこだわってる事が居た堪れなくなってくるなぁ……
「うぅ……」
「ん?どうかしたのか?どこか体調でも悪いのか?横になるか?あっ、私邪魔だな。ごめんごめん、もう行くから」
わかってた!!なんかここまで話してて理解してた!!普通すぎる!!普通の会話だよ、これ!!いや、普通なんて失礼だな。良い人……じゃなかった、良い神様すぎるよ!!この神様本当にあの女神様と大地母神様と同じ神様なの?実は違うんじゃないの?
「じゃあ、お大事にな!!」
そう言って戦女神様が片手を上げて部屋から出ていこうとする。
「あっ!いや、あの!!」
「ん?どうした?」
あれ?俺、何で戦女神様を止めたんだろう?なんかあまりにも普通の会話に意表を突かれたから動揺してしまったんだろうか?女神様達から俺の体調を気にする発言が出るなんて思いもしなかったし、こんな普通に会話が出来るなんて思わなかったしな……というか、こんな事を考えている間も戦女神様は律義に俺の続きの発言を待ってるし。どうしよう、何言おう……何も考えずに言葉が出たから続きなんて無いしなぁ……あっ!!そうだ!!
「戦女神様は戦えないんですよね?」
「あぁ、制約があるからな」
「それって、戦いを教える事も出来ないんでしょうか?」
「そうだな、お手本を示す事は出来ないが、口を出す事ぐらいは出来るぞ」
「なら厚かましいお願いというのはわかってるんですけど……サローナ達に何かご教授を願えないでしょうか?」
「う~ん……まぁいっか、それぐらいなら大丈夫だろう。それにワズの事を想う気持ちは彼女達も一緒なんだし、仲良くなるためには話ぐらいはしておきたいと思ってたしな。ちょうどいい機会だよ。ただ、時間も限られてるから教えられるのは1人か2人ぐらいだと思う。邪魔しないように遠くから見て、必要そうなのに声を掛けておくよ。全員に教えられなくてごめんな」
い・い・か・み・さ・ま・す・ぎ・るぅ~~~~~!!!!!
何この戦女神様!!普通だよ!!本当に普通だよ!!普通の対応だよ!!何の難癖も奇行もしてこないよ!!ごめんなさい!!今まで女神様達の仲間だと思っててごめんなさい!!最初に思いっきり警戒してごめんなさい!!もうむしろいつでも来て下さい!!というか、いつまでも居てくださって問題ないです!!顕現に俺の力が必要ならいつでも与えますよ!!
「じゃあ、まずは彼女達の様子を見てくるよ。実際に見てみないと、どこを教えればいいのかわからないしな」
そう言って戦女神様は手を振りながら部屋から出て行った。俺もその手振りに応えておいた。
こんな良い神様も居るんだなぁと、俺はしばらく呆然としてからサローナ達の武具を造るために作業部屋へと赴いた。